SigmaSystemCenterのIOPS制御機能は、iStorageの「I/O 流量制御機能」を利用して、ディスクボリューム(LD、論理ディスク)のI/O流量をコントロールする事が可能です。
主に以下の2つの機能があります。
ディスクボリュームのIOPS上限値設定
ディスクボリュームのIOPS上限値設定を行うことで、ストレージへのI/O の流量を制御し、特定のディスクボリュームに大量のI/O が発行された場合で も、同じストレージプールに属する他のディスクボリュームへの性能影響を抑えることができます。
ディスクボリュームのIOPS下限値
ディスクボリュームのIOPS下限値設定を行うことで、同じストレージプール内に存在するディスクボリュームのI/O の流量を制御し、IOPS の下限値を設定したディスクボリュームのI/O性能を維持 することができます。
上記は、ストレージプール内でI/O量が多くなり全体的に高負荷な状態になったときに機能します。
上記のIOPS上限値とIOPS下限値は、SigmaSystemCenterから[ディスクボリューム作成]や[ディスクボリューム編集]を実行する時に設定することができます。
また、ディスクボリュームに対する設定だけでなく、ストレージプールに対して、ディスクボリューム作成時の初期値の設定などを行うことができます。ストレージプールに対する設定は、[ストレージプール編集]で行います。
SigmaSystemCenterからIOPS制御機能を利用する際には、iSMioc autosetコマンド等によるiStorageのI/O制御簡易設定を利用することはできませんので注意してください。
同時に利用した場合、対象のストレージプール、またはディスクボリュームのiStorageのI/O制御簡易設定の指定は無効(未設定)となり、I/O流量上限値の自動算出の対象外となります。
また、SigmaSystemCenterのIOPS制御機能で設定したIOPSの設定値も無効となるため、[ディスクボリューム編集]で再設定する必要があります。
IOPS制御を利用するために必要な項目について説明します。
iStorageの「I/O 流量制御機能」の詳細については、「iStorage ソフトウェア I/O流量制御機能利用の手引」を参照してください。
装置側の準備
システム構成
IOPS制御を行うためには、SigmaSystemCenterの管理サーバと対象のディスクアレイ間は、ネットワーク経由でアクセスできるようにする必要があります。SigmaSystemCenterは対象のディスクアレイにSSHでアクセスしてIOPS制御の設定を行います。
また、基本的なストレージ管理を行うためにiStorageManager/iStorageManager Integration BaseやSMI-S Providerなどの利用も必要です。「6.2.1. iStorage利用時のシステム構成」、「6.2.2. iStorage(SMI-S)利用時のシステム構成」を参照してください。
iStorageのライセンス
iStorageのI/O流量制御機能を利用するためには、iStorageに対して、IO Load Manager のライセンスを解除する必要があります。
SigmaSystemCenter側の準備設定
装置の登録
IOPS制御の対象装置をSigmaSystemCenterに登録する必要があります。「6.2.3. iStorage制御のために必要な事前の設定について」を参照してください。
IOPS制御の有効化
SigmaSystemCenter側でもディスクアレイ別にIOPS制御を有効化する必要があります。
対象のディスクアレイに対して、[ストレージ編集]で[IOPS機能を利用する]をチェックします。
IOPS制御を行わない場合はチェックしないでください。IOPS制御を有効化するとSigmaSystemCenterから行われるストレージ制御にIOPS制御関連の処理も加わるため、全体の実行時間が長くなります。
ストレージプールのIOPS制御の設定項目
[ストレージプール編集]の操作で指定可能な設定項目は以下の通りです。
IOPS性能目安
ストレージプールのIO性能の目安を設定します。
性能目安の情報はディスクボリューム作成時に上限値合計、下限値合計の現在の利用状況と一緒に表示され、作成するディスクボリュームのIOPS上限値、IOPS下限値を設定するための目安として利用することができます。
ストレージプールのIO性能の目安の計算方法については、iStorageの製品窓口に問い合わせてください。
IOPS制御 上限制御/下限制御
ストレージプール別にIOPS制御の上限制御と下限制御について、有効/無効を設定します。
IOPS合計値
ストレージプール配下のディスクボリュームに設定されているIOPS値の合計が表示されます。
IOPS下限閾値
IOPS下限閾値は、ストレージプールのBusy率で、IOPS下限値制御を行う閾値です。
設定したIOPS下限閾値よりもプールのBusy 率が高い場合、下限値制御が行われます。
IOPS ボリューム作成時の初期値
ディスクボリュームのIOPS上限値、下限値の初期値を設定します。
ディスクボリュームのIOPS制御の設定項目
[ディスクボリューム作成]、[ディスクボリューム編集]の操作で指定可能な設定項目は以下の通りです。
上限制御/下限制御の実行有無、IOPS値
ディスクボリュームに対して、IOPS上限制御/IOPS下限制御をそれぞれ実行するかどうかを指定します。実行する場合は、IOPS上限値、下限値を設定します。
上限値制御の記録
IOPS上限値制御が発生した場合にiStorageManagerの運用ログに記録するかを指定します。
IOPS性能目安、IOPS合計値
[ディスクボリューム作成]の操作実行時に表示され、ストレージプール全体の性能目安と現在の利用状況を比較することができます。作成するディスクボリュームに設定するIOPS値を決めるための参考情報として利用してください。IOPS性能目安の設定は、ディスクボリュームが所属するストレージプールに対して[ストレージプール編集]で設定します。
なお、ストレージプールタグを利用したボリューム最適作成にIOPS制御設定を適用する場合、「IOPS設定ができるストレージを選択する」を選択しディスクボリューム作成を行うことで、IOPS制御が有効なストレージプールが選定されます。
選定対象として、上限制御か下限制御のいずれかが有効なストレージプールが選定されます。この時、ディスクボリューム作成時に設定されるIOPS制御設定は、ストレージプールの初期値が利用されます。
ボリューム最適作成については、「6.6.8. ボリューム最適作成」を参照してください。