2. 機能

ここでは、WebOTX Webサーバが提供する機能について説明します。

2.1. 機能概要

WebOTX Webサーバとは、WebOTX Application Server の Webサーバ層の機能を 提供しており、デファクトスタンダードである Apache HTTP Server の 次のバージョンをバンドルしています。(2008年6月現在)

WebOTX Webサーバでは、Apache HTTP Server で提供される すべての機能に加え、次の機能を提供します。

利用者は、WebOTX AS のインストール時に、上記どちらかのバージョンの Apache を選択して、WebOTX Webサーバをインストールすることができます。
次の例は、Windows版の WebOTX Application Server Web Edition のインストール時に 「Apache 2.0」ベースのWebサーバをインストールするように選択する場合の図 となります。

なお、WebOTX Application Server では、ApacheベースのWebOTX Webサーバの 他に、Java ベースの Webサーバを内蔵しており、そちらも利用可能です。
さらに、Internet Information Service(IIS) 、LinuxマシンなどのOSに添付 されている Apache HTTP Server 1.3.41 以降、2.0.63 以降、Sun Java System Web Server 6.1 および Sun ONE Web Server 6.0 以降との連携動作をサポート しています。

2.2. 基本機能

WebOTX Webサーバは、Apache HTTP Server が提供する Webサーバ動作に 関する基本機能をすべて提供します。

主に次の機能があります。

2.3. SSL 通信機能

SSSL (Secure Sockets Layer) は、公開鍵暗号方式を利用して データの暗号化を行い、公開鍵と秘密鍵と呼ばれるキーの対を利用して、 情報の暗号化と復号を行います。公開鍵は、特定のアルゴリズムを使用して データを暗号化するためのものであり、他社に配布可能です。 秘密鍵は、一般には配布せず、サーバ上に安全が保たれた状態で保管する 必要があります。
SSL を使用してサイトにクライアントが接続すると、 サーバは証明書の一部として公開キーとそれに付随する情報を送信し、 クライアントが公開鍵暗号方式を利用してサーバの身元を確認します。

証明書は、認証局 (CA : Certificate Authority)によって発行された 電子的はドキュメントであり、インターネット上で個人または企業の 身元を保証するものであり、証明書にはサイトの公開鍵が含まれている ため、クライアントはそれを利用して、サーバから送られてきたデータ を復号できます。

WebOTX Webサーバでは、OpenSSLライブラリを利用した mod_sslモジュールを使用して、SSL2.0/3.0 および TLS1.0 を利用して、 かつ128Bit以上の暗号化方式をサポートしたセキュアなWebサイト を構築することができます。
また、SSLクライアント認証機能も利用可能です。
クライアントがSSLを利用したセキュアなサイトにアクセスするには、 次の形式のURLを指定します。

https://ホストアドレス[:ポート]/ホスト内資源アドレス

HTTPS接続の場合、ポートは通常443が利用されます。ポート番号に 443を利用する場合は省略が可能です。

2.4. LDAP 連携機能

LDAP (Lightweight Directory Access Protocol)サーバと連携して、 HTTP認証をLDAPエントリデータに登録されたユーザで行うことができます。 この機能は、Apache 2.0 でのみ提供します。

なお、WebOTX Application Server では、LDAPサーバとして EnterpriseDirectoryServer(EDS)をバンドルしており、 EDSに登録したユーザを利用してHTTP認証を行うことができます。

2.5. IPv6 ネットワークのサポート

IPv6 ネットワーク環境での動作をサポートします。この機能は、Apache 2.0 でのみ提供します。
IPv6/IPv4ネットワーク混在環境において、それぞれ別々のIPアドレス、ポートに対して待ち合わせが可能です。

待ち合わせ用のポート番号は、IPv6/IPv4で同一にすることもできますし、別々に設定することもできます。

2.6. 提供モジュール一覧

WebOTX Webサーバは、Apache HTTP Serverで提供される次のモジュール を提供しています。
デフォルトで組み込まれていないモジュールが提供する機能を利用する 場合には、LoadModule指示子により、モジュールのロードを行う 必要があります。

Apache 2.0
モジュール 機能概要
(コアモジュール) (デフォルトで組み込まれている機能。ロードする必要はありません)

http_core

サーバのコア機能を提供します。

Worker

(UNIX)UNIX版のMPMモジュールはworkerとしています。Workerは、複数のスレッドを有するプロセスが複数個動作するモードです。クライアントから要求は、各スレッド上で受け付けを行い、処理を行います。

mod_access

クライアントのホスト名、IPアドレス、その他のクライアントのリクエストに基づいたアクセス制御機能を提供します。

mod_actions

メディアタイプやリクエストメソッドに応じてCGIスクリプトを実行する機能を提供します。

mod_alias

ホストファイルシステム上のいろいろな違う場所をドキュメントツリーにマップする機能と、URLのリダイレクトを行う機能を提供します。

mod_asis

自分用のHTTPヘッダの書かれているファイルを送信します。

mod_auth

テキストファイルを用いたユーザ認証機能を提供します。

mod_autoindex

UnixのlsコマンドやWindowsのdirシェルコマンドに似たディレクトリインデックスを生成します。

mod_cgid

外部CGIデーモンを使用したCGOスクリプトを実行します。

mod_dir

URLに指定される「最後のスラッシュ」のリダイレクトと、ディレクトリのインデックスファイルを扱う機能を提供します。

mod_env

CGIスクリプト及びSSIページに渡される環境変数を変更する機能を提供します。

mod_imap

サーバサイドのイメージマップを実行します。

mod_include

サーバがパースするhtmlドキュメント(Server Side Includes)

mod_log_config

サーバへのリクエストのロギングを行います。

mod_mime

リクエストされたファイルの拡張子とファイルの振る舞い(ハンドラとフィルタ)、内容(MIMEタイプ、言語、文字セット、エンコーディング)とを関連付けます。

mod_negotiation

コンテントネゴシエーション機能を提供します。

mod_setenvif

リクエストの特徴に基づいた環境変数の設定を可能にします。

mod_so

起動時や再起動時に実行コードとモジュールをサーバにロードします。

mod_status

サーバの活動状況と性能に関する情報を提供します。

mod_userdir

ユーザ専用のディレクトリを提供します。

(オプションモジュール)

デフォルトで組み込まれていません。利用するにはLoadModule指示子により別途ロードする必要があります。
右欄は、W(Windows)、H(HP-UX)、L(Linux)、S(Solaris)を意味し、 各OSで提供しているモジュールに○をつけています。
W H L S

mod_auth_digest

MD5ダイジェスト認証を利用したユーザ認証機能を提供します。

mod_auth_ldap

LDAPディレクトリに格納されたデータベースを利用してHTTP基本認証を許可します。

mod_cache

URIをキーにしたコンテンツのキャッシュを行います。

mod_cern_meta

CERN httpd が使う追加のHTTPヘッダ形式でメタ情報を指定できるようにします。

mod_cgi   

CGIスクリプトを実行します。

mod_charset_lite

キャラクタセット

mod_dav

分散オーサリングとバージョン管理(WebDAV)機能を提供します。

mod_dav_fs

mod_davのためのファイルシステムプロバイダを提供します。

mod_deflate

クライアントへ送られる前にコンテンツを圧縮します。

mod_disk_cache

URIをキーにしたコンテンツキャッシュストレージを管理します。

mod_dumpio

すべてのI/Oをエラーログにダンプします。

mod_echo

プロトコルモジュールの概要を示すための単純なエコーサーバを提供します。

mod_expires

ユーザの指定した基準に基づいたExpiresとCache-Control HTTPヘッダの生成をします。

mod_ext_filter

レスポンスのボディをクライアントに送る前に外部プログラムで処理します。

mod_file_cache

メモリ内にファイルの静的なリストをキャッシュします。

mod_headers

HTTPリクエストヘッダとレスポンスヘッダをカスタマイズします。

mod_info

サーバの設定の包括的な概観を提供します。

mod_ldap (util_ldap)

LDAP連携用モジュール。

mod_log_forensic

サーバに送られたリクエストをforensicロギングします。

mod_logio

リクエスト毎に入力バイト数と出力バイト数をロギングします。

mod_mem_cache

URIをキーにしたコンテンツキャッシュします。

mod_mime_magic

ファイルの内容を読み込んでMIMEタイプを決定します。

mod_proxy

HTTP/1.1プロキシ/ゲートウェイサーバを提供します。

mod_proxy_connect

mod_proxy関連モジュール。

mod_proxy_ftp

mod_proxyでFTPをサポートするモジュール。

mod_proxy_http

mod_proxyでHTTPをサポートするモジュール。

mod_rewrite

URLの書き換えを行うリライトエンジンを提供します。

mod_speling

ユーザが入力したであろう間違ったURLを、大文字小文字の区別を無視することと一つ以下の綴り間違いを許容することで修正を試みます。

mod_ssl   

SSL通信用のモジュール。

mod_suexec

指定されたユーザとグループでCGIスクリプトを実行します。

mod_unique_id

それぞれのリクエストに対する一意な識別子の入った環境変数を提供します。

mod_usertrack

Cookieによりユーザの追跡を行います。

mod_version

バージョン依存の設定をします。

mod_vhost_alias

バーチャルホストに関する動的な設定を提供します。

mod_jk-20

Webコンテナと接続を行うコネクタモジュール。

mod_jk_om-20

(WebOTX 独自)マルチプロセス対応のWebコンテナと連携を行うためのコネクタモジュール。

 

Apache 1.3
モジュール 概要
(基本モジュール) (デフォルトで組み込まれています。別途ロードする必要はありません。)

Core

Apacheのコアモジュール

mod_access

クライアントのホスト名やIPアドレスによってアクセス制御を行う。

mod_actions

メディアタイプやリクエストメソッドによってCGIスクリプトを実行します。

mod_alias

ホストファイルシステムのドキュメントツリーへのマッピング及びURLのリダイレクションを行います。

mod_asis

HTTPヘッダを含むファイルを送信します。

mod_auth

テキストファイル形式の認証ファイルを使用したユーザ認証機能を提供します。

mod_autoindex

自動的にディレクトリ一覧を作成します。

mod_cgi

CGIスクリプトを実行します。

mod_dir

ディレクトリの取り扱いについての、基本的な機能を提供します。

mod_env

CGIスクリプトに渡す環境変数の操作を行います。

mod_imap

イメージマップファイルを取り扱う機能を提供します。

mod_include

SSIドキュメントを有効にします。

mod_log_config

標準的な書式により、リクエストログを記録します。

mod_mime

ファイルの拡張子を利用してドキュメントタイプの判定を行います。

mod_negotiation

コンテキストネゴシエーション機能を提供します。

mod_setenvif

クライアントの情報を元に環境変数をセットします。

mod_so

実行時にApacheのモジュールを動的読み込みする機能を提供します。

mod_status

サーバの稼動状況を表示します。

mod_userdir

ユーザのホームディレクトリにアクセスする機能を提供します。

(オプションモジュール) (デフォルトで組み込まれていません。 利用するには、LoadModule指示子を利用してモジュールを ロードする必要があります。)

mod_ssl

OpenSSLライブラリを利用したSSL通信機能を提供します。

mod_headers

リソースに任意のHTTPヘッダを加えます。

mod_rewrite

正規表現を利用したURIからファイル名への強力なマッピング機能を提供します。

mod_usertrack

Cookieによりユーザの追跡を行います。

mod_jk

Webコンテナとの接続を行うコネクタモジュール。

mod_jk_om

(WebOTX独自)マルチプロセス対応のWebコンテナとの接続を行うコネクタモジュール。

mod_webotx

(WebOTX独自)WebOTX画面テンプレート機能を用いたサーバアプリケーションをWebOTX Webサーバ上で実行するためのモジュール。

2.7. その他の機能

その他の機能の詳細は、以下の Apache HTTP Server の Webサイトを参照してください。

または、WebOTX をインストールしたマシン上で、ブラウザから 次のURL にアクセスし、Apache HTTP Server のドキュメントを参照 してください。