VMwareのvSAN(Virtual SAN)環境の監視について、以下を説明します。
vSAN機能の概要については、「4.3.20. vSAN(Virtual SAN)機能」を参照してください。
vSAN環境では、vSAN固有の障害と他の環境と共通の障害の監視を行う必要があります。
vSANの固有の障害
vCenter Serverが検出する下記の表のvSAN環境のイベントについて、対応しています。
他の環境と共通の障害
死活監視、ハードウェア監視、性能監視について、他の環境と同様の監視を行うことができます。利用可能な監視については、「2.4.1. 管理対象の種類別の利用可能な監視機能について」の「(2)仮想マシンサーバ」を参照してください。
vSAN環境のイベントの詳細については、「Administering VMware Virtual SAN」を参照するか、VMwareの製品窓口まで問い合わせてください。
種類 | イベント区分 | 通報元 | イベント | 説明 |
---|---|---|---|---|
vSANディスク障害 | ハードディスク障害 | VMwareProvider | esx.problem.vob.vsan.lsom.diskerror | vSAN環境上のデバイス(ディスク)が使用できない状態になっているときに発生します。エラー、またはオフライン状態になっています。 本障害が発生した場合、ディスクの接続状況を確認し、障害がある場合は、交換を実施する必要があると考えられます。
本障害に対して、SigmaSystemCenterでは、以下の標準ポリシーを使用して障害の通知を行うことができます。
本種類のイベントに対応するポリシー規則は、標準ポリシー「vSAN障害用ポリシー」で設定されています。 「vSAN障害用ポリシー」では、イベント発生時に、以下のポリシーアクションを実行します。
ディスク障害時のvSAN環境のデータ保護の処理は、VMwareにより自動で行われるため、SigmaSystemCenterから基本的に対処の処理を行う必要はありません。そのため、本イベントに対しては、標準ポリシーでは通知のみを行うようになっています。
本イベント発生時に、SigmaSystemCenterからポリシーアクションでvSAN環境を構成する仮想マシンサーバのシャットダウンや再起動などを実行する場合、影響が出ないように、事前にvCenter Server上のメンテナンスモードを設定する必要があります。
標準ポリシーやポリシーアクションでのメンテナンスモード設定については、後述の「(2)標準ポリシーについて」、「(3)ポリシーアクションでのメンテナンスモード設定について」を参照してください。
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esx.problem.vob.vsan.pdl.offline |
前述のvSAN環境の監視に対して、以下のvSAN障害監視用の標準ポリシーと基本的な標準ポリシーを利用することで、vSAN環境の障害に対する処理を設定することができます。
vSAN障害用ポリシー
前述の「(1)対応イベント」の表に記載の障害のポリシー規則が定義されています。
vSAN予兆障害用のポリシー
「vCSA vSAN予兆障害用のポリシー」と「vSAN予兆障害用のポリシー」の2つがあります。「vCSA vSAN予兆障害用のポリシー」は、vCenter Server Appliance(vCSA)を管理対象とする環境用の標準ポリシーです。
「2.6.2. ハードウェア監視により検出できる障害」に記載の予兆系イベントに対する対処について、vSAN環境を考慮したものが設定されています。
予兆障害に対する対処として、通常、障害が発生した仮想マシンサーバ上の仮想マシンを退避して、障害が発生した仮想マシンサーバのシャットダウンを行いますが、vSAN環境を考慮して、仮想マシンサーバのシャットダウン操作前にvCenter Serverのメンテナンスモードを設定するポリシーアクション「マシン設定/ステータス設定 メンテナンスモード」が追加されています。
予兆障害に対する運用のポリシーが記述された標準ポリシー(例えば「標準ポリシー(vCSA 仮想マシンサーバ 予兆)」)を使用する場合に、標準ポリシーの予兆障害の部分を上書きして設定する形で、本標準ポリシーを利用します。
復旧後のメンテナンスモードの解除は、自動では行われないため、手動操作で行う必要があります。
上記の標準ポリシーは、基本的な標準ポリシーと組み合わせて利用してください。組み合わせ方法については、「2.4.1. 管理対象の種類別の利用可能な監視機能について」の「(2)仮想マシンサーバ」を参照してください。
「4.3.20. vSAN(Virtual SAN)機能」の「(3)シャットダウンや再起動に関する注意事項」に記載のとおり、vSANを構成する仮想マシンサーバに対して、シャットダウンや再起動を伴う操作を行う前に、仮想マシンサーバに対して、vCenter Server側のメンテナンスモードを設定する必要があります。
ポリシーアクションでのメンテナンスモード設定についても、同様の考慮が必要です。vSANを構成する仮想マシンサーバに対して、シャットダウンや再起動を伴うポリシーアクションを実行するポリシー規則を定義する場合は、それらのポリシーアクションの前にポリシーアクション「マシン設定/ステータス設定 メンテナンスモード」を実行するように設定してください。
標準ポリシー「vSAN予兆障害用ポリシー」では、ハードウエア予兆障害に対するポリシー規則で上記が設定されています。
また、ポリシーアクション「マシン設定/ステータス設定 メンテナンスモード」では、vCenter Server上のメンテナンスモードを設定する必要があるため、以下のアクションパラメータ情報の設定を行う必要があります。各パラメータの詳細は、「SigmaSystemCenter リファレンスガイド データ編」を参照してください。
MaintenanceOwner
設定値:"vm"
メンテナンスモードの設定対象として、"vm"を設定します。
MaintenanceOwnerSet
設定値:"true"
メンテナンスモードに移行するため、"true"を設定します。
DiskMoveOption
vSANデータの退避モードを設定します。以下の設定値があります。「Administering VMware Virtual SAN」 を参照して設定してください。
EnsureAccessibility .. アクセシビリティを確保する。
EvacuateAllData .. 全データ移行を行う。
NoAction .. データの移行を行わない。
なお、復旧後にメンテナンスモードの解除を行う必要がありますが、自動では解除されないため、手動操作で行ってください。メンテナンスモードの解除もSigmaSystemCenterのWebコンソールやssc set-machine-statusコマンドから行うことが可能です。