もうひとつの復旧機能はブートコンフィグ(vIO)置換により障害が発生した仮想マシンサーバを予備機に切り替える機能です。
ブートコンフィグ(vIO)置換とは、Express5800/SIGMABLADEのvIOコントロール機能を利用して、稼動中のマシンを予備マシンに切り替える機能です。vIOコントロール機能とは、SIGMABLADEのMACアドレスやWWN、UUIDを仮想化する技術です。
ブートコンフィグ(vIO)置換は物理環境、仮想環境のほとんどの環境で利用することができます。物理マシンや仮想マシンサーバに対する、マシン置換の操作やポリシーアクションにより利用します。
ブートコンフィグ(vIO)置換による仮想マシンサーバのN+1リカバリには以下の特長があります。
切り替えのために、SigmaSystemCenter 上でストレージ関連の設定が必要なくなります。SANブート置換ではストレージへのアクセスコントロール制御が必要でしたが、ブートコンフィグ(vIO)置換では、仮想化されたWWNの使用によりストレージへのアクセスコントロール制御を行わずに、稼動マシンから予備マシンへ切り替えることができるようになります。
また、ストレージ制御が不要になるため、SigmaSystemCenter が対応していないストレージ機種を使用した環境においても、SigmaSystemCenter のN+1リカバリの機能を利用できるようになります。
MACアドレスやWWN、UUIDの情報を管理しているソフトウェアが、切り替えの影響を受けなくなります。従来のブートコンフィグ置換以外のN+1リカバリでは、切り替えを行なった時、ハードウェア情報を管理しているソフトウェアは切り替え時に行われるハードウェアの情報変更の影響を受ける場合がありました。ブートコンフィグ置換では、MACアドレスやWWN、UUIDを変更することなく切り替えを行うことができるため、MACアドレスやWWN、UUIDの情報を管理するソフトウェアは切り替えの影響を受けません。ただし、MACアドレスやWWN、UUID以外のハードウェアの情報を管理しているソフトウェアが切り替え時に動作しない可能性は依然として残ります。
仮想環境で利用可能な唯一のN+1リカバリの方法です。
ブートコンフィグ(vIO)置換の利用方法詳細については、「SigmaSystemCenter ブートコンフィグ運用ガイド」を参照してください。
障害発生時にブートコンフィグ(vIO)置換が行われるようにするために、ポリシーの設定に、障害時のイベントに対応するアクションとして、マシン置換を設定します。
仮想環境向けの標準ポリシーでは、復旧のアクションとして仮想環境専用の障害復旧のアクションである仮想マシンのFailoverやMigrationが設定されているため、ポリシーの設定を変更する必要があります。仮想環境専用の障害復旧機能のアクションをマシン置換に置き換えて利用することも可能ですが、次の説明のように、仮想環境専用の障害復旧機能とブートコンフィグ(vIO)置換を組み合わせて利用することで、より効果的な復旧処理が可能になります。
(1)仮想マシンサーバダウン時のVM退避との組み合わせ
ブートコンフィグ(vIO)置換を「4.8.1. 仮想マシンサーバダウン時のVM退避」で説明の障害復旧処理と組み合わせて利用します。
先に高速に処理が可能な仮想マシンのFailoverを実行することで、迅速に復旧を行うことができるため、業務のダウンタイムを最小限に止めることができます。その後、仮想マシンサーバの置換により正常な仮想マシンサーバの台数を障害前の状態に戻すことができます。
(2)HW障害予兆発生時のVM退避との組み合わせ
ブートコンフィグ(vIO)置換を「4.8.2. HW障害予兆発生時のVM退避」で説明の障害復旧処理と組み合わせて利用します。
先に仮想マシンのMigrationを行った後、仮想マシンサーバの置換を行うことで、業務を停止せずに復旧を行うことできます。仮想マシンのMigrationだけの場合は、障害が発生した仮想マシンサーバをシャットダウンするため、仮想マシンサーバの台数が少なくなり、システムが縮退した状態になりますが、ブートコンフィグ(vIO)置換との組み合わせにより、縮退状態から復旧することができます。