本編では、OLF/TP Adapterを通してバックエンドサーバからの非同期電文(Inboundメッセージ)を受信するAPコンポーネントについて説明しています。

OLF/TP Adapterは、バックエンドサーバからの非同期電文をAPコンポーネントに通知する機能を提供しています。 APコンポーネントへの通知は、Common Client Interface(CCI)のMessageListenerを利用する方法と Java Message Service(JMS)のMessageListenerを利用する方法の２通りをサポートしています。

CCIのMessageListenerを利用する場合、OLF/TP Adapterは、受信した非同期電文をCCIのRecordオブジェクトにして APコンポーネントに配送します。このため、APコンポーネントのビジネスロジックでは CCIのRecordを操作してバックエンドサーバからの非同期電文を扱います。

一方、JMSのMessageListenerを利用する場合、OLF/TP Adapterは、受信した非同期電文をCCIのRecordオブジェクトにした後 JMSのObjectMessageオブジェクトにセットしてJMSに配送します。 その後、JMSからAPコンポーネントにObjectMessageオブジェクトが配送されます。 このため、APコンポーネントのビジネスロジックでは ObjectMessageオブジェクトからRecordを取得し、取得したRecordを操作してバックエンドサーバからの非同期電文を扱います。

3.1.1. APコンポーネントの作成

OLF/TP Adapterを通して非同期電文(Inboundメッセージ)を受信するAPコンポーネントは、 APサーバを利用する環境の場合、Message-Driven Beanで作成しておく必要があります。 また、APサーバを利用しない環境の場合は、MessageListenerをimplementsして APコンポーネントを作成しておく必要があります。

非同期電文を受信する処理は、OnMeeageメソッドに記述します。
以下に、コーディング例を示します。

[CCIのMessageListenerを利用する場合]

public Record onMessage(Record arg0) throws ResourceException {      try {          javax.resource.cci.IndexedRecord rec = (javax.resource.cci.IndexedRecord) arg0;          System.out.println("Message received: " + rec.get(0));          // 応答がない場合、nullで返却します。          // 応答がある場合はRecordに設定して返却することも可能です。          return null;      } catch (Exception ex) {          throw new ResourceException(ex.getMessage());      } }

[JMSのMessageListenerを利用する場合]

public void onMessage(Message arg0) {      try {          if (arg0 instanceof ObjectMessage) {              ObjectMessage objmsg = (ObjectMessage) arg0;              Object obj = objmsg.getObject();              javax.resource.cci.IndexedRecord rec = (javax.resource.cci.IndexedRecord) obj;              System.out.println("Message received: " + rec.get(0));          } else {              System.out.println("Message of wrong type: "                  + arg0.getClass().getName());          }      } catch (Exception ex) {          ex.printStackTrace();      } }

注意：非同期受信機能を使用するOLF/TP Adapterは、非同期受信を行うAPコンポーネントからのみ利用してください。

非同期通信機能を使用するためには、OLF/TP Adapterの配備記述子に以下の定義を行います。

(1) 接続定義の構成プロパティに次の定義を追加します

プロパティ名	型	説明
ASync	java.lang.Boolean	trueを指定します

(2) メッセージリスナの定義を行います

[CCIのMessageListenerを利用する場合]

リスナタイプ：javax.resource.cci.MessageListener

活性仕様クラス：jp.co.nec.WebOTX.connector.olftp.spi.ActivationSpecImpl

構成プロパティ：RecordType

構成プロパティ詳細

プロパティ名	型	説明
RecordType	java.lang.String	Record型を指定します。以下のRecord型が指定可能です 。     ・IndexedRecord     ・MappedRecord

※OLF/TP Adapterの配備記述子では、プロパティ名のみを定義します。
   値については、APコンポーネント側で定義するようになります。

[JMSのMessageListenerを利用する場合]

リスナタイプ：javax.jms.MessageListener

活性仕様クラス：jp.co.nec.WebOTX.connector.olftp.spi.JMSActivationSpecImpl

構成プロパティ：RecordType, JMSConnectionFactoryName

構成プロパティ詳細

プロパティ名	型	説明
RecordType	java.lang.String	Record型を指定します。以下のRecord型が指定可能です 。     ・IndexedRecord     ・MappedRecord
JMSConnectionFactoryName	java.lang.String	QueueConnectionFactoryのJNDI名を指定します。

※OLF/TP Adapterの配備記述子では、プロパティ名のみを定義します。
   値については、APコンポーネント側で定義するようになります。

JMSを利用する場合は、物理的な送信先の追加やJMSリソースの登録(Queue および QueueConnectionFactory) を行う必要があります。これらの定義については、JMSのマニュアルを参照してください。
APコンポーネントがMessage-Driven Beanの場合、Message-Drivenの定義を行う必要があります。これらの定義についてはEJBのマニュアルを参照してください。