イメージ展開の概要について説明します。
対象環境別のイメージ展開の利用例については、以下を参照してください。
イメージ展開は、マスタマシンのイメージを複数のマシンにそれぞれの固有情報を適用して展開するための機能です。イメージ展開の機能を利用することで、SigmaSystemCenterから管理対象マシンに対して自動的な構築を行うことが可能になります。後述の図のように、マスタマシンのイメージの取得を行った後、取得したイメージと固有情報の設定を使用し対象マシンに対し展開を行います。
イメージ展開は、同一イメージに固有情報を付加して複数のマシンに対し展開を行うため、大量のマシンの構築作業を行うときなどに効率的に作業ができるメリットがあります。
その反面、固有情報の適用処理を行う分トータルの処理時間が長くなったり、Sysprepの準備などの余分な作業が必要となったりなどのデメリットもあります。
物理環境におけるN+1切り替えの障害復旧の用途では、通常、固有情報の適用の処理を必要としないため、バックアップ・リストアのみのイメージ復元が利用されます。イメージ展開は通常利用されません。
イメージ展開を行うための作業は、展開のための準備、およびマスタマシンのイメージを取得するフェーズと、対象のマシンへ取得したイメージを展開するフェーズの、2つのフェーズにわかれます。
(1)イメージ展開の準備、マスタマシンのイメージ取得
固有情報を適用するためのツールの準備と、マスタマシンからイメージの取得を行います。
(1-1)固有情報を適用するためのツール準備や実行
固有情報の適用は、DeploymentManager とvCenter Serverのどちらかの製品を使用して行います。
物理環境では、固有情報の適用のためにDeploymentManagerを使用します。
仮想環境における固有情報の適用のために使用する製品がDeploymentManagerとvCenter Serverのどちらになるかは、使用する仮想化基盤製品とテンプレートの種類に依存します。「4.4.1. テンプレート」を参照してください。
固有情報を適用するためのツールの種類や準備の方法は、次のように、対象となる環境や利用方法により異なります。
DeploymentManagerによる固有情報の適用を行う場合、Built-inのマスタマシンセットアップシナリオを使用して、準備を行います。マスタマシンセットアップシナリオにより、SysprepやLinuxRepSetUp関連の準備作業が簡略化できます。
対象環境が仮想環境でvCenter Serverによる固有情報の適用を行う場合は、準備作業はありません。
(1-2)マスタマシンのイメージ取得
マスタマシンからのイメージ取得の方法は、次のように、対象となる環境や利用方法により異なります。
対象環境が物理環境、または仮想環境で、HW Profile Cloneを使用する場合、DeploymentManager を使用してマスタマシンのバックアップを行い、展開型ディスクイメージを取得します。
対象環境が仮想環境の場合、テンプレート作成、イメージ作成の操作により、イメージを取得します。HW Profile Cloneについては、テンプレートの作成でイメージ取得が行われません。DeploymentManagerを使用して、バックアップによるイメージ取得を行う必要があります。
(2)対象マシンへイメージ展開
次に、対象のマシンに対しイメージの展開を行います。イメージ展開では、対象マシンに対し、(1)で取得したイメージを適用し、ホスト名やIPアドレスなどの固有情報を適用します。
(2-1)イメージ展開の処理の設定
イメージ展開の処理の設定は、新規リソース割り当てやリソース割り当てなどの管理対象マシンのプロビジョニングの処理の1つとして実行されるように、ソフトウェア配布の設定で行います。イメージ展開で使用するソフトウェアの種類は、次のように、対象となる環境や利用方法により異なります。
対象環境が物理環境、または仮想環境で、HW Profile Cloneを使用する場合、リストアのシナリオを使用します。シナリオで使用するイメージは、手順(1-2)で作成した展開型ディスクイメージを使用します。
対象環境が仮想環境の場合、手順(1-2)で作成したテンプレートやイメージを使用します。
指定可能なソフトウェアの配布のタイミングは、次のとおりです。
稼動時
置換時(物理環境のみ)
リソース割り当て時
(2-2)管理対象マシンへ適用する固有情報の設定
イメージ展開で適用する管理対象マシンの固有情報は、SigmaSystemCenter の次の設定で指定します。
ホスト名とIPアドレス
ホスト設定で指定します。
ホストプロファイル
グループとホスト設定で指定します。ホスト名とIPアドレス以外の固有情報は、ホストプロファイルとして設定を行います。
論理ネットワーク
論理ネットワークの以下の項目が、イメージ展開に関係します。
IPアドレスプール
IPアドレスを指定します。ホスト設定で明示的なIPアドレスの指定がなく、IPアドレスプールの設定がある場合は、ホスト設定に対してIPアドレスプールからIPアドレスが払い出されます。IPアドレスプールの詳細については、「5.5.4. IPアドレスプール」を参照してください。
静的ルート設定
静的ルート設定を指定します。「5.5.7. 静的ルート設定」を参照してください。
Sysprep応答ファイル
Windows OS標準の固有情報のカスタマイズを行うためのファイルです。SigmaSystemCenterで設定できない固有情報について設定を行いたいときに利用します。
(マスタマシンのパラメータファイル(ディスク複製用情報ファイル))
パラメータファイルは、DeploymentManagerを使用して固有情報の反映を行うときに使用する固有情報が記述されたファイルです。ホストプロファイルの設定によっては、イメージ展開の前にマスタマシンの固有情報が記述されたパラメータファイルの作成が必要な場合があります。
パラメータファイルは、イメージビルダを使用して作成します。
(2-3)イメージ展開が実行される操作を実行
(2-1),(2-2)で行った設定を使用して、イメージ展開が行われる操作を実行します。実行する操作は、次のように、対象となる環境により異なります。
物理環境の場合
リソース割り当て
スケールアウト
置換
用途変更
仮想環境(仮想マシン)の場合
新規リソース割り当て
※スタンドアロンESXi、Hyper-V環境でインポートありで行った場合、ホスト名、IPアドレス/DNS/WINS、管理者パスワードのみ固有情報の反映が可能です。
再構成(Reconstruct, Revert)
リソース割り当て
※仮想マシンに対するリソース割り当てでは、固有情報の適用の処理のみ動作します。イメージは使用されず、管理対象マシンに既に割り当てられているイメージに対して、固有情報の適用が行われます。
(展開後)システムカスタマイズシナリオによる固有情報の変更
ホスト名、IPアドレス/DNS/WINS、管理者パスワードについては、システムカスタマイズシナリオにより、個別に変更を行うことが可能です。
上記の変更のみを行う場合は、イメージ展開の処理を行わずに変更を行うことができます。
次の表のとおり、対象環境により、イメージ展開を行うために必要な環境が異なります。
対象環境、テンプレートの種類、対象の仮想環境の種類 | イメージ展開の実行環境の条件 | 左記条件のイメージ展開の動作における役割 |
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| DeploymentManagerが使用可能であること。 |
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DeploymentManager と同一のネットワーク内に、DHCPサーバが使用可能であること。 |
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イメージ展開の対象マシンで、PXEブートが有効になっていること。PXEブートするNICは、他のNICやハードディスクより先に起動するように設定されていること。 |
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| vCenter Serverが使用可能であること。 |
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| DeploymentManagerが使用可能であること。 |
|
DeploymentManager と同一のネットワーク内に、DHCPサーバが使用可能であること。 |
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