Standard / Enterprise 編

1. 構成

本ガイドの構成と各章の概要を以下に記します。

2. 概要

2.1. この章の目的

本ガイドではサンプルアプリケーションを利用し、実際にWebシステムを構築することで、構築を通してWebOTX ASの基本操作や製品構成を学ぶことを目的としています。

そのために、まずこの章ではWebOTX AS、やサンプルアプリケーション、今回これから構築するシステムの概要について説明します。

2.2. WebOTX AS について

2.2.1. ドメインについて

WebOTX ASでは管理リソースやサービス群を1つのグループとしてまとめた「ドメイン」と呼ばれる論理領域を基本構成単位としています。

複数ドメイン環境では各ドメインは独立に運用することが可能です。

ドメイン内には「Agent」と呼ばれるJavaプロセスが存在しており、WebOTX ASが提供する多くのサービスはAgentプロセス上で動作しています。

ドメインには「管理ドメイン」と「ユーザドメイン」の2種類のタイプがあり、各々以下の用途で用いられます。

WebOTX AS 概略1ststep

(*1)ドメイン... [ドメイン管理 ] を参照してください。

(*2)各サービスについて... [ ライフサイクルサービス ] を参照してください。

どちらのドメインタイプの場合もAgent上の「AdminService」と呼ばれるドメイン管理サービスによりドメイン内の全てのサービスやリソースを管理しています。WebOTX AS Standardではインストール時にWebコンテナの動作モードの選択をすることで、動作するプロセスを選択することができます。

既定値はアドバンスドモードとなっています。なお、本ガイドではアドバンスドモードを選択したときの操作を説明します。

2.2.2. アプリケーションサーバについて

一般にアプリケーションサーバはWebサーバ、Webコンテナ、EJBコンテナの主に3つのコンポーネントから構成されています。通常のWebアプリケーションが稼動するシステムは下図のような、Webサーバ、Java EEサーバ、データベースの3つで構成されることが一般的です。

コンポーネント間概略1ststep

(*)WebOTX ASではApache HTTP Server 2.2 および Apache HTTP Server 2.4 をバンドルしています。その他に利用できるWebサーバについては[ 提供機能 > Web層 > HTTPサーバ ] を参照してください。

WebOTX AS Standard / Enterpriseでは信頼性を高めるため、Webコンテナ、EJBコンテナはTPモニタと呼ばれる高信頼基盤システムの上で動作します。TPモニタでは業務アプリケーションをアプリケーショングループとプロセスグループという多段階の構成で管理しています。

例えば、あるオンライン受注システムを考えた場合、システムは販売管理、仕入れ管理、在庫管理など個々のサービスの集まりと考えることができます。このようなシステムの場合、独立した各サービスを構成するアプリケーションをそれぞれ別々のプロセスグループに配置し、管理することで障害発生時のシステムへの影響を局所化することが可能です。

さらに、TPモニタはプロセスグループ内のプロセス多重化など、メインフレームで培った多くの機能を備えており、業務の可用性を高めることが可能です。

コンポーネント間概略1ststep2

(*)TPモニタ、アプリケーショングループ、プロセスグループについては [ 提供機能 > TPモニタ ] を参照してください。

2.3. システム構成

本ガイドを通し構築するシステムの構成について説明します。

ここで示す構成は、WebOTX AS Standard をWindows環境にインストールする場合の一例です。その他のOSや詳細な動作環境に関しては、以下を参照してください。

ハードウェア

ハードウェア構成
本体 Express5800シリーズ
メモリ 最小 512 MB 推奨 1 GB以上
HDD 300MB以上

ソフトウェア

ソフトウェア構成
OS Windows Server(R) 2012 R2, Standard
データベース Oracle Database 12c Release 2 (12.2.0.1.0)
Java SDK Java SE 8
ブラウザ Internet Explorer 11.0
統合開発環境(IDE) Eclipse 4.6.3

なお、本ガイドではWebOTX ASの運用を「統合運用管理コンソール」から行います。統合運用管理コンソールはWebOTX ASをインストールすると自動的にインストールされます。

また、WebサーバとしてWebOTX ASにバンドルされているApache HTTP Serverを用いた手順を記載しています。 既にシステムにWebOTX ASと連携可能な外部Webサーバがインストールされており、そちらを使用したい場合は、 [ [ インストールガイド]を参照してください。 を参照し、システムを構築してください。

2.4. サンプルアプリケーションについて

2.4.1. 動作概要

本ガイドで用いるサンプルアプリケーションは架空の会社の人事管理システムを想定した簡単なWebアプリケーションです。サンプルアプリケーションではあらかじめデータベースに登録されている社員の情報(社員番号、名前、部署)を検索します。検索には社員番号、名前、部署のいずれかの条件を指定し、その条件に対する検索キーワードをテキストボックスに入力します。

2.4.2. 構成

サンプルアプリケーションのアーカイブは StartupGuideSample.zip です。

本ガイドでは、D:\StartupGuideSampleにサンプルアプリケーションを展開します。

配備するコンポーネントファイルの構成を以下に記します。

コンポーネントファイル構成
コンポーネント アーカイブファイル名 構成ファイル
Webコンポーネント FindEmployeeWeb.war Client.class, ControlServlet.class, index.jsp, result.jsp, fault.jsp
EJBコンポーネント FindEmployee.jar FindEmployeeHome.class, FindEmployeeBean.class, FindEmployee.class, AccessDb.class, Employee.class, Employees.class

サンプルアプリケーションは標準的なMVCモデルの構成をとっています。以下に各ファイルとMVCモデルの対応を記します。

コンポーネントファイルとMVCモデルの対応
View index.jsp result.jsp fault.jsp
Control ControlServletClient
Model AccessDb, Employee, Employees, FindEmployee, FindEmployeeBean, FindEmployeeHome

各クラスはWebOTX AS 内で以下のように配置されます。

サンプル概略1ststep

2.4.3. データベースに関して

サンプルアプリケーション用のデータベースに以下のデータを登録する必要があります。データベースへの登録の際はサンプルアプリケーション内のSQLフォルダ配下にSQLスクリプトがありますので、これを利用してください。

サンプルアプリケーション向けデータ
NUM(整数) NAME(文字列) DEPT(文字列)
1 佐藤誠 人事部
2 鈴木明美 営業部
3 高橋浩 開発部
4 田中真由美 経理部
5 渡辺修 総務部
6 佐藤由美子 営業部
7 鈴木直樹 営業部
8 高橋恵子 開発部
... ... ...

データベース名、テーブル名は以下の名前で作成してください。

データベース名・テーブル名
データベース名 ORCL
テーブル名 COMPANY_EMP

本ガイドでは作成したデータベースへアクセスできるユーザとして以下のユーザを用います。

ユーザ情報
ユーザ名 scott
パスワード tiger

SQLスクリプトの実行方法はReadMe.html内に明記しています。

2.5. 設定値の一覧

本ガイド中で設定する値の一覧です。

設定値一覧(JDBCデータソース)
JDBCデータソース
JNDIサーバへの登録名 jdbc/employee
データソースの種類 JDBC API
JDBC URL またはデータベース名、データソース名 jdbc:oracle:thin:@localhost:1521:ORCL
ユーザ名 scott
パスワード tiger
設定値一覧(TPシステム)
TPシステム
アプリケーショングループ jinji
プロセスグループ kensaku
WebOTX AS バージョン 9
モジュールの種類 Java EE
設定値一覧(配備)
配備
FindEmployeeWeb.war コンポーネントタイプ Webコンポーネント
ファイル D:\StartupGuideSample\FindEmployeeWeb\dest\FindEmployeeWeb.war
アプリケーショングループ jinji
プロセスグループ kensaku
FindEmployee.jar コンポーネントタイプ EJBコンポーネント
ファイル D:\StartupGuideSample\FindEmployee\dest\FindEmployee.jar
アプリケーショングループ jinji
プロセスグループ kensaku