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WebOTX Manual V10.2 (第4版) 目次を表示 |
ブロードバンドやモバイル普及によるユビキタス化が加速度的に進んでいる中、24 時間365 日どこから でも接続できる安価で高速なインターネットの利用が公共機関、企業、家庭、個人へと拡大し、さらに電 子ショップ、電子商取引、ネットバンキング、ネット証券、音楽・映像配信、ネットオークションなどのシステ ムが当たり前のように社会に浸透しています。
さまざまな業界で多種多様な業務サービスがインターネット上で構築・運用されている中、お客様や市 場・企業のニーズも多様化してきています。それにともなって複数のサービスを組み合わせ、新たなサー ビスを編み出し活用していく動きがでてきています。

図1.2-1
一方、企業内の情報システムに目をやると、企業合併や内部統制・個人情報保護などの法規制に見ら れるような経営環境の大きな変化や、競争激化などの理由から新規の事業立上げ、経営の意思決定を 支援するための新しいシステムの構築、既存事業の収益力強化のためのシステムの改修などがめまぐ るしく進められてきており、その結果多種多様で、部門・システムごとに運用や構成がバラバラな業務が 乱立した状態となっているものも少なくありません。
その結果システム保守工数の増大のみならず、実際の企業経営判断にも大きな悪影響を及ぼす状況 に頭を悩ませている経営者の方も多いことでしょう。
こういった企業内外におけるビジネス連携・システム統合を柔軟かつ迅速に進めることや、事業環境の 変化や戦略変更にすばやく適応できるような、ビジネスを支える真の情報システムを構築することが今 後求められていくと考えられます。

図1.2-2
そのような背景で脚光を浴びているのがサービス指向アーキテクチャ(SOA: Service Oriented Architecture)です。WebOTX が提供するサービスインテグレーション製品群は、次に示すようなSOA に基づく企業システム構築に求められる要件にお応えします。
企業におけるIT 投資の重点課題は単なるコスト削減から、「業務プロセス・システム再編」といった戦略 的な投資への期待が大きく増加しています。それに伴い「SOA」への関心も日に日に高まっています。
企業の経営者・情報システム部門の方は、システム構築の方法論、プラットフォームのあり方、ビジネス プロセスの改善、アプリケーションのつくり方など、さまざまな観点から最適な仕組みは具体的に何かと 考えた結果、標準インタフェースを持ち、着脱の容易なサービスの集合体としてシステムを構築する SOA が有効ではないか、と認識されているようです。
では、実際にどこから手をつければいいでしょうか。ただやみくもに「SOA に基づくシステムを構築するた めの」製品群を導入するだけでは真の解決は望めません。それどころか、システムのオーバースペック、 それに伴う運用コストの増大の可能性も否定できません。
企業それぞれが目指すシステムのあるべき姿、ゴールによって対応パターンは変わります。
本質は、ビジネスの変化が激しくなっている中で、いかに業務面やシステム面での保守性を高め、長期 間に渡って使えるシステムを構築できるかにあるといっても過言ではありません。ライフサイクルにおけ るシステム変更コストをどのように最適化するかということです。できるだけ長期的な視点に立ってビジ ネスプロセスを考慮し、最適と思われるサービスの粒度に分割したシステムやアプリケーションを構築し ていくための「企画・コンサルティング」が必要です。
「多種多様で、部門・システムごとに運用や構成がバラバラな業務が乱立した状態」に陥った企業におい て、新たな業務を追加する、あるいは既存の業務に修正を加えるとなった場合、全てのシステムで対応 しなければならない、部門間で複雑な調整が必要など予想外の負担を強いられることになります。運用 面でも新たな教育や作りこみが発生することになり、変化の激しさに対応できなくなることが考えられま す。
逆に、一つの企業内で統一されたシステムを運用していたとしても、M&A や企業統合、新たなパートナ ー企業との取引が発生することにより、異なる運用形態のシステムと連携する必要もでてきます。
機能追加や方針変更などの要求が発生しても、短期間に対応できる柔軟性と高い生産性が求められま す。それへの第一歩として、システムごとに実装されている共通機能を「サービス化」することで、他シス テムとの共同利用を可能とすることが求められます。
また、それらサービス化した部分を取りまとめ、運用方法を一元化するような仕組みも必要とされます。 これは全社あげての一大プロジェクトとなる場合も想定する必要があります。
「レガシー・マイグレーション」が注目されてから久しいですが、既存資産として抱えているメインフレーム や旧来からのオープンシステムを活用しつつSOA ベースのシステムに置き換えていくという要件は多く あります。いきなり全てのシステムを置き換えることは、価格・工数の面、リスク管理の面で難しいことも 事実です。
既存資産を活用するために、それらのインタフェースを共通化するための手段や共通化したものを連携 させるための仕組みが必要となります。
企業内、および企業間でのシステムでは、状態に応じて必要となる業務を「プロセス」として段階的に実 行していきます。これらの状態管理をアプリケーションやクライアント側で行うとなると、業務の組み合わ せが複雑になればなるほど困難になります。
プロセスの制御や自動化、途中でエラーとなった場合でも処理結果を巻き戻すための後処理を効率よく 実行してくれる環境が求められます。また、プロセスの変更・機能の追加が生じた際には、プロセスの 再定義を行うだけで対応できるような仕組みが重要です。
SOA に見られるシステム・業務モデルによって、企業内にとどまらない、インターネットを介しての業務共 有化が進みます。そのため、共有利用している業務が停止することによる社会的な影響は大きく、ビジ ネスの機会損失も甚大なものになりかねません。
そのため業務アプリケーションが実際に動作するサービス実行基盤となる部分には高い信頼性が求め られます。