SigmaSystemCenterのストレージ関連の機能は、次の5つがあります。
管理対象マシンとディスクボリュームの接続と切断
SigmaSystemCenterは、ディスクアレイ(ストレージ装置)上のディスクボリューム(本書では"LUN"で説明する場合もあります。一般的には "論理ディスク" とも呼ばれています)を管理対象マシンで使用できるようにするためのディスクボリュームと管理対象マシンの接続の制御と、ディスクボリュームを管理対象マシン上で使用できなくなるようにするためのディスクボリュームと管理対象マシンの切断制御を行うことができます。
管理対象マシンとディスクボリュームの接続と切断の制御は、リソース割り当てや置換の操作時に実行される管理対象マシンに対するプロビジョニング処理の一部として実行されます。
また、ssc assign/release diskvolumeコマンドを使用して、管理対象マシンとディスクボリュームの接続と切断の制御のみを実行することも可能です。ssc assign/release diskvolumeコマンドは、マシン単独だけでなく、運用グループ上の全稼動マシンに一括して実行することも可能です。
ディスクボリュームの接続と切断の制御の対象となる管理対象マシンの種類は、物理マシンと仮想マシンサーバです。仮想マシンの場合、データストア上に仮想ディスクを作成したり、仮想化基盤製品のRDMの機能を使用してディスクボリューム(LUN)を利用できるようにしたりする必要があります。仮想マシンのストレージ関連については、「4.3. 仮想マシンに割り当てるデバイスのカスタマイズ」を参照してください。
ディスクボリュームの接続と切断の詳細については、「6.4. 管理対象マシンとディスクボリュームの接続」を参照してください。
ディスクボリュームの作成/削除/変更、IOPS制御の設定
任意のストレージプール上でディスクボリュームの作成/削除/変更を行うことができます。作成したディスクボリュームは、管理対象マシンとディスクボリュームの接続と切断の機能の対象として利用することができます。
ディスクボリュームの作成/削除/変更は、Webコンソールやssc create/delete/update diskvolumeコマンドで行うことができます。
ディスクボリュームの作成/削除/変更の機能は、iStorage、VNX/Unity、NetApp(変更は不可)で利用可能です。VMAX3には対応していません。
「6.6. ディスクボリュームの作成/削除/変更、IOPS制御の設定、使用状況の閲覧」を参照してください。
また、ディスクボリュームの作成や編集時にIOPS制御の設定を行い、ディスクボリュームのI/O流量をコントロールすることが可能です。「6.6.10. IOPS制御」を参照してください。
ストレージの使用状況、ストレージトポロジの表示、データレプリケーションの表示
ディスクボリュームが作成可能かどうかの確認のため、Webコンソールやssc show storagepoolコマンドを使用して、ストレージプールの使用状況の情報を閲覧することができます。
また、Webコンソールやssc show storagetopologyコマンドを使用して、ディスクアレイ上のディスクボリュームの管理対象マシンへの接続状況を確認することができます。本機能により、ディスクボリュームをデータストアやRDMディスクとして使用する仮想マシンサーバ、仮想マシンとの関係も確認することが可能です。
ディスクボリュームのレプリケーションボリュームの情報は、Webコンソールのストレージトポロジやssc show diskvolumeで確認することができます。
ストレージの仮想的な管理
タグ設定の機能により管理しているディスクアレイやストレージプールを仮想的に管理することができます。
ボリューム最適作成機能との組み合わせにより、性能要件や用途に合わせたストレージのリソース管理が容易になります。
「6.6.8. ボリューム最適作成」を参照してください。
iStorageの障害の監視
iStorageのディスアレイについて、ディスアレイから送信されるSNMP Trapを受信し、障害の監視を行うことができます。「6.8.1. iStorageのSNMP Trapによる監視」、「2.6.3. デバイス監視」を参照してください。
SigmaSystemCenterは、上記のストレージ管理の機能を、以下のとおり、連携対象の各ストレージ機種で提供されるさまざまな方法に対応して実現しています。
各ストレージ機種の独自管理方法に対応した方法
iStorage、VNX、NetAppの3種類のストレージでそれぞれ提供される独自の管理方法に対応しています。
SMI-Sを利用した方法
標準規格であるSMI-S(Storage Management Initiative Specification)に準じた方式でストレージを管理します。
独自管理の場合、下記のとおり、対象となるストレージの種類ごとに必要なストレージ管理ソフトウェア製品が異なります。これらのストレージ管理ソフトウェアを利用できない環境ではSigmaSystemCenterのストレージ管理の機能は動作しません。
iStorage : iStorageManager、iStorageManager Integration Base
VNX : Navisphere CLI
NetApp : Data ONTAP
SMI-Sの場合、SigmaSystemCenterは、各ベンダで提供されるストレージ管理機能を実装するプロバイダに接続するクライアントとして動作します。理論的には、SMI-Sの規格に準拠して動作するプロバイダが提供されるストレージ装置は、どのベンダでも管理が可能となります。
ただし、現在動作実績があるのは、iStorage、VNX/Unity、VMAX3です。他のストレージ装置を利用する場合は、サポート窓口まで問い合わせてください。
また、SMI-Sの場合、利用する構成・設定によってはサポートできない場合がありますのでサポート窓口まで問い合わせてください。
SigmaSystemCenterは、次の3種類のストレージ環境に対応します。ストレージ機種が対応するストレージ環境は、それぞれ異なります。
FC SAN : ファイバチャネルで構成されたSANにストレージ装置と管理対象マシンを接続して利用します。
iSCSI SAN : ストレージ装置と管理対象マシンをTCP/IPネットワークに接続し、iSCSIのプロトコルによりデータの送受信を行います。
NAS : ファイルサーバの機能を持つアプライアンスサーバと管理対象マシンをTCP/IPネットワークに接続して利用します。NFSなどのファイル共有のプロトコルを使用します。
SigmaSystemCenterが対応するストレージ環境とストレージ機種の組み合わせは以下のとおりです。下記の表では、SigmaSystemCenterの機能範囲に限定して説明を行っているため、各ストレージ機種が実際に対応するストレージ環境とは異なります。
機種 | FC SAN | iSCSI SAN | NAS | |
---|---|---|---|---|
NFS | CIFS | |||
iStorage | 利用可能 | 利用可能 | 利用不可 | 利用不可 |
VMAX3 | 利用可能 | 利用不可 | 利用不可 | 利用不可 |
VNX/Unity | 利用可能 | 利用不可 | 利用不可 | 利用不可 |
NetApp | 利用不可 | 利用不可 | 利用可能 | 利用不可 |
また、仮想化基盤製品とストレージ環境の組み合わせの対応可否も仮想化基盤製品ごとに異なります。SigmaSystemCenterが対応する仮想化基盤製品とストレージ環境の組み合わせは下表のとおりです。仮想化基盤製品とストレージ機種の利用可能な組み合わせについては、仮想化基盤製品の対応情報を確認してください。
ディスクボリューム(LUN)をデータストアとして利用する場合
仮想化基盤製品 | FC SAN | iSCSI SAN | NAS | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|
NFS | CIFS | ||||
VMware | 利用可能 | 利用可能 | 利用可能 | 利用不可 | |
Hyper-V | 利用可能 | 利用可能 | 利用不可 | 利用不可 | |
KVM | 利用可能 | 利用不可 | 利用可能 | 利用不可 | ssc create datastoreコマンドによるデータストア作成はNFSのみ可 |
ディスクボリューム(LUN)をRDMタイプの拡張ディスクとして利用する場合
仮想化基盤製品 | FC SAN | iSCSI SAN | NAS | |
---|---|---|---|---|
NFS | CIFS | |||
VMware | 利用可能 | 利用可能 | 利用不可 | 利用不可 |
Hyper-V | 利用可能 | 利用可能 | 利用不可 | 利用不可 |
KVM | 利用不可 | 利用不可 | 利用不可 | 利用不可 |
なお、管理対象マシンのハードウェア、ディスクアレイ、ストレージ管理ソフトウェアの具体的な設定方法については、本書では説明しません。それぞれに付属しているマニュアルを参照してください。
また、iStorage E1シリーズを管理対象にする場合については、本書では説明しません。「SigmaSystemCenter iStorage E1 利用ガイド」を参照してください。