ルートリソースプール、およびサブリソースプールの"消費"、および"実際に消費"については、リソースプール監視機能により監視することができます。
リソースプール監視機能は、定期的にリソースプールの消費量を確認し、その使用量が以下の各閾値に達した(もしくは下回った)場合に、イベントの通報を行います。 これらの閾値については、後述するコマンド、およびレジストリにより変更することができます。
Info : 60%
Warning : 80%
Critical : 100%
イベントの通報は、最適配置機能によって行われます。
ルートリソースプールに対しては、以下のイベントが定義されています(注の1)。
区分 | イベントID | 意味 |
---|---|---|
VM最適配置通報 | Resource-Pool Critical Asserted | リソース使用率がCriticalの閾値に達した |
VM最適配置通報 | Resource-Pool Critical Deasserted | リソース使用率がCriticalの閾値を下回った |
VM最適配置通報 | Resource-Pool Warning Asserted | リソース使用率がWarningの閾値に達した |
VM最適配置通報 | Resource-Pool Warning Deasserted | リソース使用率がWarningの閾値を下回った |
VM最適配置通報 | Resource-Pool Info Asserted | リソース使用率がInfoの閾値に達した |
VM最適配置通報 | Resource-Pool Info Deasserted | リソース使用率がInfoの閾値を下回った |
サブリソースプールに対しては、以下のイベントが定義されています(注の1)。
区分 | イベントID | 意味 |
---|---|---|
VM最適配置通報 | Sub-Resource-Pool Critical Asserted | リソース使用率がCriticalの閾値に達した |
VM最適配置通報 | Sub-Resource-Pool Critical Deasserted | リソース使用率がCriticalの閾値を下回った |
VM最適配置通報 | Sub-Resource-Pool Warning Asserted | リソース使用率がWarningの閾値に達した |
VM最適配置通報 | Sub-Resource-Pool Warning Deasserted | リソース使用率がWarningの閾値を下回った |
VM最適配置通報 | Sub-Resource-Pool Info Asserted | リソース使用率がInfoの閾値に達した |
VM最適配置通報 | Sub-Resource-Pool Info Deasserted | リソース使用率がInfoの閾値を下回った |
これらのイベントを、ポリシーによる通報アクションの対象とすることで、リソースプールの使用率が一定に達したことを検出することが可能です。 標準ポリシー(仮想マシンサーバ)では、デフォルトでルートリソースプールに対する"Resource-Pool Warning Asserted"と"Resource-Pool Critical Asserted"のイベントが通報対象となります(注の2,注の3)。
なお、これらのイベントは、運用グループに関するイベントとして通報するため、通報、およびグループ操作の一部アクションを除き、実行することはできません。
実行可能なグループ操作アクション
グループ操作/ スケールアウト マシン起動
グループ操作/ スケールアウト マシン追加
グループ操作/ スケールイン マシン削除
グループ操作/ スケールイン マシン休止(サスペンド)
グループ操作/ スケールイン マシン停止(シャットダウン)
各イベントの詳細については、「SigmaSystemCenter リファレンスガイド データ編」の「1.1.7. 最適配置機能で検出できるイベント一覧」 を確認してください。
SigmaSystemCenter 3.0 以前からアップデートした場合は、自動では監視対象となりません。手動でアクションを追加するか、ポリシーをテンプレートから再作成する必要があります。
SigmaSystemCenter 3.0 Update 1 では、サブリソースプールに対して、ルートリソースプールと同一のイベントを発行していました。
このため、アップデート後は、サブリソースプールに対する通報が行われなくなります。サブリソースプールを通報対象とする場合には、手動でアクションを追加する必要があります。
リソースプール内の複数のリソースが同時に閾値に達した(下回った)場合、AssertedとDeassertedのそれぞれについて、1つのイベントにまとめて通報します。
異なる閾値に同時に達した(下回った)場合には、最も深刻な閾値に関するイベントとしてまとめて通報されます。
リソースプールのどのリソースが閾値に達した(もしくは下回った)かは、イベントのメッセージ内に記載されます。
イベントのメッセージは、以下の書式で出力されます。
[イベントID].
Resource-Pool: [リソースプール名],
[閾値種別]: [リソース1の名称]([リソース1の消費量区分]) [前回使用率]% -> [今回使用率]%,
[閾値種別]: [リソース2の名称]([リソース2の消費量区分]) [前回使用率]% -> [今回使用率]%,
...
[閾値種別]: [リソースnの名称]([リソースnの消費量区分]) [前回使用率]% -> [今回使用率]%
各要素の意味は、以下のとおりです。
イベントID: 通報するイベントIDです。
リソースプール名: 通報対象のリソースプール名です。
閾値種別: どの閾値に達した(下回った)かを示し、"Info","Warning","Critical"のいずれかとなります。
リソースの名称: どのリソースが閾値に達した(下回った)かを示します。
各値とその意味は、次のとおりです。
CPU: リソース種別"CPU"に対応する
vCPU: リソース種別"vCPU数"に対応する
Memory: リソース種別"メモリ"に対応する
Storage: リソース種別"データストア"に対応する
VM: リソース種別"VM数"に対応する
リソースの消費量区分: "消費"と"実際に消費"のどちらの区分に関する情報かを示します。各値とその意味は、次のとおりです。
Consumed: "消費"に関する情報
Actual: "実際に消費"に関する情報
前回使用率: 前回の監視時点の使用率です。ただし、前回監視時点でどの閾値にも達していなかったリソースに関しては、"--"が記録されます。
今回使用率: 今回の監視時点の使用率です。
例として、ある時点で、以下のようにリソース消費量が変化したと仮定します。
対象リソースプール: Pool-1 (ルートリソースプール)
vCPU数(消費): 前回 90/100, 今回 70/100
データストア(消費): 前回 70GB/100GB, 今回 85GB/100GB
データストア(実際に消費): 前回 85GB/100GB, 今回 100GB/100GB
メモリ(実際に消費): 前回 4000MB/10000MB, 今回 6000MB/10000MB
この場合、発生するイベントは、以下に記載するものになります。
イベント1: Resource-Pool Critical Asserted
イベント1のメッセージ
---
Resource-Pool Critical Asserted.
Resource-Pool: Pool-1,
Warning: Storage(Consumed) 70% -> 85%,
Info: Memory(Actual) --% -> 60%,
Critical: Storage(Actual) 85% -> 100%
---
イベント2: Resource-Pool Warning Deasserted
イベント2のメッセージ
---
Resource-Pool Warning Deasserted.
Resource-Pool: Pool-1,
Warning: vCPU(Consumed) 90% -> 70%
---
リソースプール監視機能の動作は、レジストリによって変更することができます。
設定できるレジストリキーは、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\NEC\PVM\ResourcePoolMonitorであり、指定可能な値は、以下の表のとおりです。
値名 | 型 | 設定範囲 | 意味 |
---|---|---|---|
Enable | REG_DWORD | 0、もしくは1 | 1の場合、監視機能を有効にする。デフォルトは有効(1)。変更した場合は再起動が必要。 |
WaitMinutes | REG_DWORD | 1から10080 | 起動から初回の監視までの時間(分)。デフォルトは30。変更した場合は再起動が必要。 |
IntervalMinutes | REG_DWORD | 1から10080 | 監視間隔時間(分)。デフォルトは60。変更した場合は再起動が必要。 |
InfoLevel | REG_DWORD | 0から10000 | 共通閾値(Info)の使用率。デフォルトは60。0で無効。 |
WarningLevel | REG_DWORD | 0から10000 | 共通閾値(Warning)の使用率。デフォルトは80。0で無効。 |
CriticalLevel | REG_DWORD | 0から10000 | 共通閾値(Critical)の使用率。デフォルトは100。0で無効。 |
リソースプール消費量に対する監視閾値は、sscコマンドにより、各リソースプールに対して個別に設定することが可能です。 この場合、各リソースプールに対し、リソース種別ごとに異なる閾値設定を行うことも可能です。
リソースプールに設定された個別の閾値設定は、レジストリに設定された共通閾値設定より優先して利用されます(個別の閾値設定では"デフォルト値"を指定することで、共通閾値設定の値を使用するように指定することができます)。 個別の閾値設定において、一部のリソース種別に対してのみ閾値設定を実施した場合は、設定されているリソース種別については個別の閾値設定を、そうでないリソース種別については共通閾値設定を使用します。
各リソースプール監視閾値設定に無効値(0)以外の値を設定する場合、Info < Warning < Critical の関係になるよう設定してください。 下位の閾値が、上位の閾値を上回っている場合、下位の閾値が無効と判断されます。 閾値設定で無効となっている閾値に対しては、イベントの通報は実施されません。
例として、共通閾値設定が Info=60%, Warning=80%, Critical=100% の場合について、個別閾値設定を行った場合の適用結果を示します。
リソース種別 | 個別閾値設定 | 適用される閾値 | 備考 |
---|---|---|---|
CPU | Info:50% Warning:70% Critical:90% | Info:50% Warning:70% Critical:90% | |
vCPU | Info:無効 Warning:70% Critical:100% | Info:無効 Warning:70% Critical:100% | |
Memory | 指定なし | Info:60% Warning:80% Critical:100% | 未設定なので共通閾値設定を利用 |
Storage | Info:デフォルト値 Warning:55% Critical:80% | Info:無効 Warning:55% Critical:80% | 共通閾値設定のInfo(60)が個別閾値の Warning(55)以上のため無効 |
VM | Info:50 Warning:75% Critical:デフォルト値 | Info:50% Warning:75% Critical:100% |