仮想マシンの作成先候補となる仮想マシンサーバとデータストアは、次の図の例のように、SigmaSystemCenter の設定や仮想マシン作成実行時の条件により決定します。図の例では、VMサーバ2とデータストア1が作成先となります。
次に、具体的な選択基準について、説明します。
次の(1),(2),(3)のすべての条件を満たす仮想マシンサーバが作成先の候補となります。
(1) 作成先仮想マシンサーバの範囲
テナント運用の場合(テナント配下のグループにVMを作成する場合)
作成対象の仮想マシンが所属するカテゴリ/グループ/モデルでリソースプールが指定されている場合は、そのリソースプールのグループに所属する仮想マシンサーバが候補となります。複数階層でリソースプールが指定されている場合は、下位層のリソースプールが優先されます。
カテゴリ/グループ/モデルでリソースプールが指定されていない場合、テナントに割り当てられたリソースプールに所属する仮想マシンサーバが候補となります。
割り当てられたリソースプールが複数存在する場合は、それらに所属するすべての仮想マシンサーバが候補となります。
(リソースプールが割り当てられていない場合は異常終了となります。)
テナント運用でない場合
作成対象の仮想マシンが所属するカテゴリ/グループ/モデルでリソースプールが指定されている場合は、そのリソースプールのグループに所属する仮想マシンサーバが候補となります。複数階層でリソースプールが指定されている場合は、下位層のリソースプールが優先されます。
カテゴリ/グループ/モデルでリソースプールが指定されていない場合は、指定テンプレートと同じデータセンタに所属する仮想マシンサーバが対象となります。
(2) テンプレートの有効範囲
使用するテンプレートの種類によって、以下の通り有効範囲が異なります。
仮想化基盤の種類 | テンプレート種類 | 配置先候補となる仮想マシンサーバの対象範囲 |
---|---|---|
VMware(VC管理) | Full Clone | 使用テンプレートと同じvCenter Server管理サーバで管理されている仮想マシンサーバ |
VMware(VC管理) | HW Profile Clone | 使用テンプレートと同じvCenter Server管理サーバで管理されている仮想マシンサーバ |
VMware(VC管理) | Differential Clone | 使用テンプレートと同じvCenter Server管理サーバで管理されている仮想マシンサーバ |
VMware(VC管理) | Disk Clone | 使用テンプレートと同じvCenter Server管理サーバで管理されている仮想マシンサーバ |
スタンドアロンESXi | HW Profile Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
スタンドアロンESXi | Linked Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
スタンドアロンESXi | Disk Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
XenServer | Full Clone | テンプレートを格納するデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
XenServer | Differential Clone | 使用テンプレートと同じデータセンタに所属する仮想マシンサーバ |
XenServer | Disk Clone | 使用テンプレートと同じデータセンタに所属する仮想マシンサーバ |
Hyper-Vクラスタ | HW Profile Clone | 使用テンプレートと同じデータセンタに所属する仮想マシンサーバ |
Hyper-Vクラスタ | Differential Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
Hyper-Vクラスタ | Disk Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
Hyper-V単体 | HW Profile Clone | 使用テンプレートと同じデータセンタに所属する仮想マシンサーバ |
Hyper-V単体 | Differential Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
Hyper-V単体 | Disk Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
KVM | Differential Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
KVM | Disk Clone | テンプレートに関連付いているイメージの格納先のデータストアと接続されている仮想マシンサーバ |
(3) 作成先仮想マシンサーバの条件
作成先となる仮想マシンサーバは、以下の条件を満たす必要があります。
管理中である。
メンテナンスモードではない(「2.3.4. メンテナンスモードについて」参照)。
他の操作が行われていない。実行ステータスが実行中でない。
ハードウェアステータスが "故障" / "一部故障" 状態ではない。
稼動ステータスが稼動状態である。
仮想マシンのマシンプロファイルに設定されたすべてのネットワークに接続されていること
電源状態、OSステータスがOnである。
管理状態がVM起動抑制でない。
また、作成対象の仮想マシンにPin制約が設定されている場合は、制約先となる仮想マシンサーバのみが候補となります。EQ制約については、設定は無視されます。
次の条件を満たすデータストアが作成先の候補となります。
上記1により決定された作成先候補となる仮想マシンサーバと接続されているデータストアが候補となります。
VMサーバグループ/モデルの「データストア設定」でVM作成先として設定されているデータストアのみが候補となります。
マシンプロファイルで仮想ディスクの作成先データストアが指定されている場合は、指定されたデータストアが作成先となります。
マシンプロファイルで仮想ディスクの作成先データストアがタグ指定されている場合は、指定されたタグが設定されたデータストアのみが候補となります。
以下の基準により、候補の中から作成先となる仮想マシンサーバとデータストアが選択されます。
(1) 作成先仮想マシンサーバの選択基準
Pin制約の優先度 (Pin制約が設定されている場合)
優先度の値が小さいものを優先します。
所属リソースプールの作成可能VM数 (作成先リソースプールが未指定で、候補が複数存在する場合)
より多くの仮想マシンを作成可能なリソースプールに所属する仮想マシンサーバを優先します。
作成先データストア
後述の「(2) 作成先データストアの選択基準」により、作成先として最も適切と判断されたデータストアと接続された仮想マシンサーバを優先します。
メモリ予約値 (CPU/メモリ判定が有効(※1)の場合)
仮想マシンサーバのシステム分のメモリ予約(※2)と仮想マシンサーバ上で動作する仮想マシンのメモリ予約値の合計が上限(仮想マシンサーバのメモリサイズ)を超過しないものを優先します。
CPU予約値 (CPU/メモリ判定が有効(※1)の場合)
仮想マシンサーバのシステム分のCPU予約(※3)と仮想マシンサーバ上で動作する仮想マシンのCPU予約値の合計が上限(仮想マシンサーバの総CPU周波数)を超過しないものを優先します。
メモリ使用量 (CPU/メモリ判定が有効(※1)の場合)
メモリ使用量が上限(※4)を超過しない仮想マシンサーバを優先します。
CPU使用量 (CPU/メモリ判定が有効(※1)の場合)
CPU使用量が少ない(低負荷な)仮想マシンサーバを優先します。
コスト値 : 空きが多いものを優先
仮想マシンサーバのキャパシティ値から仮想マシンサーバ上で動作する仮想マシンのコスト値合計を引いた値が大きいものを優先します。仮想マシンサーバのキャパシティ値はVMサーバ編集で設定します。作成する仮想マシンのコスト値はテンプレートおよびマシンプロファイルで設定します。既存の仮想マシンのコスト値はVM編集で設定します。
(※1) CPU/メモリ判定の有効/無効は以下のレジストリ値によって設定します(既定では無効)。
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\NEC\PVM\Engine
値 (型) : CreateVM_HostResourceUsage (REG_DWORD)
0 : 無効 (既定値)
1 : 有効
(※2) 仮想マシンサーバのシステム分のメモリ予約は以下のレジストリ値によって設定します。
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\NEC\PVM\Engine
値 (型) : HostSystemMemoryRatio (REG_SZ)
0.0以上1.0以下の値のみ有効。範囲外またはフォーマット不正の場合、既定値となる。
既定値は0.1
(※3) 仮想マシンサーバのシステム分のCPU予約は以下のレジストリ値によって設定します。
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\NEC\PVM\Engine
値 (型) : HostSystemCpuRatio (REG_SZ)
0.0以上1.0以下の値のみ有効。範囲外またはフォーマット不正の場合、既定値となる。
既定値は0.05
(※4) メモリ使用量の上限は、仮想マシンサーバのメモリサイズと、以下のレジストリ値によって設定されるメモリオーバーコミット率によって決定されます。
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\NEC\PVM\Provider\VM\{仮想化基盤}
{仮想化基盤} は VMware, Xen, HyperV のいずれか。
値 (型) : MemoryOverCommitRatio (REG_SZ)
0.0以上2.0以下の値のみ有効。範囲外の場合、メモリ使用量の超過判定は無効となる。
既定値は1.0
(2) 作成先データストアの選択基準
VM数上限(※1)・使用率上限(※2)
いずれも超過しないデータストアを優先します。
データストアの優先度
優先度の値が小さいデータストアを優先します。データストアの優先度はVMサーバグループ/モデルの「データストア設定」で指定します。
共有数(接続されている仮想マシンサーバの数)
より多くの仮想マシンサーバに接続されているデータストアを優先します。
稼動中仮想マシン数
VM数上限(※1)に対する空きが多いデータストアを優先します。(分散)
使用量
使用率上限(※2)に対する空きが多いデータストアを優先します。(分散)
(※1) VM数上限は[運用]ビューの「リソースプール」または[仮想]ビューの「データストア編集」で設定します(既定値:100)。VM数上限は絶対的な上限値ではないため、他に作成可能な場所が存在しない場合、指定値を超過して仮想マシンが作成される場合があります。
(※2) 使用率上限は[運用]ビューの「リソースプール」または[仮想]ビューの「データストア編集」で設定します(既定値:80%)。使用率上限は絶対的な上限値ではないため、他に作成可能な場所が存在しない場合、指定値を超過して仮想マシンが作成される場合があります。