以上の作業により、SSCの基本的な設定は完了です。
現在の段階で、手動で様々な操作がSSC上から行えます。テストを兼ねて手動での"Migration"(Hyper-Vの用語では「ライブマイグレーション」)を行ってみることにしましょう。"Migration"は、仮想マシンを稼動させたままの状態で物理サーバ間の移動を行うことを指します。
SSCで障害時の自律運用を実現するには、「8. 予兆を含む障害対応機能の設定」の作業が必要です。
SSCでは、仮想マシンの状態確認や手動での制御は、[仮想]ビューから行います(画面右上の[仮想]をクリック)。ツリービューを確認すると、物理サーバ[HV01]上で仮想マシン([VM-01]、[VM-02])が動作しており、物理サーバ[HV02]上で仮想マシン([VM-03]、[VM-04])が動作していることが分かります。
ここでは、仮想マシン[VM-02]を物理サーバ[HV01]から[HV02]に移動してみます。ちなみに、仮想マシンの制御は[運用]ビューから行うこともできますが、[仮想]ビューのほうが仮想マシンの配置状況が把握しやすいので、オペレーションミスの発生を防ぎやすいでしょう。
図 [仮想]ビュー
仮想マシンを移動させるには、まずツリービュー上で当該仮想マシンが使用している物理サーバ[HV01]をクリックして選択します。次に、表示された画面を中ほどまでスクロールすると、[稼動中VM一覧]という枠がありますので、移動させる仮想マシン[VM-02]をチェックして、右上のアクションメニューの[VM移動]をクリックしてください。
図 移動する仮想マシンの選択
[VM移動]をクリックすると、移動先の物理サーバと移動方法を選択する「VM移動」画面が表示されます。[移動先VMサーバ一覧]の[移動先データセンタ名]には、[ClusterDC]が固定で選択されています。次に、移動先となる物理サーバ[HV02]のラジオボタンをチェックします。
移動方法としては、以下の2つが用意されています。([VM移動方法の指定])
Migration:
稼動状態を保持したまま仮想マシンを移動します。Hyper-Vのライブマイグレーションを利用します。
[サスペンド後に移動(Quick Migration)]をチェックした場合は、移動する仮想マシンをサスペンドしてから移動を行い、移動後に仮想マシンをレジュームします。
Storage Migration:
稼動状態を保持したまま仮想マシンと仮想ストレージを移動します。Hyper-Vのストレージ ライブマイグレーションを利用します。
[停止後に移動(Move)]をチェックした場合は、仮想マシンを停止してから仮想ストレージを移動します。移動後に仮想マシンを起動したい場合には、[VM移動後の状態]の枠の[自動起動]をチェックします。 また、仮想マシンを移動せずにストレージだけを移動することも可能です。
これらの移動方法のStorage Migrationを除いては、移動元のHyper-Vホストと移動先のHyper-Vホストで共有するストレージが必要になります。Storage Migrationのみ、ローカルディスクなど共有していないストレージでも移動が可能です。
今回は、共有ストレージを利用できますので、仮想マシンを稼動させたまま移動する[Migration]をチェックします。
移動先と移動方法を選択したら、[OK]をクリックします。
図 移動先と移動方法の選択
下記の画面は、仮想マシンを移動させたあとの[仮想]ビューです。ツリービューを見ると、仮想マシン[VM-02]が物理サーバ[HV02]に移動していることが分かります。なお、仮想マシンの移動がツリービューに反映されていない場合は、F5キーで全画面を更新してみてください。
図 仮想マシン移動後の[仮想]ビュー