IPアドレスプールは、論理ネットワークを構成する要素の1つで、管理対象マシンにセットするIPアドレス群を貯めておき、必要時にIPアドレスを払い出す仕組みを持った機能です。イメージ展開の機能により構築する管理対象マシンに割り当てるIPアドレスを自動で設定する場合に本機能を使用します。イメージ展開については、「 1.4. イメージ展開について 」 を参照してください。
IPアドレスプールは、IPv4とIPv6の各IPのバージョンごとに、設定を行うことができます。
[運用]ビュー上でマスタマシン登録を除く次の稼動の操作を行うと、対象ホストの設定に対してIPアドレスの払い出しが行われます。
リソース割り当て
新規リソース割り当て
スケールアウト
用途変更
このとき、操作対象のホストに関連する設定では、次の設定になっている必要があります。条件を満たさない場合は、IPアドレスの払い出しは行われません。
操作対象のホスト設定上で、対象のNICにIPアドレスの設定がない
操作対象のグループ/モデル/マシンプロファイルで指定されている論理ネットワークにIPアドレスプールの設定がある
上記の払い出しの確認は、IPv4とIPv6の各IPのバージョンごとに行われます。たとえば、IPアドレスプールにIPv4とIPv6の両方の設定がある場合、両方のアドレスの払い出しについて、確認が行われます。
IPアドレスの払い出しが行われると、対象となったホスト設定では、払い出されたIPアドレスが設定された状態になります。ホスト設定を確認することで払い出されたIPアドレスを確認することができます。IPアドレスプールから払い出されてホスト設定に設定されたIPアドレスは、ホスト設定で明示的に指定された場合と同様に使用されます。
次の操作を行うとホスト設定へのIPアドレス設定の適用は解除され、払い出されたIPアドレスはIPアドレスプールに回収されます。
割り当て解除
スケールイン
用途変更(いったん、回収された後、用途変更先でIPアドレスプールの設定がある場合、再度払い出しが行われる)
IPアドレスプールから払い出されるIPアドレスは、IPアドレスプール内で一意です。複数のホストに同じIPアドレスが重複して払い出されることはありません。複数のグループ/モデル/マシンプロファイルに対して、同一の論理ネットワークが設定されている場合、そのグループ/モデル/マシンプロファイル共通で一意のIPアドレスが払い出されます。また、ホスト設定に手動で設定されたIPアドレスが、IPアドレスプールの払い出し範囲と重複する場合、そのIPアドレスは払い出されません。
IPアドレスプールの払い出し対象のホストのOSに対して直接IPアドレスを設定する場合、直接設定するIPアドレスはIPアドレスプールと重複しないように設定する必要があります。設定が重複する場合、複数のホストが同じIPアドレスで動作する可能性があります。重複する可能性があるIPアドレスは、後述の図のように、IPアドレスプールに払い出しの除外対象として登録してください。
なお、SigmaSystemCenterでIPアドレスプールからのIPアドレス払い出し機能を使用せず、DHCPで払い出されたIPアドレスを使用する運用の場合は、次のようにIPアドレスプールを使用しない設定にする必要があります。
操作対象のホスト設定上で、対象のNICにIPアドレスの設定がない
操作対象のグループ/モデル/マシンプロファイルで指定されている論理ネットワークにIPアドレスプールの設定がない
または、論理ネットワークの指定がない
IPアドレスプールは、次の設定で構成されます。
プール名 :
IPアドレスプールの名前を指定します。
サブネットマスク(IPv4のみ) :
払い出すIPアドレスのサブネットマスクを指定します。IPアドレスプールが払い出すIPアドレスは、割り当てるIPアドレスの範囲の指定とサブネットマスクの指定の組み合わせで決定します。
サブネットプレフィックス長(IPv6のみ) :
払い出すIPアドレスのサブネットプレフィックス長を指定します。IPアドレスプールが払い出すIPアドレスは、割り当てるIPアドレスの範囲の指定とサブネットプレフィックス長の組み合わせで決定します。
ゲートウェイ :
ゲートウェイのIPアドレスを設定します。
割り当てるIPアドレス範囲 :
払い出すIPアドレスの範囲を指定します。サブネットマスクが設定されている必要があります。
名前 :
メモとして使用します。
開始アドレス、終了アドレス :
払い出すIPアドレスの範囲を設定します。
Public IP(IPv4のみ) :
表示用に使用するIPアドレスです。外部ネットワークから見える管理対象マシンのIPアドレスがNATで変換される場合に使用します。Public IPは、ポータルサイトなどで閲覧することができます。
管理用IPアドレスにする(IPv4のみ) :
払い出すIPアドレスを管理用IPアドレスとして使用するかどうかを指定します。同一ホスト上の複数のNICに管理用IPアドレスにする指定がある場合は、小さいNIC番号のNICに適用されたIPアドレスが管理用IPアドレスとして設定されます。ホスト設定に明示的に管理用IPアドレスの指定がある場合は、ホスト設定の管理用IPアドレスの指定が優先されます。
除外するIPアドレス範囲 :
払い出しを除外するIPアドレスの範囲を指定します。複数追加が可能です。次の情報で構成されます。
名前 :
メモとして使用します。
開始アドレス、終了アドレス :
除外するIPアドレスの範囲を設定します。範囲で指定する以外に、終了アドレスを省略して、単一アドレスの指定ができます。
次の図は、IPアドレスプールの利用イメージです。
次の表では、SigmaSystemCenterの各利用方法について、IPアドレスプールの払い出しの動作と管理対象マシンへのIPアドレスの適用の動作の関係を説明しています。対象のグループ/モデル/マシンプロファイルにIPアドレスプールが設定された論理ネットワーク設定を指定していることを前提とします。
操作対象 |
SigmaSystemCenterの 利用内容 |
IPアドレスプールからのIPアドレスの払い出し |
SigmaSystemCenterの IPアドレスの適用動作 |
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物理マシン |
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実行される |
IPアドレスプールから払い出されたIPアドレスが管理対象マシンに適用されます。 |
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実行されない |
ホスト設定で指定したIPアドレスが管理対象マシンに適用されます。 | |
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実行されるが、有効に使用されない。 |
フルバックアップ型ディスクイメージを使用しているため、固有情報反映の動作はなく、管理対象マシンに対してIPアドレスプールから払い出されたIPアドレスは適用されません。IPアドレスプールに管理用IPアドレスにする指定がある場合は、払い出された管理用IPアドレスが管理対象マシンのIPアドレスと一致しない問題が考えられます。IPアドレスプールではなく、ホスト設定で明示的に管理用IPアドレスを指定するようにしてください。 | |
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実行されない |
マスタマシン登録の操作を行った場合は、IPアドレスプールからの払い出しは行われません。マスタマシン登録の対象マシンに対して管理用IPアドレスの設定を行いたい場合は、ホスト設定で明示的に管理用IPアドレスを指定してください。なお、ホスト設定で明示的にIPアドレスの指定を行った場合も、マスタマシン登録の場合はソフトウェア配布が実行されず、固有情報反映の動作はないので管理対象マシンへIPアドレスの適用は行われません。 | |
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サポート対象外 |
チーミングの設定を行う場合は、IPアドレスプールではなく、ホスト設定で明示的にIPアドレスの設定を行ってください。 | |
仮想マシンサーバ |
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サポート対象外 |
仮想マシンサーバについては、IPアドレスプールではなく、ホスト設定で明示的にIPアドレスの設定を行ってください。 |
仮想マシン |
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実行される |
IPアドレスプールから払い出されたIPアドレスが管理対象マシンに適用されます。 |
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実行されない |
ホスト設定で指定したIPアドレスが管理対象マシンに適用されます。 | |
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実行されない |
マスタマシン登録の操作を行った場合は、IPアドレスプールからの払い出しは行われません。ホスト設定で明示的にIPアドレスを設定した場合も、マスタマシン登録ではソフトウェア配布が実行されないので、管理対象マシンへIPアドレスの適用は行われません。 |