1. はじめに

本書は、SAP NetWeaverを、CLUSTERPROによるクラスタ構成を構築し、動作させるための手順を説明したものです。

1.1. 対象読者と目的

本書は、クラスタシステムに関して、システムを構築する管理者、およびユーザサポートを行うシステムエンジニア、保守員を対象にしています。
本書では、CLUSTERPRO環境下での動作確認が取れたソフトウェアを紹介しています。ここで紹介するソフトウェアや設定例は、あくまで参考情報として提供するものであり、各ソフトウェアの動作保証をするものではありません。
同梱のスクリプトはフェイルオーバを実現するためのサンプルスクリプトです。
サンプルスクリプトはあらゆるSAPのプロセスを監視対象としておりません。
サンプルスクリプトの内容をご確認の上、使用環境や監視対象に合わせて調整してください。
本書以外の構成のサポートをご希望の場合は、CLUSTERPROプリセールス窓口: info@clusterpro.jp.nec.com にご相談ください。

1.2. 本書の構成

本書は、以下の2つのドキュメントで構成されています。

1.3. 本書の表記規則

本書では、注意すべき事項、重要な事項および関連情報を以下のように表記します。

注釈

この表記は、重要ではあるがデータ損失やシステムおよび機器の損傷には関連しない情報を表します。

重要

この表記は、データ損失やシステムおよび機器の損傷を回避するために必要な情報を表します。

参考

この表記は、参照先の情報の場所を表します。

また、本書では以下の表記法を使用します。

表記

使用方法

[ ] 角かっこ

コマンド名の前後
画面に表示される語 (ダイアログボックス、メニューなど) の前後
[スタート] をクリックします。
[プロパティ] ダイアログ ボックス

コマンドライン中の [ ] 角かっこ

かっこ内の値の指定が省略可能であることを示します。

clpstat -s [-h host_name]

モノスペースフォント

パス名、コマンド ライン、システムからの出力 (メッセージ、プロンプトなど)、ディレクトリ、ファイル名、関数、パラメータ

C:\Program Files\CLUSTERPRO

太字

ユーザが実際にコマンドプロンプトから入力する値を示します。

以下を入力します。
clpcl -s -a

斜体

ユーザが有効な値に置き換えて入力する項目

clpstat -s [-h host_name]

CLUSTERPRO X 本書の図では、CLUSTERPROを表すために このアイコンを使用します。

1.4. CLUSTERPRO マニュアル体系(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)

CLUSTERPROのマニュアルは、以下の4つに分類されます。各ガイドのタイトルと役割を以下に示します。

『CLUSTERPRO X スタートアップガイド』 (Getting Started Guide)

すべてのユーザを対象読者とし、製品概要、動作環境、アップデート情報、既知の問題などについて記載します。

『CLUSTERPRO X インストール&設定ガイド』 (Install and Configuration Guide)

CLUSTERPRO を使用したクラスタシステムの導入を行うシステムエンジニアと、クラスタシステム導入後の保守・運用を行うシステム管理者を対象読者とし、CLUSTERPRO を使用したクラスタシステム導入から運用開始前までに必須の事項について説明します。実際にクラスタシステムを導入する際の順番に則して、CLUSTERPRO を使用したクラスタシステムの設計方法、CLUSTERPRO のインストールと設定手順、設定後の確認、運用開始前の評価方法について説明します。

『CLUSTERPRO X リファレンスガイド』 (Reference Guide)

管理者を対象とし、CLUSTERPRO の運用手順、各モジュールの機能説明、メンテナンス関連情報およびトラブルシューティング情報等を記載します。『インストール&設定ガイド』を補完する役割を持ちます。

『CLUSTERPRO X 統合WebManager 管理者ガイド』(Integrated WebManager Administrator's Guide)

CLUSTERPRO を使用したクラスタシステムを CLUSTERPRO 統合WebManager で管理するシステム管理者、および統合WebManager の導入を行うシステムエンジニアを対象読者とし、統合WebManager を使用したクラスタシステム導入時に必須の事項について、実際の手順に則して詳細を説明します。

1.5. CLUSTERPRO マニュアル体系(内部バージョン 12.1x 以降の場合)

CLUSTERPRO のマニュアルは、以下の 4 つに分類されます。各ガイドのタイトルと役割を以下に示します。

CLUSTERPRO X スタートアップガイド』 (Getting Started Guide)

すべてのユーザを対象読者とし、製品概要、動作環境、アップデート情報、既知の問題などについて記載します。

CLUSTERPRO X インストール&設定ガイド』 (Install and Configuration Guide)

CLUSTERPRO を使用したクラスタシステムの導入を行うシステムエンジニアと、クラスタシステム導入後の保守・運用を行うシステム管理者を対象読者とし、CLUSTERPRO を使用したクラスタシステム導入から運用開始前までに必須の事項について説明します。実際にクラスタシステムを導入する際の順番に則して、CLUSTERPRO を使用したクラスタシステムの設計方法、CLUSTERPRO のインストールと設定手順、設定後の確認、運用開始前の評価方法について説明します。

CLUSTERPRO X リファレンスガイド』 (Reference Guide)

管理者、および CLUSTERPRO を使用したクラスタシステムの導入を行うシステムエンジニアを対象とし、CLUSTERPRO の運用手順、各モジュールの機能説明およびトラブルシューティング情報等を記載します。『インストール&設定ガイド』を補完する役割を持ちます。

CLUSTERPRO X メンテナンスガイド』 (Maintenance Guide)

管理者、および CLUSTERPRO を使用したクラスタシステム導入後の保守・運用を行うシステム管理者を対象読者とし、CLUSTERPRO のメンテナンス関連情報を記載します。

1.7. 本書で用いる用語

本書で用いる用語について説明します。

本製品

CLUSTERPRO X for Windows SAP NetWeaver

システム構築ガイド

CLUSTERPRO X for Windows SAP NetWeaverシステム構築ガイド

設定例

CLUSTERPRO X for Windows SAP NetWeaver設定例

連携コネクタ

本製品に同梱するSAPと連携するコネクタ

SAP NW

SAP NetWeaver の略

ASCS

ABAP SAP Central Servicesの略

ERS

Enqueue Replication Serverの略

PAS

Primary Application Serverの略

AAS

Additional Application Serverの略

DA

Diagnostics Agentの略

Exclusive

ASCS/ERSインスタンス排他制御用フェイルオーバグループ

ENSA

Standalone Enqueue Server の略

ENSA2

Standalone Enqueue Server 2 の略

2. クラスタシステムの概要

2.1. SAP NWクラスタ概要

2.1.1. 機能概要

SAP NWとCLUSTERPROを連携させることで、以下の構成のクラスタを構築することができます。

2.1.1.1. CLUSTERPROによるSAP NWクラスタ構成

以下のコンポーネントを独立したActive-StandbyのフェイルオーバグループとしてCLUSTERPROへ設定し、障害発生時に現用系ノードから待機系ノードへフェイルオーバすることでSAP NW環境の可用性を向上させます。
ENSA2を利用する場合は、Enqueue Replication Server Instance(以降、ERS)も Active-Standby のフェイルオーバグループとして設定します。
  • ABAP SAP Central Services Instance(以降、ASCS)

  • (ENSA2を利用する場合)ERS

以下のコンポーネントは各ノードで動作するSingle Server構成のフェイルオーバグループとして設定します。

  • ERS

  • Primary Application Server Instance(以降、PAS)

  • Additional Application Server Instance(以降、AAS)

  • Diagnostics Agent(以降、DA)

  • saphostexec

以下の図はENSAを利用する場合の構成図です。

SAP Netweaverクラスタを構成する2つのノード

図 2.1 SAP ABAP Platform クラスタ構成(ENSAの場合)

以下の図はENSA2を利用する場合の構成図です。

SAP Netweaverクラスタを構成する3つのノード

図 2.2 SAP ABAP Platform クラスタ構成(ENSA2の場合)(1)

SAP Netweaverクラスタを構成する3つのノード

図 2.3 SAP ABAP Platform クラスタ構成(ENSA2の場合)(2)

2.1.1.2. フェイルオーバグループ間の依存関係

SAP NWコンポーネントの起動・停止には、順序関係が存在します。
CLUSTERPROでは、起動・停止の順序をフェイルオーバグループ間の依存関係として設定することにより、SAP NWコンポーネントの起動・停止の順序を制御します。

2.1.1.3. CLUSTERPROによるSAP NW監視

SAP NWクラスタシステムでは、CLUSTERPROが持つ監視機能に加えて、SAPをサポートしている監視パッケージおよびSAP NW固有の監視機能を使用して、SAP NWコンポーネントの応答異常/ハングアップの監視を行います。

2.1.1.4. SAP NW / CLUSTERPRO連携イメージ

SAP NWに対するユーザの操作要求は、連携コネクタ(clp_shi_connector)を経由してCLUSTERPROに通知されます。これにより、CLUSTERPROで構成したクラスタをSAP NWから操作することが可能です。

CLUSTERPROとSAP NetWeaver

図 2.4 連携イメージ

2.1.1.5. ASCSインスタンスおよびERSインスタンスの排他制御のイメージ

CLUSTERPROは以下の制御を行うことで、SAP NWで要求されるASCSインスタンスとERSインスタンスの排他起動を実現します。
下図中のExclusiveとは排他制御用のフェイルオーバグループを表します。
  1. ASCSインスタンスとERSインスタンスを異なるノードで起動させます。ERSインスタンスは、1つのノードでのみ起動させます。ENSAを利用する場合は、ERSインスタンスが起動していない全てのノードで、排他制御用のフェイルオーバグループを起動させます。

    クラスタ化された2つのノード

    図 2.5 クラスタ起動時

    ASCSインスタンスのフェイルオーバをCLUSTERPROは以下の動作で実現します。

  2. ENSAを利用する場合は、ASCSインスタンスをERSインスタンスが起動しているノードにフェイルオーバさせます。ENSA2を利用する場合は、ASCSインスタンスをASCS用フェイルオーバグループの起動サーバの優先順位の設定に従って決定されるノードにフェイルオーバさせます。

    クラスタ化された2つのノード

    図 2.6 ASCSインスタンスフェイルオーバ時

  3. ENSAを利用する場合は、ASCSインスタンスフェイルオーバ後、ASCSインスタンスによってERSインスタンスは自動停止します。ENSA2を利用し、かつASCSインスタンスのフェイルオーバ先ノードでERSインスタンスが起動していた場合は、CLUSTERPROのカスタム監視リソースがERSインスタンスを別のノードにフェイルオーバさせます。

    クラスタ化された2つのノード

    図 2.7 ERSインスタンス停止時

  4. ENSAを利用する場合のみ、ERSインスタンスの自動停止後、CLUSTERPROは以下の動作を行います。ASCSインスタンスのフェイルオーバ先ノードで排他制御用のフェイルオーバグループを起動させます。ASCSインスタンスのフェイルオーバ先ノードと異なるノードでERSインスタンスを起動させます。ERSインスタンス起動ノードで排他制御用のフェイルオーバグループを停止させます。

    クラスタ化された2つのノード

    図 2.8 他ノードでのERSインスタンス起動時

    CLUSTERPROによるASCSインスタンスとERSインスタンスの排他制御は、3ノード以上でも同様に機能します。

2.1.1.6. ERSインスタンスの手動操作に関する注意事項

  1. ERSインスタンスは、ASCSインスタンスで管理しているロック情報をレプリケートするためのインスタンスです。冗長化のために、ASCSインスタンスが動作していないノードでERSインスタンスを動作させる必要があります。手動の操作であっても、ERSインスタンスをASCSインスタンスが動作しているノードで起動しないでください。また、ERSインスタンスを同時に2ノード以上で起動しないでください。

  2. ERSインスタンスが動作するノードが停止後、クラスタ復帰した際、ERSインスタンス用フェイルオーバグループは自動起動しません。ノードが正常に動作していることを確認した上で、ERSインスタンス用フェイルオーバグループを手動で再起動してください。

2.1.1.7. ENSA2(内部バージョン 12.10 以降)

ENSA2を利用するには、SAP NetWeaver Application Server for ABAP 7.52 以降が必要です。
また、SAP NetWeaver Application Server for ABAP 7.52 ではENSAを利用することも可能です。
ENSAもしくはENSA2によりフェイルオーバグループやサンプルスクリプトの設定にも差分が発生します。フェイルオーバグループについては「3.1.4. フェイルオーバグループの作成」、サンプルスクリプトについては『SAP NetWeaver 設定例』の「サンプルスクリプト」も参照してください。

ERSインスタンス用フェイルオーバグループの差分は以下のとおりです。

項目

ENSA

ENSA2

フェイルオーバグループの個数

ノードごとに1個

クラスタ内で1個

フェイルオーバグループの起動ノード

フェイルオーバグループの所属ノードのみ

全てのノードで起動可能。
ただし、ASCS用フェイルオーバグループの起動サーバの優先順位とは逆順の起動サーバの優先順位を設定してください。

起動属性

手動起動

自動起動

フェイルオーバグループを構成するリソース

<>内の数字は依存関係の深度。
<1> ERSインスタンスサービス用EXECリソース
<1> ERSインスタンス用スクリプトリソース
<>内の数字は依存関係の深度。
<0> ERSインスタンス用フローティングIPリソース
<1> ASCS起動ノード確認用スクリプトリソース
<2> ERSサービスインスタンス用スクリプトリソース
<2> ERSインスタンス用スクリプトリソース

2.1.2. 動作環境

SAP連携コネクタの動作確認を行った OS および SAP NW のバージョン情報を下記に提示します。

x86_64

NW Version / ABAP Platform

SAPカーネルバージョン

CLUSTERPRO Version

OS

クラスタ構成

7.4

742
745
11.32~
Microsoft Windows Server 2012
Microsoft Windows Server 2012 R2
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

7.5

745
749
11.33~
Microsoft Windows Server 2012
Microsoft Windows Server 2012 R2
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

7.5

745
749

11.35~

Microsoft Windows Server 2016

SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

NW Version / ABAP Platform

SAPカーネルバージョン

CLUSTERPRO Version

OS

クラスタ構成

7.4

745
749
753
12.01~
Microsoft Windows Server 2012
Microsoft Windows Server 2012 R2
Microsoft Windows Server 2016
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

7.5

745
749
753
12.00~
Microsoft Windows Server 2012
Microsoft Windows Server 2012 R2
Microsoft Windows Server 2016
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

7.52

753
12.10~
Microsoft Windows Server 2012
Microsoft Windows Server 2012 R2
Microsoft Windows Server 2016
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

7.52

753
12.20~
Microsoft Windows Server 2012
Microsoft Windows Server 2012 R2
Microsoft Windows Server 2016
Microsoft Windows Server 2019
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

1809

773
12.10~
Microsoft Windows Server 2016
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

2020

781
12.30~
Microsoft Windows Server 2019
SAN接続、共有ディスク型
ミラーディスク型

SAP NWのハードウェア要件およびソフトウェア要件は、SAP NWのドキュメントを参照してください。

2.1.3. 構築手順

SAP NWクラスタの構築の流れは以下のようになります。

  1. Windows OSのインストールおよび基本設定

  2. ディスクとネットワークの設定

  3. CLUSTERPROのインストール

  4. CIFSリソースおよびフローティングIPを持つノードのクラスタ構築

  5. SAP NWのインストール

  6. CLUSTERPROの設定

2.1.4. SAP NW用データベース

SAP NWは、SAP HANA、SAP MaxDB、IBM DB2、Oracle、Microsoft SQL Serverなどのデータベースに対応しています。本書では、これらのデータベースが可用性を持つ構成で構築済みであることを前提にしています。CLUSTERPRO環境下でのデータベース構築については、関連するCLUSTERPROのソフトウェア構築ガイドを参照してください。ソフトウェア構築ガイドは以下のURLからダウンロード可能です。

本書では、以降、可用性を持つデータベース構成を「データベース」と表記します。

2.1.5. 機能強化

各バージョンにおいて以下の機能強化を実施しています。

内部バージョン 11.3x

内部バージョン

機能強化項目

11.35

SAP NetWeaver用SAP連携コネクタが以下のOSに対応しました。
- Windows Server 2016

内部バージョン 12.0x以降

内部バージョン

機能強化項目

12.01

SAP NW用SAP連携コネクタが以下のSAP NWに対応しました。
・SAP NetWeaver 7.4

12.10

SAP NW用SAP連携コネクタが以下のSAP NWに対応しました。
・SAP NetWeaver Application Server for ABAP 7.52

12.10

SAP NW用SAP連携コネクタ/サンプルスクリプトが以下に対応しました。
・メンテナンスモード
・Standalone Enqueue Server 2

12.10

SAP NW用SAPサンプルスクリプトの以下を改善しました。
・カスタマイズを容易にするため clp_shi_connector.conf および一部のサンプルスクリプトにパラメータを追加
・SAP Host Agentのプロセス死活検出精度を向上

12.30

SAP NetWeaver 用 SAP 連携コネクタが以下の SAP NetWeaver に対応しました。
・ABAP Platform 2020

13.00

SAP NW 用SAP サンプルスクリプトを互換コマンドを使用しない形式に変更しました。

2.1.6. 修正情報

各バージョンにおいて以下の修正を実施しています。

内部バージョン 11.3x

修正バージョン
/ 発生バージョン
修正項目
致命度
発生条件
発生頻度
11.35/
11.32~11.34
SAP NW に対する ERS インスタンス用フェイルオーバグループと同ノードの排他制御用のフェイルオーバグループが連動しない場合がある。
※本問題の対処にはサンプルスクリプトを手動で置換する必要があります。
サンプルスクリプトはサポートポータルから取得可能です(コンテンツID:9010107182)。
ASCS インスタンス用フェイルオーバグループの起動時に稀に発生する。

内部バージョン 12.0x以降

修正バージョン
/ 発生バージョン

修正項目

致命度

発生条件
発生頻度
12.10/
11.30, 12.00

SAP NW用サンプルスクリプトを利用したカスタム監視リソースの障害検出時において、SAPインスタンスサービスの停止処理中にSAPインスタンスサービスの開始処理が行われる。

SAPインスタンスサービスの停止処理に時間が掛かる場合に発生する。

12.10/
11.30, 12.00

SAP NW構成において、ASCS 用フェイルオーバグループの初回フェイルオーバ時に、フェイルオーバ先のノードにおいてASCSインスタンスサービスの起動に失敗する。

AWS環境において、ASCS 用フェイルオーバグループの初回フェイルオーバ時に発生する。

12.30/
12.10~12.22

メンテナンスモードを有効化した直後にSAPインスタンスの起動/停止を実行すると、以下の現象が発生する。

  • メンテナンスモードの無効化に失敗する。

  • CLUSTERPROのSAPインスタンス用リソースと実際のSAPインスタンスで起動状態に不整合が発生する。

メンテナンスモードを有効化した直後にSAPインスタンスの起動/停止を実行した場合に発生する。

2.2. OSインストールと基本設定

Node#1およびNode#2でのSAP NWをインストールに伴う事前設定およびインストールが必要なソフトウェアについては、SAP NWのInstallation Guideを参照してください。

OSに関するSAP NOTEは、以下を参照してください。

  • Microsoft Windows Server 2012

    • #1730102: Release Restrictions for SAP NetWeaver 7.4

    • #1732161: SAP Systems on Windows Server 2012 (R2)

    • #0855498: Installation Prerequisite Checker

    • #2109662: Windows returns wrong IP address as source IP

  • Microsoft Windows Server 2016

    • #2384179: SAP Systems on Windows Server 2016

本書での設定例については、『SAP NetWeaver 設定例』の「OSの設定例」を参照してください。

2.3. ディスクとネットワークの設定

CLUSTERPROでは、共有ディスクやミラーディスクを使用してクラスタを構築することが可能です。
本書では、Node#1を現用系ノード、Node#2を待機系ノードとし、共有可能なファイルシステムとして共有ディスクを利用した構成で説明します。

2.3.1. 共有ディスクの設定

SAP NWをインストールする前に、各ノードからアクセス可能な共有ディスクの設定が必要です。

本書では、フェイルオーバの際にディスクの切り替えをCLUSTERPROのディスクリソースで行う設定をします。

詳細については、『SAP NetWeaver 設定例』の「共有ディスク」を参照してください。

2.3.2. ネットワークの設定

SAP NWをインストールする前に、以下のフローティングIPの割り当てが必要です。

  • WebManager用フローティングIP(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)

  • Cluster WebUI用フローティングIP(内部バージョン 12.1x 以降の場合)

  • ASCSインスタンス用フローティングIP

  • ERSインスタンス用フローティングIP(ENSA2を利用する場合)

詳細については、『SAP NetWeaver 設定例』の「フローティングIP」を参照してください。

AWSやMicrosoft Azureなどのクラウド環境上にクラスタを構築する場合は、フローティングIPリソースの代わりにAWS仮想IPリソースやAzure DNSリソースなどを使用してください。

また、ASCSインスタンス用、およびERSインスタンス用フローティングIP(または仮想IP)に関連付けされたホスト名を、名前解決できるようにしておく必要があります。

3. CLUSTERPRO / SAP NWのインストール

3.1. CLUSTERPROの事前設定

CLUSTERPROの環境構築は、『インストール&設定ガイド』を参照してください。

以下の順で、2ノードで構成されたクラスタ環境を構築します。

SAP NWをインストールする前に、CLUSTERPROのインストールが完了して、CIFSリソースおよびフローティングIPを持つクラスタを構築し、CLUSTERPROを起動しておく必要があります。

SAP NWをインストールするための事前準備

  • CLUSTERPROのインストール

  • ライセンスの登録

  • クラスタ構成情報の作成

    • クラスタの作成

    • フェイルオーバグループの作成

    • グループリソースの追加

  • フェイルオーバグループ間の依存関係の設定

本書での設定例については、『SAP NetWeaver 設定例』の「CLUSTERPRO設定例」を参照してください。

上記作業の後、「3.2. SAP NW環境設定」‐「3.3. CLUSTERPRO の設定」の順で作業を進めます。

3.1.1. CLUSTERPROのインストール

各ノード(Node#1およびNode#2)に本製品をインストールします。

CLUSTERPROのインストール方法については、以下のドキュメントを参照してください。

本製品の既存バージョンをインストールしている場合、SAP連携コネクタの設定ファイルおよびサンプルスクリプトのバックアップを保存してください。

> xcopy C:¥Program Files¥CLUSTERPRO¥etc¥clp_shi_connector.conf D:\backup
> xcopy C:\Windows\System32\drivers\etc\services D:\backup
> xcopy <サンプルスクリプトを展開したフォルダ> D:\backup

CLUSTERPROのインストール後、連携コネクタをインストールしてください。SAP連携コネクタの媒体(clp_shi_connector.zip)を展開し、以下のファイルをコピーします。

<Zipフォルダ>\clp_shi_connector\bin\clp_shi_connector.exe
  → C:¥Program Files¥CLUSTERPRO¥bin¥clp_shi_connector.exe

<Zipフォルダ>\clp_shi_connector\bin\clp_shi_rsc.exe
  → C:¥Program Files¥CLUSTERPRO¥bin¥clp_shi_rsc.exe

<Zipフォルダ>\ clp_shi_connector\etc\clp_shi_connector.conf
  → C:¥Program Files¥CLUSTERPRO¥etc¥clp_shi_connector.conf

3.1.2. ライセンスの登録

CLUSTERPROを利用可能な状態にするには、ライセンスの登録が必要です。

ライセンスの登録方法については、以下のドキュメントを参照してください。

本製品は、以下のライセンスが含まれています。

ライセンス製品名

CLUSTERPRO X for Windows

CLUSTERPRO X Database Agent for Windows

CLUSTERPRO X System Resource Agent for Windows

3.1.3. クラスタの作成

WebManager(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)、Cluster WebUI(内部バージョン 12.1x以降の場合)からクラスタを作成します。

クラスタの作成方法については、以下のドキュメントを参照してください。

共有ディスクを接続するHBAをWebManager(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)、Cluster WebUI(内部バージョン 12.1x以降の場合)から設定してください。

詳細については、以下のドキュメントを参照してください。

3.1.4. フェイルオーバグループの作成

WebManager(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)、Cluster WebUI(内部バージョン 12.1x以降の場合)から、各ノードが属するフェイルオーバグループを作成します。

フェイルオーバグループの作成方法については、以下のドキュメントを参照してください。

ここでは、以下のフェイルオーバグループを作成します。

  • ASCSインスタンス用

  • ERSインスタンス用(ENSA2 を利用する場合のみ)

  • ERS1インスタンス用(ENSA を利用する場合のみ)

  • ERS2インスタンス用(ENSA を利用する場合のみ)

  • PASインスタンス用

  • AASインスタンス用

  • DA1インスタンス用

  • DA2インスタンス用

  • hostexec1用

  • hostexec2用

  • Exclusive1用(ENSA を利用する場合のみ)

  • Exclusive2用(ENSA を利用する場合のみ)

Node#1のERSを「ERS1」、DAを「DA1」、saphostexecを「hostexec1」、Exclusiveを「Exclusive1」とします。
Node#2のERSを「ERS2」、DAを「DA2」、saphostexecを「hostexec2」、Exclusiveを「Exclusive2」とします。

なお、ENSA2を利用する場合は、ERSインスタンス用フェイルオーバグループを1個のみ作成してください。

3.1.4.1. 排他制御用のフェイルオーバグループ

ENSAを利用する場合は、以下で説明するASCSインスタンスとERSインスタンスの排他制御用のフェイルオーバグループの作成も必要です。

排他制御用フェイルオーバグループ名は、以下のように、全てのノードで共通のフェイルオーバグループ名と、末尾に連続した番号(1、2、…)を付けて設定してください。

末尾の番号は、ERS1インスタンス、ERS2インスタンスをインストールしたノードの順に、1、2、…と設定してください。

<共通のフェイルオーバグループ名><番号>

本書での設定例

Exclusive-Group1 (Node#1)
Exclusive-Group2 (Node#2)

注釈

フェイルオーバグループ名に半角空白を含まないように設定してください。

注釈

ASCSインスタンスおよびERSインスタンスの排他制御用フェイルオーバグループ名が命名規則に従っていない場合、排他制御を正常に実施できなくなります。

ASCSインスタンスおよびERSインスタンスの排他制御については、「2.1.1.5. ASCSインスタンスおよびERSインスタンスの排他制御のイメージ」を参照してください。

3.1.4.2. フェイルオーバグループの起動属性

構成により、起動属性は以下を設定してください。

フェイルオーバグループ

ENSA

ENSA2

ERSインスタンス用フェイルオーバグループ

手動起動

自動起動

その他のフェイルオーバグループ

自動起動

自動起動

3.1.5. グループリソースの追加

前節で作成したフェイルオーバグループに、「フローティングIPリソース」、「ディスクリソース」、「CIFSリソース」を追加してください。

グループリソースの追加方法については、以下のドキュメントを参照してください。

ここでは、各フェイルオーバグループに以下のグループリソースを追加します。

ASCSインスタンス用グループ

- フローティングIPリソースを追加し、「2.3.2. ネットワークの設定」で設定したIPアドレスを割り当てます。
- ディスクリソースを追加します。
- CIFSリソースを追加します。

本書での設定例については、『SAP NetWeaver 設定例』の「CLUSTERPRO設定例」を参照してください。

3.1.6. フェイルオーバグループ間の依存関係設定

フェイルオーバグループの依存関係を設定します。

SAP NWの各インスタンス依存関係(起動順序)を以下に示します。

データベース

ASCS

ERS
PAS
AAS

インスタンスを停止する場合は、上記の逆の順序で停止する必要があります。

注釈

2.1.4. SAP NW用データベース」に記載のとおり、データベースが構築済みであることが上記の依存関係の前提条件です。データベースが使用可能になっていない場合、以降の手順は実施できません。

注釈

DAおよびhostexecについては依存関係の設定をしません。

CLUSTERPROでの依存関係の設定方法については、以下のドキュメントを参照してください。

内部バージョン 11.3x/12.0xの場合

  • 『リファレンスガイド』の「グループの起動、停止待ち合わせ設定を理解する」

  • 『リファレンスガイド』の「グループリソースの依存関係設定を理解する(グループリソース共通)」

内部バージョン 12.1x以降の場合

3.2. SAP NW環境設定

3.2. SAP NW環境設定」~「3.4. 連携コネクタ」で使用する用語を以下に示します。

SID

SAP System ID

DASID

Diagnostics Agent System ID

INO

インスタンス番号

SAP NWのプロダクトファイルのインストール先のパスおよびインストール方法は、使用するシステム構成により変わることがあります。

SAP NWの環境構築については、以下のドキュメントを参照してください。

Master Guide

Installation Guide

以下のURLより、SAP NWが対応している、データベースおよびOS種別ごとのInstallation Guideがダウンロードできます。

詳細については、使用環境に合ったガイドを参照してください。

下記の順でSAP NWの環境構築を行います。

SAP NWのインストール方法については、SAP提供のドキュメント(上記URL参照)を参照してください。

注釈

以下の手順を実行する前に、SAP提供のドキュメントに従ってデータベースがインストール済みで使用可能であることを必ず確認してください。

  1. インストールの準備(3.2.1. インストールの準備

  2. OSユーザとグループの作成(3.2.2. OSユーザとグループの作成

  3. ASCSインスタンスのホスト名向けのレジストリ変更(3.2.3. ASCSインスタンスのホスト名向けのレジストリの変更

  4. Node#1 でASCS インスタンスをインストール(3.2.4. ASCSインスタンスをインストール(Node#1)

  5. Node#2 でASCS用sapstartsrv定義の追加(3.2.5. sapstartsrv定義の追加(Node#2)

  6. Node#1/Node#2 で ERS1/ ERS2インスタンスをインストール(3.2.6. ERSインスタンスのインストール(Node#1 / Node#2)

  7. Node#1 で データベースインスタンスをインストール(3.2.7. データベースインスタンスのインストール(Node#1)

  8. Node#1 で PAS インスタンスをインストール(3.2.8. PASインスタンスのインストール(Node#1)

  9. Node#2 で AAS インスタンスをインストール(3.2.9. AASインスタンスのインストール(Node#2)

  10. DAインスタンスのインストール(Node#1およびNode#2)(3.2.10. DAインスタンスのインストール(Node#1およびNode#2)

  11. Node#1/Node#2でシンボリックリンクの追加(3.2.11. シンボリックリンクの追加

  12. SAPライセンス登録(3.2.12. SAPライセンス登録

  13. SAPインスタンスサービスの設定変更(3.2.13. SAPインスタンスサービスの設定変更

  14. SAPインスタンスの自動起動の抑制(3.2.14. SAPインスタンスの自動起動の抑制

  15. ERSインスタンスの自動停止の有効化(3.2.15. ERSインスタンスの自動停止の有効化

  16. SAPエンキューサーバの開始パラメータの変更(3.2.16. ENSAの開始パラメータの変更

本書でのインスタンス名、インスタンス番号の設定例については、『SAP NetWeaver 設定例』の1.4節「SAP NW設定例」を参照してください。

注釈

SAP NWインスタンスのインスタンス番号は、クラスタノード全体で一意になるように設定してください。重複する番号を持つSAP NWインスタンスがあると、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。ノード間、ノード内を問わず、インスタンス番号の重複がある場合は、いずれかのノードの SAP NW コンポーネントの再インストールとインスタンス番号の再割当てを実施してください。

SAP NWのアップデート手順については「4.1. SAP NWのアップデート」を参照してください。

3.2.1. インストールの準備

SAP NW をインストールする前に、CLUSTERPROを起動し「フローティングIPリソース」および「CIFSリソース」をNode#1でアクティブにしておく必要があります。

また、SAP NWのインストールに使用するコマンド「sapinst」の保存場所は、使用環境およびインストール媒体(DVD-ROMまたはダウンロードしたファイル)によって異なります。

3.2.2. OSユーザとグループの作成

この作業はNode#1およびNode#2で実施します。

sapinstを実行します。

> sapinst

ソフトウェアプロビジョニングツールで、[Generic Installation Options] → <使用しているデータベース> → [Preparations] → [Operating System Users and Groups]を選択し、OSユーザとグループを作成します。

本書では、SIDとDBSIDをNEC、Softwareの選択をABAPのみとしています

SID

DBSID

Based On As

NEC

NEC

ABAP

3.2.3. ASCSインスタンスのホスト名向けのレジストリの変更

ASCSインスタンスのホスト名向けのレジストリ変更を行います。

HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Services¥LanmanServer¥Parameters
DisableStrictNameChecking (DWORD値)
値: 0x1

例:

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\LanmanServer\Parameters]
"DisableStrictNameChecking"=dword:00000001
HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Control¥Lsa¥MSV1_0
BackConnectionHostNames(複数行文字列値)
値:
<ASCS_Hostname (shortname)>
<ASCS_Hostname (FQDN)>

<ASCS_Hostname (shortname)> の部分には、ASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名をshortnameで入力します。
<ASCS_Hostname (FQDN)> の部分には、ASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名をFQDNで入力します。
shortnameとFQDNの間を改行で区切ります。

例:

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Lsa
DisableLoopbackCheck(DWORD値)
: 0x1

例:

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Lsa]
"DisableLoopbackCheck"=dword:00000001

3.2.4. ASCSインスタンスをインストール(Node#1)

この作業はNode#1で実施します。

環境変数SAPINST_USE_HOSTNAMEにASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を指定し、sapinstを実行します。

> sapinst SAPINST_USE_HOSTNAME=<ASCS_Hostname>

注釈

<ASCS_Hostname> には、ASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を入力します。

ソフトウェアプロビジョニングツールで、<インストール対象のSAP NW> → <使用しているデータベース> → [SAP Systems] → [Application Server ABAP] → [Distributed System] → [ASCS Instance]を選択し、ASCSをインストールします。

このインストールで設定したACSCのSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)は、「3.3.1.1. ASCSリソースの設定」で使用します。

本書では、SIDとINOを以下のように設定します。

インスタンス

SID

INO

インスタンス名

ASCS

NEC

10

ASCS10

3.2.5. sapstartsrv定義の追加(Node#2)

この作業はNode#2で実施します。

  1. Node#1側の C:\Windows\System32\drivers\etc\services ファイルを、Node#2側にコピーします。

    このファイルには、以下のようにインストール時のパラメータに応じたポート番号定義が設定されています。クラスタを構成する各ノードで共有されている必要があります。

            :
    saphostctrl 1128/tcp # SAPHostControl over SOAP/HTTP
    saphostctrl 1128/udp # SAPHostControl over SOAP/HTTP
    saphostctrls 1129/tcp # SAPHostControl over SOAP/HTTPS
    saphostctrls 1129/udp # SAPHostControl over SOAP/HTTPS
    sapmsNEC 3610/tcp # SAP System Message Server Port
    sapdp00 3200/tcp # SAP System Dispatcher Port
    sapdp01 3201/tcp # SAP System Dispatcher Port
    sapdp02 3202/tcp # SAP System Dispatcher Port
            :
    
  2. Node#2にASCS10用sapstartsrv定義を追加します。

    Node#1側のサービス定義を参照し、Node#2側にsapstartsrv用のサービスを追加します。

    サービス定義を確認するには以下のコマンドを使用します。

    C:\>sc qc SAP<SID>_<INO>
    [SC] QueryServiceConfig SUCCESS
    
    SERVICE_NAME: SAP<SID>_<INO>
      TYPE               : 10  WIN32_OWN_PROCESS
      START_TYPE         : 3   DEMAND_START
      ERROR_CONTROL      : 1   NORMAL
      BINARY_PATH_NAME   : "S:\usr\sap\<SID>\ASCS<INO>\exe\sapstartsrv.exe"
       pf="\\<ASCS_Hostname>\sapmnt\<SID>\SYS\profile\<SID>_ASCS<INO>_<ASCS_Hostname>"
      LOAD_ORDER_GROUP   :
      TAG                : 0
      DISPLAY_NAME       : SAP<SID>_<INO>
      DEPENDENCIES       : RPCSS
                         : LanmanServer
      SERVICE_START_NAME : AD\SAPService<SID>

注釈

<SID>および<INO>には、ASCSインスタンスのSIDとINOを入力します。<ASCS_Hostname> には、ASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を入力します。

表示された定義を参照し、Node#2側で以下のコマンドを実行し、Node#1と同じサービス定義をNode#2にも追加します。

 C:\>sc create SAP<SID>_<INO>                                   \
   binpath= "\"S:\usr\sap\<SID>\ASCS<INO>\exe\sapstartsrv.exe\"         \
   pf=\"\\<ASCS_Hostname>\sapmnt\<SID>\SYS\profile\<SID>_ASCS<INO>_<ASCS_Hostname>\""    \
   type= own start= demand depend= "RPCSS/LanmanServer"             \
   obj= AD\SAPService<SID> password= "********"
[SC] CreateService SUCCESS

注釈

<SID>および<INO>には、ASCSインスタンスのSIDとINOを入力します。<ASCS_Hostname> には、ASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を入力します。

3.2.6. ERSインスタンスのインストール(Node#1 / Node#2)

この作業はNode#1およびNode#2で実施します。

ENSAを利用する場合は以下のようにsapinstを実行します。

> sapinst

ソフトウェアプロビジョニングツールで、<インストール対象のSAP NW> → <使用しているデータベース> → [Additional SAP System Instances] → [Enqueue Replication Server Instance]を選択し、ERSをインストールします。

ENSA2を利用する場合は、環境変数SAPINST_USE_HOSTNAMEにERSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を指定し、sapinstを実行します。

> SET SAPINST_USE_HOSTNAME=ERS_Hostname
> sapinst

注釈

ERS_Hostnameには、ERSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を入力します。

このインストールで設定したERSのSID(SAP SID)とインスタンス番号は、ENSAを利用する場合は「3.3.1.2. ERS1 (Node#1)リソースの設定(ENSA を利用する場合のみ)」と「3.3.1.3. ERS2 (Node#2)リソースの設定(ENSA を利用する場合のみ)」で、ENSA2を利用する場合は「3.3.1.4. ERSリソースの設定(ENSA2を利用する場合)」で使用します。

本書では、SIDとINOを以下のように設定します。

インスタンス

SID

INO

インスタンス名

ERS

NEC

ENSAを利用する場合(Node#1):21

ERS21

ERS

NEC

ENSAを利用する場合(Node#2):22

ERS22

ERS

NEC

ENSA2を利用する場合:21

ERS21

3.2.7. データベースインスタンスのインストール(Node#1)

この作業はNode#1で実施します。

sapinstを実行します。

> sapinst

ソフトウェアプロビジョニングツールで、<インストール対象のSAP NW> → <使用しているデータベース> → [SAP Systems] → [Application Server ABAP] → [Distributed System] → [Database Instance]を選択し、データベースインスタンスをインストールします。

このインストールで設定したDBSID(Database ID)は、『SAP NetWeaver 設定例』-「サンプルスクリプト」「スクリプトリソース」、「カスタム監視リソース」で使用します。

本書では、DBSIDを以下のように設定します。

データベース

DBSID

SQL Server

NEC

3.2.8. PASインスタンスのインストール(Node#1)

この作業はNode#1で実施します。

sapinstを実行します。

> sapinst

ソフトウェアプロビジョニングツールで、<インストール対象のSAP NW> → <使用しているデータベース> → [SAP Systems] → [Application Server ABAP] → [Distributed System] → [Primary Application Server Instance]を選択し、PASインスタンスをインストールします。

このインストールで設定したPASのSID(SAP SID)とインスタンス番号は、「3.3.1.4. ERSリソースの設定(ENSA2を利用する場合)」で使用します。

DAのDASID(Diagnostics Agent System ID)とインスタンス番号は、「3.3.1.7. DA1 (Node#1)リソースの設定」で使用します。

本書では、SIDとINOを以下のように設定します。

インスタンス

SID

INO

インスタンス名

PAS

NEC

31

DVEBMGS31

DA1

DAA

97

SMDA97

注釈

SAP Software Provisioning Manager (SWPM)のバージョンによっては、PASインスタンスをインストールするときにDAインスタンス(Diagnostics Agent)がインストールされない可能性があります。DAインスタンスがこの手順でインストールされなかった場合は、後述の手順に従って手動でインストールしてください。

3.2.9. AASインスタンスのインストール(Node#2)

この作業はNode#2で実施します。

sapinstを実行します。

> sapinst

ソフトウェアプロビジョニングツールで、<インストール対象のSAP NW> → <使用しているデータベース> → [SAP Systems] → [Application Server ABAP] → [High-Availability System] → [Additional Application Server Instance]を選択し、AASインスタンスをインストールします。

このインストールで設定したAASのSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)は、「3.3.1.6. AASリソースの設定」で使用します。

DAのDASID(Diagnostics Agent System ID)とINO(インスタンス番号)は、「3.3.1.8. DA2 (Node#2)リソースの設定」で使用します。

本書では、SIDとINOを以下のように設定します。

インスタンス

SID

INO

インスタンス名

AAS

NEC

32

D32

DA2

DAA

96

SMDA96

注釈

SAP Software Provisioning Manager (SWPM)のバージョンによっては、AASインスタンスをインストールするときにDAインスタンス(Diagnostics Agent)がインストールされない可能性があります。DAインスタンスがこの手順でインストールされなかった場合は、後述の手順に従って手動でインストールしてください。

3.2.10. DAインスタンスのインストール(Node#1およびNode#2)

この作業はNode#1およびNode#2で実施します。

注釈

ここで説明している作業は、「3.2.8. PASインスタンスのインストール(Node#1)」および「3.2.9. AASインスタンスのインストール(Node#2)」に記載のとおり、sapinstコマンドでPASインスタンスまたはAASインスタンスをインストールする際、DAインスタンスをインストールできなかった場合に実行してください。DAインスタンスがインストール済みの場合は、この作業を省略し次の手順に進んでください。

sapinstを実行します。

> sapinst

ソフトウェアプロビジョニングツールで、[Diagnostics in SAP Solution Manager] → <インストール対象のDiagnostics Agent>を選択し、DAインスタンスをインストールします。

本書では、SIDとINOを以下のように設定します。

インスタンス

SID

INO

インスタンス名

DA1

DAA

97

SMDA97

DA2

DAA

96

SMDA96

3.2.12. SAPライセンス登録

SAPライセンスの登録方法については、SAP NWのInstallation Guideを参照してください。

3.2.13. SAPインスタンスサービスの設定変更

この作業は、Node#1/Node#2で実施します。

SAPの各プロセスはCLUSTERPROから起動するため、スタートアップの種類を手動に変更します。

  1. サービス ([スタート]ボタン → [コントロールパネル] → [管理ツール] → [サービス]) を起動します。

  2. 下記のインスタンスサービスについて、[スタートアップの種類] が[自動]になっている場合は、[プロパティ]を開き、[スタートアップの種類]を[手動]に変更します。

    • SAPHostControl

    • SAPHostExec

    • SAP<SID>_<INO>

    • SAP<DASID>_<INO>

3.2.14. SAPインスタンスの自動起動の抑制

この作業はNode#1およびNode#2で実施します。

SAPインターフェースによるERSインスタンスとDAインスタンスの自動起動を抑制するために、これらのインスタンスのプロファイルの記述を変更します。

ERSインスタンスのプロファイルは以下にあります。

<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_ERS<INO>_<ホスト名>

DAインスタンスのプロファイルは以下にあります。

C:\usr\sap\<DASID>\SYS\profile\<DASID>_SMDA<INO>_<ホスト名>

各プロファイルのAutostartの値を0に変更します。

Autostart=0

3.2.15. ERSインスタンスの自動停止の有効化

この作業はNode#1およびNode#2で実施します。

ASCSインスタンスがERSインスタンスが動作しているノードへフェイルオーバした際の、ERSインスタンスの自動停止を有効化するために、ERSインスタンスのプロファイルの記述を変更します。

ERSインスタンスのプロファイルは以下にあります。

<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_ERS<INO>_<ホスト名>

プロファイルのenque/enrep/poll_intervalの値を0に変更します。

enque/enrep/poll_interval=0

各プロファイルにenque/enrep/hafunc_implementation = scriptを追加します。

enque/enrep/hafunc_implementation = script

プロファイルの Restart_Program_03 = local $(_ER) pf=$(_PFL) NR=$(SCSID) の行をコメントアウトします。

プロファイルに Start_Program_03 = local $(_ER) pf=$(_PFL) NR=$(SCSID) を追加します。

#Restart_Program_03 = local $(_ER) pf=$(_PFL) NR=$(SCSID)
Start_Program_03 = local $(_ER) pf=$(_PFL) NR=$(SCSID)

3.2.16. ENSAの開始パラメータの変更

この作業はNode#1で実施します。

ENSA(ASCSの一部)の適切な障害検出およびスイッチオーバのために、ASCSインスタンスプロファイルの以下のパラメータを変更します。
ASCSインスタンスのプロファイルは以下にあります。
<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_ASCS<INO>_<ホスト名>
プロファイルのRestart_Program_03 = local $(_EN) pf=$(_PFL)の行をコメントアウトします。
プロファイルにStart_Program_03 = local $(_EN) pf=$(_PFL)を追加します。
#Restart_Program_03 = local $(_EN) pf=$(_PFL)
Start_Program_03 = local $(_EN) pf=$(_PFL)

3.3. CLUSTERPRO の設定

3.3.1. リソースの設定

3.1.4. フェイルオーバグループの作成」で作成したフェイルオーバグループに、スクリプトリソースを追加します。

各インスタンスの起動・停止を制御するため、スクリプトリソースを設定します。

各種SAPインスタンスの起動・停止を制御するサンプルスクリプトを提供しております。
本サンプルスクリプトを用いて各SAPインスタンスの起動・停止を制御するには、スクリプトリソースを設定する必要があります。
なお、起動・停止を制御するサンプルスクリプトは、リソース名をキーにして制御を行うため、制御対象に合わせてリソース名を設定する必要があります。

以下の文字列をリソース名に含むように設定します。

instance_<SID>_<INO>

<>内は以下を示しています。

  • SID:SAP System ID

  • INO:インスタンス番号

注釈

リソース名に半角空白を含まないように設定してください。

注釈

リソース名が命名規則に従っていない場合、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。

本書での設定例については、『SAP NetWeaver 設定例』の「CLUSTERPRO設定例」と「スクリプトリソース」を参照してください。

スクリプトリソースに設定するサンプルスクリプトは、本製品のインストールメディアに同梱されています。

注釈

同梱のサンプルスクリプトは、使用環境に合わせて修正してください。

スクリプトリソースの追加方法については、以下のドキュメントを参照してください。

3.3.1.1. ASCSリソースの設定

ASCS用のフローティングIPを設定しているグループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.4. ASCSインスタンスをインストール(Node#1)」で設定したSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-ASCS-SAP-instance_NEC_10
    

3.3.1.2. ERS1 (Node#1)リソースの設定(ENSA を利用する場合のみ)

ERS1用グループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.6. ERSインスタンスのインストール(Node#1 / Node#2)」で設定したSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-ERS1-SAP-instance_NEC_21
    

3.3.1.3. ERS2 (Node#2)リソースの設定(ENSA を利用する場合のみ)

ERS2用グループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.6. ERSインスタンスのインストール(Node#1 / Node#2)」で設定したSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-ERS2-SAP-instance_NEC_22
    

3.3.1.4. ERSリソースの設定(ENSA2を利用する場合)

ERSインスタンス用フローティングIPを設定しているグループに以下の3つのスクリプトリソースを追加します。

  • ASCS起動ノードを確認するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.6. ERSインスタンスのインストール(Node#1 / Node#2)」で設定したSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-ERS-SAP-instance_NEC_21
    

3.3.1.5. PASリソースの設定

PAS用グループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.8. PASインスタンスのインストール(Node#1)」で設定したSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-PAS-SAP-instance_NEC_31
    

3.3.1.6. AASリソースの設定

AAS用グループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.9. AASインスタンスのインストール(Node#2)」で設定したSID(SAP System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-AAS-SAP-instance_NEC_32
    

3.3.1.7. DA1 (Node#1)リソースの設定

DA1用グループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.8. PASインスタンスのインストール(Node#1)」で設定したDASID(Diagnostics Agent System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-DA1-instance_DAA_97
    

3.3.1.8. DA2 (Node#2)リソースの設定

DA2用グループに以下の2つのスクリプトリソースを追加します。

  • SAPインスタンスサービスを制御するスクリプトリソースを追加

  • SAPインスタンスを起動するスクリプトリソースを追加
    ※「3.2.9. AASインスタンスのインストール(Node#2)」で設定したDASID(Diagnostics Agent System ID)とINO(インスタンス番号)をリソース名に含むように設定します。

    本書での例

    script-DA2-instance_DAA_96
    

3.3.1.9. hostexec1 (Node#1)リソースの設定

hostexec1用グループに以下のスクリプトリソースを追加します。

  • saphostexecを制御するスクリプトリソースを追加

3.3.1.10. hostexec2 (Node#2)リソースの設定

hostexec2用グループに以下のスクリプトリソースを追加します。

  • saphostexecを制御するスクリプトリソースを追加

3.3.1.11. Exclusive1 (Node#1)リソースの設定(ENSA を利用する場合のみ)

  • グループリソースは追加しません

3.3.1.12. Exclusive2 (Node#2)リソースの設定(ENSA を利用する場合のみ)

  • グループリソースは追加しません

本書の設定例の詳細については、『SAP NetWeaver 設定例』‐「CLUSTERPRO設定例」と「スクリプトリソース」を参照してください。

注釈

SAP NWインスタンスの起動・停止を制御するスクリプトリソースは、命名規則に従ったリソース名を設定してください。リソース名が命名規則に従っていない場合、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。

3.3.2. モニタリソースの設定

前項で作成したグループリソースに、以下のモニタリソースを追加してください。

  • カスタム監視リソース

  • ディスクTUR監視リソース

  • CIFS監視リソース

本書の設定例の詳細については、『SAP NetWeaver 設定例』の「CLUSTERPRO設定例」と「カスタム監視リソース」を参照してください。
カスタム監視リソースに設定するサンプルスクリプトは、本製品のインストールメディアに同梱されています。

注釈

同梱のスクリプトは、使用環境に合わせて修正してください。

3.3.2.1. カスタム監視リソースの追加

カスタム監視リソースの追加方法については、以下のドキュメントを参照してください。

リファレンスガイド

3.3.2.1.1. SAP NWインスタンス監視リソースの設定
SAP NWインスタンスは、カスタム監視リソースを使用して監視します。
本製品に同梱のサンプルスクリプトをカスタム監視リソースへ設定し、以下のインスタンスを監視します。
  • ASCS

  • ERS1(ENSAを利用する場合)

  • ERS2(ENSAを利用する場合)

  • ERS(ENSA2利用する場合)

  • PAS

  • AAS

  • DA1

  • DA2

3.3.2.2. SAP NWインスタンスサービス監視リソースの設定

SAP NWインスタンスサービスは、カスタム監視リソースを使用して監視します。
本製品に同梱のサンプルスクリプトをカスタム監視リソースへ設定し、以下のインスタンスサービスを監視します。
  • ASCS

  • ERS1(ENSAを利用する場合)

  • ERS2(ENSAを利用する場合)

  • ERS(ENSA2利用する場合)

  • PAS

  • AAS

  • DA1

  • DA2

  • hostexec1

  • hostexec2

3.3.2.3. ディスクTUR監視リソースの追加

本書で説明している共有ディスクの監視には、ディスクTUR監視リソースを使用します。

ディスクTUR監視リソースの追加方法については、以下のドキュメントを参照してください。

本リソースはディスクリソースを追加した時に自動的に登録されます。各ディスクリソースに対応するディスクTUR監視リソースが自動登録されます。

ディスクTUR監視リソースには既定値が設定されているので、必要があれば適切な値に変更してください。

注釈

本リソースは、SCSIのTest Unit Readyをサポートしていないディスクおよびディスクインターフェース(HBA)では使用できません。ハードウェアがTest Unit Readyをサポートしている場合でも、ドライバがサポートしていない場合があるため、ドライバの仕様も合わせて確認してください。

3.3.2.4. CIFS監視リソースの追加

ASCS用のCIFSリソースを追加します。

CIFS監視リソースの追加方法については、以下のドキュメントを参照してください。

注釈

本監視リソースはCIFSリソースを追加した時に自動的に登録されます。各CIFSリソースに対応するCIFS監視リソースが自動登録されます。

注釈

アクセスチェックを行う場合、チェック方法として指定したアクセスが監視対象のCIFSリソースでローカルシステムアカウントに対して許可されている必要があります。

3.4. 連携コネクタ

3.4.1. 連携コネクタのインストール

この作業は、Node#1およびNode#2で実施します。

連携コネクタとサンプルスクリプトはインストールメディアの以下に格納しています。

<media>:\Windows\<Version of CLUSTERPRO>\common\tools\x64\clp_shi_connector.zip

zipファイルを任意のフォルダに解凍してください。zipファイルのファイル構成を以下に示します。

clp_shi_connector\
    clp_shi_connector\
        etc\
            clp_shi_connector.conf
        bin\
            clp_shi_connector.exe
            clp_shi_rsc.exe
    sample\
        clpbuilder-w\
            scripts\
                windows\
                    SAP-ASCS-instance\
                        ascs-post-handler.bat
                        setting.bat
                        start.bat
                        stop.bat
                    SAP-ERS-instance\
                        exclusive-control.bat
                        setting.bat
                        start.bat
                        stop.bat
                    SAP-HostExec\
                        setting.bat
                        start.bat
                        stop.bat
                    SAP-instance\
                        setting.bat
                        start.bat
                        stop.bat
                    SAP-service\
                        setting.bat
                        start.bat
                        stop.bat
        genw\
            check-ensa2.bat
            ers-mon-preaction.bat
            genw-SAP-HostExec.bat
            genw-SAP-instance.bat
            genw-SAP-service.bat

解凍した連携コネクタをCLUSTERPROのインストールフォルダの以下にコピーしてください。

C:\Program Files\CLUSTERPRO\bin\clp_shi_connector.exe
C:\Program Files\CLUSTERPRO\bin\clp_shi_rsc.exe
C:\Program Files\CLUSTERPRO\etc\clp_shi_connector.conf

3.4.2. 連携コネクタの有効化

この作業は、Node#1およびNode#2で実施します。

連携コネクタを使うために以下の設定をします。

3.4.2.1. SAPプロファイルの設定

連携コネクタを有効化しCLUSTERPROと連携するためには、SAPインスタンスのデフォルトプロファイル(DEFAULT.PFL)および各SAPインスタンスのインスタンスプロファイルに以下の記述を追加します。

本書での設定例を以下に示します。

デフォルトプロファイルのパスと設定例

<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\DEFAULT.PFL

service/halib_cluster_connector = C:\Program Files\CLUSTERPRO\bin\clp_shi_connector.exe

ASCSインスタンスのインスタンスプロファイルのパスと設定例

<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_ASCS<INO>_<ASCS_Hostname>

service/halib = <sharedisk>:\usr\sap\<SID>\ASCS<INO>\exe\saphascriptco.dll

注釈

<ASCS_Hostname> には、ASCSインスタンス用フローティングIPと関連付けされたホスト名を入力します。

ERSインスタンスのインスタンスプロファイルのパスと設定例

<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_ERS<INO>_<ホスト名>

service/halib = C:\usr\sap\<SID>\ERS<INO>\exe\saphascriptco.dll

PASインスタンスのインスタンスプロファイルのパスと設定例

<共有ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_DVEBMGS<INO>_<ホスト名>

service/halib = C:\usr\sap\<SID>\DVEBMGS<INO>\exe\saphascriptco.dll

AASインスタンスのインスタンスプロファイルのパスと設定例

<ディスク>:\usr\sap\<SID>\SYS\profile\<SID>_D<INO>_<ホスト名>

service/halib = C:\usr\sap\<SID>\D<INO>\exe\saphascriptco.dll

DAインスタンスのインスタンスプロファイルのパスと設定例

c:\usr\sap\<DASID>\SYS\profile\<DASID>_SMDA<INO>_<ホスト名>

service/halib = c:\usr\sap\<DASID>\SYS\exe\uc\NTAMD64\saphascriptco.dll
service/halib_cluster_connector = C:\Program Files\CLUSTERPRO\bin\clp_shi_connector.exe

注釈

設定変更後にSAPの各インスタンスサービスの再起動が必要です。クラスタの再起動等を行ってください。

3.4.2.2. SAP NWユーザへの管理者権限の付与

連携コネクタを実行可能にするには、SAP NWのユーザ(SAP_<SID>_GlobalAdmin、SAP_<DASID>_LocalAdmin)に、以下のレジストリに対するフルコントロールアクセス権限を追加します。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\NEC\CLUSTERPRO

注釈

SAP NWとCLUSTERPROを正常に連携させるため、SAP NWのインストールで自動作成されたグループに指定したレジストリに対するフルコントロール権限を設定してください。SAP NWのユーザにレジストリのフルコントロール権限を付与しない場合、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。

3.4.3. 設定ファイル

ここでは、連携コネクタの設定ファイルについて説明します。

連携コネクタの設定ファイルは以下にあります。テキストエディタで編集してください。

C:\Program Files\CLUSTERPRO\etc\clp_shi_connector.conf

3.4.3.1. 設定項目

連携コネクタは、以下のファイルのパラメータを変更することで、ログレベル、ログサイズ、SAPインターフェースからの起動・停止要求を拒否するグループリソースの設定が可能です。

注釈

設定ファイルは半角文字のみ使用可能です。
設定項目はkey=valueの形式です。
複数指定できないkeyが複数指定されている場合は、一番後の設定値が有効になります。
有効なkey以外で始まる行、空行は、無視されます。
key、valueの前後の空白、タブは、無視されます。
1行の長さは1023バイトまでです。
設定ファイルが存在しない場合、または設定値が無効な値の場合は、既定値で動作します。

パラメータ名

設定値

説明

LOGLEVEL

ERROR
WARNING
INFO
TRACE
(既定値:INFO)
出力するログのレベルを設定します。
ERROR:
エラーレベル、情報レベルのログを出力します。
WARNING:
警告レベル、情報レベルのログを出力します。
INFO:
情報レベルのログを出力します。
TRACE:
内部トレース、情報レベルのログを出力します。

LOGSIZE

1~2147483647
(既定値:1000000)
ログサイズを設定します。単位はバイトです。
現在のログファイルのサイズが設定されたログサイズを上回った際に、ログローテーションを行います。
ログファイルの世代は2世代(現在のログと1世代前のログ)です。
REFUSE_START
_GROUP_RESOURCE
CLUSTERPROのグループリソース名
(既定値:なし)

設定値(CLUSTERPROのグループリソース名)として、SAPインターフェースからの起動要求を拒否したいSAPインスタンスを制御するスクリプトリソース名を設定します。

複数のグループリソース名を設定する場合は、REFUSE_START_GROUP_RESOURCEを複数設定してください。
REFUSE_STOP
_GROUP_RESOURCE
CLUSTERPROのグループリソース名
(既定値:なし)

設定値(CLUSTERPROのグループリソース名)として、SAPインターフェースからの停止要求を拒否したいSAPインスタンスを制御するスクリプトリソース名を設定します。

複数のグループリソース名を設定する場合は、REFUSE_STOP_GROUP_RESOURCEを複数設定してください。

GVI_CHECKCOUNT

1~60
(既定値:30)
クラスタ起動時にCLUSTERPROが製品情報の取得を試行する回数を設定します。製品情報取得の間隔は、後述のGVI_CHECK_INTERVALで設定します。
実行回数が設定値以下でも、処理が成功した時点で製品情報取得は終了します。

GVI_CHECKINTERVAL

1~60
(既定値:10)

CLUSTERPROが製品情報取得を実行する間隔を秒単位で設定します。情報取得を行う回数が1回の場合(GVI_CHECKCOUNT=1)、本パラメータの値は無視されます。

FRA_CHECKCOUNT

1~60
(既定値:30)
Rolling Kernel Switch実行時に、グループリソースの状態を確認する回数を設定します。状態確認の間隔は、後述のFRA_CHECK_INTERVALで設定します。
実行回数が設定値以下でも、処理が成功した時点で状態確認は終了します。

FRA_CHECKINTERVAL

1~60
(既定値:10)

グループリソースの状態確認を実行する間隔を秒単位で設定します。状態確認を行う回数が1回の場合(FRA_CHECKCOUNT=1)、本パラメータの値は無視されます。

SMM_PATH

メンテナンスモード用に連携コネクタが使用するファイルを保存するディレクトリ
(既定値:なし)
(内部バージョン 12.1x以降、指定可能)
メンテナンスモードを使用する場合は指定してください。
メンテナンスモード用に連携コネクタが使用するファイルを保存するフォルダを設定します。各クラスタノードから書き込み可能なフォルダを指定してください。また、指定したフォルダ配下に手動でファイルやフォルダを作成しないでください。最大長は240文字、半角文字のみ指定可能です。
例: SMM_PATH=\\<ASCSインスタンス用のホスト名>\sapmnt\sapmm

ENSA_VERSION

1、2
(既定値:1)
(内部バージョン 12.1x以降、指定可能)
使用するENSAのバージョンを指定してください。
ENSAのバージョンは、SAP NW側の設定と一致するようにしてください。
ENSAを使用する場合、1を設定してください。
ENSA2を使用する場合、2を設定してください。

YELLOW_AS_ERROR

0、1
(既定値:0)
(内部バージョン 12.1x以降、指定可能)
サンプルスクリプトでは各インスタンスを構成するプロセスの状態を sapcontrol -function GetProcessList で確認しますが、その結果を異常とするか否かを、以下の2つのパターンから選択できます。
- すべてのプロセスの状態がGREENになっていない場合、監視異常とする。
- すべてのプロセスの状態がGREENまたはYELLOWになっていない場合、監視異常とする。
どの場合に監視異常とするかを指定してください。
詳細は『SAP NetWeaver 設定例』の「カスタム監視リソース」を参照してください。
プロセス別に処理を変更したい場合は、サンプルスクリプトをカスタマイズしてください。(例.プロセスAがYELLOWの時は監視正常、プロセスBがYELLOWの時は監視異常とする場合)

すべてGREENになっていない場合に監視異常とする場合、1を設定してください。この場合、YELLOWは監視異常と判定します。
YELLOWを監視異常としない場合、0を設定してください。

注釈

システムの負荷によっては、クラスタ起動時のCLUSTERPROによる製品情報の取得およびRolling Kernel Switch実行時のグループリソースの状態確認はタイムアウトで失敗することがあります。このようの場合は、GVIおよびFRAパラメータで各処理の試行回数と間隔を調整してください。

設定例は以下のとおりです。以下では、ログレベルをINFO、ログサイズを1000000バイトに設定しています。

LOGLEVEL=INFO
LOGSIZE=1000000

3.4.4. ログファイル

ここでは、連携コネクタのログファイルについて説明します。

CLUSTERPROのログ情報については、以下のドキュメントを参照してください。

3.4.4.1. ログファイル

連携コネクタのログファイルは以下に出力されます。

C:\Program Files\CLUSTERPRO\log\clp_shi_connector0.log
C:\Program Files\CLUSTERPRO\log\clp_shi_connector1.log

常にclp_shi_connector0.logが現在のログファイル、clp_shi_connector1.logが1世代前のログファイルとなります。

3.4.4.2. ログのフォーマット

連携コネクタのログのフォーマットを以下に示します。

ログフォーマット

yyyy/MM/dd HH:mm:ss.SSS LEVEL[P:PID][T:THREADID] __FILE__:__LINE__ FUNCTION MESSAGE

3.4.4.3. エラーメッセージ一覧

連携コネクタがログファイルに出力するエラーメッセージを以下に示します。

メッセージ

説明

対処

GetModuleFileName() failed. (%1)

GetModuleFileName()が失敗しました。(%1:エラーコード)

CLUSTERPROが正しくインストールされているか確認してください。

%1 does not exist. (%2)

設定ファイルが存在しません。(%1:ファイルパス、%2:エラーコード)

C:\Program Files\CLUSTERPRO\etc\
clp_shi_connector.conf が存在することを確認してください。

fopen() failed (errno=%1).

ファイルオープンに失敗しました。(%1:エラーコード)

下記が考えられます。確認してください。
- 設定ファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。

fclose() failed (errno=%1).

ファイルクローズに失敗しました。(%1:エラーコード)

ファイルシステムが破損していないか確認してください。

Length of line exceeds maximum length. see line %1

行が長すぎます。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

Value of LOGLEVEL is false. see line %1

LOGLEVELの値が不正です。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

LOGSIZE is not in the setting range. see line %1

LOGSIZEの値が範囲外です。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

Value of LOGSIZE is false. see line %1

LOGSIZEの値が不正です。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

The number of REFUSE_START_GROUP
_RESOURCE exceeds the maximum number. see line %d

REFUSE_START_GROUP_RESOURCEの数が多すぎます。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

The number of REFUSE_STOP_GROUP
_RESOURCE exceeds the maximum number. see line %d

REFUSE_STOP_GROUP_RESOURCEの数が多すぎます。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

Hyphen could not be used at beginning and end of group resource name. see line %d

ハイフン(-)はグループリソース名の先頭と末尾には使用できません。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

Length of group resource name exceeds the maximum length. see line %d

グループリソース名が長すぎます。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

Invalid character is used in group resource name. see line %d

グループリソース名に無効な文字が使用されています。(%1:行番号)

設定ファイルの該当行を確認してください。

Failed to get module file path.

モジュールのパスの取得に失敗しました。

CLUSTERPROが正しくインストールされているか確認してください。

Failed to combine path.

パスの結合に失敗しました。

CLUSTERPROが正しくインストールされているか確認してください。

Invalid options.

連携コネクタのオプションが無効です。

usageを参考に、オプションを正しく指定してください。

Module not found.

モジュールが見つかりません。

CLUSTERPROが正しくインストールされているか確認してください。

Cluster commands are not installed correctly. (%1)

CLUSTERPROが正しくインストールされていません。(%1:エラーコード)

CLUSTERPROが正しくインストールされているか確認してください。

Error during detection of cluster status. (%1)

クラスタの状態の検出中にエラーが発生しました。(%1:エラーコード)

CLUSTERPROが正しくインストールされているか、クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Cluster commands are installed correctly but cluster framework is not running. (%1)

CLUSTERPROは正しくインストールされていますが、クラスタが起動していません。(%1:エラーコード)

クラスタを起動してください。

Failed to initialize apicl. (%1)

apiclの初期化に失敗しました。(%1:エラーコード)

CLUSTERPROが正しくインストールされているか確認してください。

Failed to connect to the server. (%1)

サーバへの接続に失敗しました。(%1:エラーコード)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to get group resource status. (%1: %2)

グループリソースの状態の取得に失敗しました。(%1:エラーコード、%2:グループリソース名)

クラスタ構成情報が正しいか、グループリソース名が命名規約に沿っているか確認してください。

Group resource status is abnormal. (status: %1)

グループリソースの状態が異常です。(%1:状態)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to get server names. (%1)

サーバ名の取得に失敗しました。(%1:エラーコード)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to get hostname. (%1)

ホスト名の取得に失敗しました。(%1:エラーコード)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to get cluster group names. (%1)

グループ名の取得に失敗しました。(%1:エラーコード)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Cluster group does not exist.

グループが存在しません。

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to get group resource names. (%1)

グループリソース名の取得に失敗しました。(%1:エラーコード)

クラスタ構成情報が正しいか、グループリソース名が命名規約に沿っているか確認してください。

Failed to get cluster group status. (%1: %2)

グループの状態の取得に失敗しました。(%1:エラーコード、%2:グループ名)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to start group resource %1. (%2)

グループリソースの起動に失敗しました。(%1:グループリソース名、%2:エラーコード)

システム高負荷、メモリ不足、またはOSのリソース不足が考えられます。確認してください。

Failed to start group resource %1 because group resource is not OFFLINE.

グループリソースがオフラインになっていないため、グループリソースの起動に失敗しました(%1:グループリソース名)

グループリソースの状態を確認してください。

Failed to stop group resource %1. (%2)

グループリソースの停止に失敗しました。(%1:グループリソース名、%2:エラーコード)

システム高負荷、メモリ不足、またはOSのリソース不足が考えられます。確認してください。

Failed to stop group resource %s because group resource is not ONLINE.

グループリソースがオンラインになっていないため、グループリソースの停止に失敗しました。(%1:グループリソース名)

グループリソースの状態を確認してください。

Failed to create cluster resource name. (res: %1)

グループリソース名の生成に失敗しました。(%1:グループリソース名)

クラスタ構成情報が正しいか、グループリソース名が命名規約に沿っているか確認してください。

Failed to create cluster resource name. (SID: %1, INO: %2)

グループリソース名の生成に失敗しました。(%1:SAP System ID、%2:インスタンス番号)

クラスタ構成情報が正しいか、グループリソース名が命名規約に沿っているか確認してください。

Failed to get resource status. (%1: %2)

グループリソースの状態の取得に失敗しました。(%1:エラーコード、%2:グループリソース名)

クラスタ構成情報が正しいか、グループリソース名が命名規約に沿っているか確認してください。

Not found resource name. (name: %1)

グループリソース名が見つかりません。(%1:グループリソース名)

クラスタ構成情報が正しいか、グループリソース名が命名規約に沿っているか確認してください。

Not found ONLINE server index.

起動中のサーバインデックスが見つかりません。

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Resource %s is not ONLINE.

グループリソースがオンラインではありません。(%1:グループリソース名)

グループリソースの状態を確認してください。

Failed to get all server status. (%1)

全サーバの状態の取得に失敗しました。(%1:エラーコード)

クラスタ構成情報が正しいか確認してください。

Failed to open output file. (filename: %1)

出力ファイルのオープンに失敗しました。(%1:出力ファイル)

下記が考えられます。確認してください。
- 設定ファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。

Failed to write file. (filename: %1, message; %2:%3:%4:)

ファイルの書き込みに失敗しました。(%1:出力ファイル、%2:グループリソース名、%3:グループ名、%4:現在のノード)

ディスク空き容量不足が考えられます。確認してください。

Failed to write file. (filename: %1, message; <separate>)

ファイルの書き込みに失敗しました。(%1:出力ファイル)

ディスク空き容量不足が考えられます。確認してください。

Failed to write file. (filename: %1, message; %2)

ファイルの書き込みに失敗しました。(%1:出力ファイル、%2:現用系ノード)

ディスク空き容量不足が考えられます。確認してください。

Failed to write file. (filename: %1, message; %2:%3:%4:%5:)

ファイルの書き込みに失敗しました。(%1:出力ファイル、%2:SAP System ID、%3:インスタンス番号、%4:グループリソース名、%5:グループ名)

ディスク空き容量不足が考えられます。確認してください。

Failed to open log file. (%1, %2)

ログファイルのオープンに失敗しました。(%1:エラーコード、%2:ログファイル)

下記が考えられます。確認してください。
- ログファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。

Failed to set the file pointer to the end of log file. (%1)

ファイルポインタの末尾への移動に失敗しました。(%1:エラーコード)

ファイルシステムの破損が考えられます。確認してください。

Failed to rotate logfile.

ログローテートに失敗しました。

下記が考えられます。確認してください。
- ログファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。

Failed to get log file size. (%1)

ログファイルのサイズの取得に失敗しました。(%1:エラーコード)

下記が考えられます。確認してください。
- ログファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。

Failed to delete old log file. (%1)

古いログファイルの削除に失敗しました。(%1:エラーコード)

下記が考えられます。確認してください。
- ログファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。
- 古いログファイルがロックされています。

Failed to rename log file. (%1)

ログファイルのリネームに失敗しました。(%1:エラーコード)

下記が考えられます。確認してください。
- ログファイルに対するSAPservice<SID>のアクセス権がありません。
- ファイルシステムが破損しています。
- 古いログファイルが存在しています。
- 現在のログファイルがロックされています。

SMM_PATH is not defined.

(内部バージョン 12.1x以降)
パラメータSMM_PATHとその値が定義されていません。

clp_shi_connector.conf のパラメータ SMM_PATH に値を設定してください。

Failed to delete lock file. (filename: %1)

(内部バージョン 12.1x以降)
パラメータ SMM_PATH で指定されたディレクトリ配下のファイルの削除に失敗しました。(%1:ファイル名)

clp_shi_connector.conf のパラメータ SMM_PATH の値が正しいか確認してください。

Failed to resume cluster. (SID: ${sid}, INO: ${ino}).

(内部バージョン 12.1x 以降)
クラスタのリジュームに失敗しました。

クラスタの状態を確認してください。

Failed to create lock file. (filename: %1)

(内部バージョン 12.1x以降)
パラメータ SMM_PATH で指定されたディレクトリ配下へのファイルの作成に失敗しました。(%1:ファイル名)

clp_shi_connector.conf のパラメータ SMM_PATH の値が正しいか確認してください。

Failed to suspend cluster. (SID: ${sid}, INO: ${ino})

(内部バージョン 12.1x以降)
クラスタのサスペンドに失敗しました。

クラスタの状態を確認してください。

4. その他

4.1. SAP NWのアップデート

SAP NWのアップデートを行うには、Software Update Manager (以降、SUMと表記) を使用してください。SUMを使ったアップデートはSAPインスタンスの再起動を伴うため、SAPコンポーネントが稼動している状態を維持しようとするCLUSTERPROの動作に干渉する可能性があります。CLUSTERPROに対する干渉を回避するためには、SUMによって再起動されるSAPの全コンポーネントに対するCLUSTERPROの監視機能を一時停止します。

CLUSTERPROの監視機能を一時停止するには、以下の2通りの方法があります。

  • クラスタ全体を一時停止する

  • 関係するインスタンスやインスタンスサービスに対するモニタリソースを一時停止する

クラスタもしくはモニタリソースの一時停止中に、SUMを使ってアップデートを実行してください。アップデートが完了したら、一時停止したクラスタもしくはモニタリソースを再開してください。

クラスタやモニタリソースの一時停止・再開方法については、以下のドキュメントを参照してください。

内部バージョン 11.3x/12.0x の場合

  • 『リファレンスガイド』の「第1章 WebManagerの機能」-「WebManagerから実行できる操作」

内部バージョン 12.1x以降の場合

  • Cluster WebUIのオンラインマニュアル

4.1.1. メンテナンスモード(内部バージョン 12.1x 以降)

sapcontrolコマンドおよびSAP 管理コンソールからメンテナンスモードの有効/無効の切り替えが可能です。メンテナンスモード、sapcontrolコマンドの詳細はSAP提供のドキュメントを参照してください。

メンテナンスモードを有効にすると、SAP連携コネクタからクラスタサスペンドを実行します。
メンテナンスモードを無効にすると、SAP連携コネクタからクラスタリジュームを実行します。
メンテナンスモードを利用する場合は競合防止のため、Cluster WebUIおよびclpclコマンドからクラスタサスペンド/クラスタリジュームを実行しないでください。

sapcontrolコマンドにてメンテナンスモードを有効にする場合の例は以下のとおりです。

sapcontrol -nr <SID> -function HASetMaintenanceMode 1

sapcontrolコマンドにてメンテナンスモードを無効にする場合の例は以下のとおりです。

sapcontrol -nr <SID> -function HASetMaintenanceMode 0

メンテナンスモードを利用する場合は、アカウント SAPService<SID> を各クラスタノードのAdministratorsグループに追加してください。

4.2. 注意・制限事項

  • グループ起動/停止の注意事項(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)
    『リファレンスガイド』の「グループリソースの詳細」-「グループとは?」-「グループの起動待ち合わせ、停止待ち合わせについて」の「注意事項」を参照してください。
  • グループ起動/停止の注意事項(内部バージョン 12.1x以降の場合)
  • 半角空白文字の使用制限について
    ノード名、フェイルオーバグループ名、グループリソース名には半角空白を含まないでください。半角空白が含まれた場合、SAP NW インスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。
  • フェイルオーバグループの命名規則について
    ASCS/ERSインスタンスの排他制御用フェイルオーバグループは、命名規則に従ったフェイルオーバグループ名を設定してください。フェイルオーバグループ名が命名規則に従っていない場合、ASCS/ERSインスタンスの排他制御を正常に実施できなくなります。
  • スクリプトリソースの命名規則について
    SAP NWインスタンスの起動・停止を制御するスクリプトリソースは、命名規則に従ったリソース名を設定してください。リソース名が命名規則に従っていない場合、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。
  • SAP NW のインスタンス番号について
    SAP NWインスタンスのインスタンス番号は、クラスタノード全体でユニークになるように設定してください。重複する番号を持つSAP NWインスタンスがあると、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。ノード間、ノード内を問わず、インスタンス番号の重複がある場合は、いずれかのノードの SAP NW コンポーネントの再インストールとインスタンス番号の再割当てを実施してください。
  • ERSインスタンスの手動操作について
    ERSインスタンスはASCSインスタンスからロック情報をレプリケートするためのインスタンスです。冗長化のために、ASCSインスタンスが動作するノードとは異なるノードでERSインスタンスを動作させる必要があります。
    手動の操作であってもERSインスタンスをASCSインスタンスが動作しているノードで起動しないでください。
    また、ERSインスタンスを同時に2ノード以上で起動しないでください。
  • 1ノードのみ回復した場合について
    ERSインスタンスが動作するノードが回復しクラスタに加わる場合、ERSインスタンス用フェイルオーバグループは自動起動しません。
    ノードが正常に動作していることを確認した上で、ERSインスタンス用フェイルオーバグループを手動で再起動してください。
    ASCSインスタンスが動作していたノードが破損し、その後回復した場合、そのノード上で <共有ディスク>:\sapmnt フォルダが共有中であると表示される可能性があります。しかし、実際には同フォルダに対する共有は、ノード破損によってASCSフェイルオーバグループがフェイルオーバした先のノード上で有効となっているため、回復したノード上での共有はアクセス不可です。このアクセス不可状態の共有を手動で削除する必要があります。削除しない場合、このノードに対するASCSフェイルオーバグループのフェイルバックは失敗します。
  • 仮想コンピュータ名リソースの使用制限について
    本製品では仮想コンピュータ名リソースを使用しないでください。仮想コンピュータ名を使用した場合、SAP NWインスタンスの起動・停止を正常に制御できなくなります。
  • ASCS用のディスクリソースをフェイルオーバや停止する際に、WebManager(内部バージョン 11.3x/12.0x の場合)、Cluster WebUI(内部バージョン 12.1x以降の場合)に以下の警告メッセージが表示される場合がありますが、無視してください。

    種類:警告
    モジュール名:sdfunc
    イベントID:3201
    メッセージ:ディスク%1の切断を再実行中です。ディスクが使用中の可能性があります。確認してください。
    
  • PASインスタンスやAASインスタンスが動作中にASCS用フェイルオーバグループを停止させると(例.手動でのフェイルオーバ)、ASCS用フェイルオーバグループに属するミラーディスクや共有ディスクも停止するため、フェイルオーバ先のサーバにてASCSインスタンスサービスやASCSインスタンスの起動に失敗する場合があります。

  • AWS やMicrosoft Azure などのクラウド環境上にクラスタを構築する場合は、フローティングIP リソースの代わりにAWS 仮想IP リソースやAzure DNS リソースなどを使用してください。なお、AWS 仮想IP リソースなどによるASCS インスタンス用の仮想IP に関連付けされたホスト名を、名前解決できるようにしておく必要があります。

  • AWS環境においてCIFSリソースにより共有フォルダを公開している場合、フェイルオーバ先のノードでASCSインスタンスサービスの起動が失敗する場合があります。
    これはフェイルオーバの時間帯を跨いで <\\仮想ホスト名\共有名> へアクセスしているプロセスが存在すると、フェイルオーバ後に <\\仮想ホスト名\共有名> に新しく接続した場合にファイル共有へのアクセスに失敗するためです。
    この事象は Windows OS の仕様により発生します。
    この場合、CIFSリソースにおいて以下いずれかの設定変更により回避可能な場合があります。
    • CIFSリソースにおいて、「キャッシュを可能にする」をオフに変更

    • CIFSリソースにおいて、キャッシュ設定を「自動キャッシュ」に変更

    上記設定変更でも回避できない場合、サンプルスクリプトを以下のようにカスタマイズしてください。

    • ASCSインスタンスサービス開始用のサンプルスクリプト( SAP-Service\start.bat )中のsapcontrol -function StartService の前に timeout を挿入し共有フォルダが参照可能になるまで待ち合わせる(内部バージョン 12.1x以降のサンプルスクリプトでは対応済み)
  • メンテナンスモードについて(内部バージョン 12.1x 以降の場合)
    メンテナンスモードを利用する場合は競合防止のため、Cluster WebUIおよびclpclコマンドからクラスタサスペンド/クラスタリジュームを実行しないでください。
    clp_shi_connector.conf のパラメータ SMM_PATH には、各クラスタノードから書き込み可能なフォルダを指定してください。
    また、指定したフォルダ配下に手動でファイルやフォルダを作成しないでください。
    メンテナンスモードを利用する場合は、アカウント SAPService<SID> を各クラスタノードのAdministratorsグループに追加してください。
  • 適用が必要な SAP kernel のパッチレベルについて
    SAP NetWeaver に関する既知の不具合が修正されているため、 以下のパッチレベル以降の SAP kernel(SAPEXE、dw) を適用してください。
    パッチに関する詳細は SAP Note 1693245(https://launchpad.support.sap.com/#/notes/1693245)を参照してください。
    • SAP カーネルバージョン 749: patch level 800

    • SAP カーネルバージョン 753: patch level 515

    • SAP カーネルバージョン 773: patch level 225

    • SAP カーネルバージョン 777: patch level 32

    • SAP カーネルバージョン 780以降: patch level 0

  • フローティング IP リソースと AWS 仮想 IP リソースは、Windows OS の API を使用して NIC へフローティング IP アドレスや仮想 IP アドレスを追加しています。
    その際、skipassource フラグについては設定していないため、上記リソース活性後は skipassource フラグが無効となります。
    skipassource フラグを有効に設定する場合は、上記リソース活性後に PowerShell などで設定してください。