Pin制約は、仮想マシンを指定した仮想マシンサーバに固定 (pin) する制約です。この制約を指定した場合、VM移動操作、最適配置機能、および、最適起動機能は、仮想マシンを指定された仮想マシンサーバ以外への移動を行いません。1台の仮想マシンを複数台の仮想マシンサーバに固定した場合、その範囲内でのみ移動を行います。
制約先となる仮想マシンサーバのホスト設定にリソースが割り当てられていない場合でも、その制約は効果を持ちます。このため、このような制約しか存在しない状況では、VM移動操作、最適配置機能、および、最適起動機能は仮想マシンの移動 / 起動を実行できなくなります。
表: Pin制約のない仮想マシンサーバへの移動可否(○:移動可能、×:移動不可、-:影響しない)
操作/機能 | 対象VMに制約あり | 対象VMに制約なし | ||
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基本的な動作 | forceが設定された 制約がある場合 | weakが設定された 制約がある場合 | ||
負荷分散/省電力/配置制約適用 | × | - | - | ○ |
VM退避 | ○ | × | - | ○ |
最適起動/作成 | × | - | ○(*1) | ○ |
VM移動 | × | - | ○(*1) | ○ |
*1 : ただし、制約先の仮想マシンサーバがすべて利用できない場合
VM退避操作においても、設定した制約には可能な限り従います。しかし、制約に従った場合に仮想マシンの移動ができないと判断した場合、最適配置機能は制約を無視して移動を試みます。VM退避操作においても、常に仮想マシンの移動先を制約する場合は、forceオプションを指定して制約を設定してください。この場合、最適配置機能は仮想マシンの移動が不可能な場合においても、制約を守り移動を行いません。
同一の仮想マシンにおいて、forceオプションが設定された制約と、設定されていない制約が混在している場合、VM退避操作時にはforceオプションが指定された制約のみが利用され、設定されていない制約は無視されます。VM移動操作、最適起動機能、負荷分散、および省電力機能の場合には、両方の制約が利用されます。
Pin制約には優先度 (priority) を設定することができます。優先度は1から4の範囲で設定し、値が小さい制約が優先して利用されます。最適配置機能、および、最適起動機能は、優先度の高い制約を優先し、移動先を決定します。
VM退避操作では、forceオプションによる制限が優先度より優先されます。つまり、同一の仮想マシンに対して、forceオプションが設定された制約と、設定されていない制約が混在した状態で設定されている場合、forceオプションが設定されていない制約は、その優先度に関わらず利用されません。最適起動、負荷分散、省電力機能の場合、forceオプションの有無は、優先度の算出に影響を与えません。
最適起動機能では、制約先の全仮想マシンサーバが故障(一部故障)状態、もしくはメンテナンス状態にある場合、仮想マシンを起動できません。このようなときに、配置制約よりも仮想マシンを起動することを優先したい場合は、制約にweakオプションを設定してください。仮想マシンにweakオプションが指定されている制約が1つ以上存在するとき、制約先の全仮想マシンサーバが利用不可能(故障状態、またはメンテナンス状態)な場合に限り、制約先でない仮想マシンサーバ上で仮想マシンが起動されます。
最適配置機能については、weakオプションは影響しません。このため、制約先の全仮想マシンサーバが利用できない場合、最適配置機能はVM退避操作時を除き、仮想マシンの移動を抑制します。
制約グループを利用した場合、仮想マシンから、同一の仮想マシンサーバに対して複数のPin制約が設定される場合があります。この場合において、各Pin制約の間で優先度、オプションが異なっている場合には、「4.7.19. 配置制約の整合性確認」に記載の条件に従い、有効なPin制約が1つ選択されます。このようなPin制約を行う場合は、制約がどのように適用されるかに注意し、設定を行ってください。
forceオプションとweakオプションは併用することが可能です。併用した場合、VM移動操作、および、最適起動時にはweakオプションを、仮想マシンサーバのVM退避時にはforceオプションを考慮して移動先を決定します。負荷分散、および省電力機能においては、これらのオプションの影響はありません。
最適作成機能については、作成対象となる仮想マシンのホストにPin制約が存在する場合、制約に従って作成先が制限されます。