SigmaSystemCenterは、稼動中のマシンに障害が発生したとき、代替の予備マシンに切り替えることで、稼動中のマシン上で実行されている業務を継続させることができます。
この機能は、通常、N台の稼動マシンに対して1台の予備マシンを用意する構成で利用するため、N+1リカバリと呼ばれています。
1台の予備マシンで複数の業務をカバーすることができるため、効率的に可用性向上を実現することができます。
N+1リカバリの運用を行う環境では、概ね、以下の設定が必要です。後述の3種類の切り替え方法で、詳細な設定方法は異なります。以下は、Webコンソール上で設定を行う場合の例です。
[リソース]ビュー上で管理対象マシンを登録します。
管理対象マシンを[リソース]ビューへ登録し、OOB管理などハードウェア関連の設定を行います。必要に応じて、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアの登録も行います。
[運用]ビュー上で運用の定義を行います。
グループ、ホスト定義を作成し、監視やポリシーの設定を行います。ポリシーでは、監視のイベントとの組み合わせで復旧のアクションの定義を行いますが、ポリシーのテンプレートを使用することで簡易に設定できます。
その他、プロビジョニング中に実行するストレージ制御、ネットワーク制御、ソフトウェア配布の設定を、必要に応じて行います。
[リソース]ビュー上の稼動マシンや予備マシンを[運用]ビューに登録します。
現用のマシンとして管理するマシンはホスト定義へ割り当てを行い、予備マシンはグループプールに追加します。
上記の作業が完了すると、稼動中のマシンに障害が発生すると、自動的に切り替えの処理が行われるようになります。
また、マシン置換の操作で、手動で切り替えを行うことも可能です。
なお、稼動マシンと予備マシンは、同一のハードウェア構成を推奨しています。異なるハードウェア構成の場合、N+1リカバリによる切り替え実行後、OS動作に何らかの影響が発生する可能性があります。特にハードウェアの型番が異なる場合は、切り替え後、業務を続行できない影響が発生する可能性がありますので注意してください。
詳細については、下記製品サイトのFAQを参照してください。
「https://jpn.nec.com/websam/sigmasystemcenter/faq.html」
「Q4.本番機と予備機で、使用できるマシンに制限はありますか?」
SigmaSystemCenterでは、次の3種類の切り替え方法を提供しています。
稼動マシンのバックアップデータを、予備マシンへリストアすることで、切り替えを実現します。
稼動マシンのバックアップデータは、事前に、DeploymentManagerのバックアップ機能を利用して取得する必要があります。 切り替え時、SigmaSystemCenterは、DeploymentManagerの機能を利用して、取得済のバックアップデータを予備マシンへリストアします。
設定方法など詳細については、「1.5.3. DeploymentManagerのバックアップ・リストアの利用例」を参照してください。
ストレージ上にある稼動マシンのディスクボリュームを、予備マシンにつなぎ替えることで、切り替えを実現します。
切り替え時、SigmaSystemCenterは、ストレージ装置のLUNマスキング機能を利用して、稼動マシンとディスクボリュームの接続を切断し、予備マシンとディスクボリュームの接続を行います。
SANブート置換は、下記のメリットがあります。
切り替えが早い
SANブート置換では、ディスクの接続を切り替える処理や対象マシンの電源制御などを主に行います。これらの処理では、バックアップデータの転送や対象マシンの起動を繰り返す必要がないため、他のN+1リカバリの方法と比べて比較的に高速に処理を実行できます。
利用可能な構成が比較的に多い
SANブート置換は、主な処理となる管理対象マシンとディスクの接続と切断の機能や管理対象マシンの電源制御が利用可能であれば、基本的に利用可能です。切り替え対象のマシンの機種差異に影響を受ける機能が少ないため、物理環境では利用できる範囲は比較的に広いと言えます。
ただし、仮想環境(仮想マシンサーバ)ではSANブート置換は利用できません。
設定方法など詳細については、「6.4.10. SANブート置換の利用例」を参照してください。
UUID・MAC アドレス・WWPN/WWNNなど稼動マシンのハードウェア固有情報を、予備マシンに移し替え、予備マシンを稼動マシンとして振舞わせることで、切り替えを実現します。
移し替えの対象となるUUID・MAC アドレス・WWPN/WWNNなどのハードウェア固有情報は、複数のマシンに割り当てられるように仮想的なIDとして扱えなくてはなりません。UUID・MAC アドレス・WWPN/WWNNを仮想IDとして扱うためには、Express5800/SIGMABLADEで提供されるvIO コントロール機能を利用する必要があります。
仮想のUUID・MAC アドレス・WWPN/WWNNは、ブートコンフィグと呼ばれるマシンのプロファイル情報の1つとして設定されます。SigmaSystemCenterは、稼動マシンに割り当てられたブートコンフィグの割り当てを予備マシンに変更することで、切り替えを行います。
設定方法など詳細については、「SigmaSystemCenter ブートコンフィグ運用ガイド」を参照してください。