SigmaSystemCenterの電源制御のシーケンスに関する以下の項目について説明します。
SigmaSystemCenterでは、複数のマシンに対して電源制御操作を行う場合に実行順序を制御したり、必要に応じて他のマシンの電源制御操作を自動的に実行したりすることができます。
起動
依存関係による順序制御
依存関係の設定により、複数のマシンの起動順序を制御することができます。また、依存関係の連動設定により、依存先のマシンを自動的に起動するように設定することができます。
依存関係による起動順序は、[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし[起動順序]タブで簡易的に設定することができます。[起動順序]タブについては「SigmaSystemCenter コンフィグレーションガイド」の「5.13. ホストの起動順序を設定する」を参照してください。
また、より詳細に設定を行う場合は[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし、設定メニューの[依存関係]をクリックして表示される「依存関係」画面で行うことができます。「1.8.4. 依存関係による起動/停止順序の制御について」 を参照してください。
マシンの優先度による順序制御
マシンの優先度(1から5まで)によって起動順序を制御することができます。優先度の値が小さいマシンから順番に起動操作が実行されます。優先度はマシンのホスト設定(運用グループ内)で指定します(既定値:3)。
仮想マシンサーバの起動と連動した仮想マシンの起動
仮想マシンサーバの起動に連動して仮想マシンを自動的に起動するかどうかを、仮想マシンごとに指定することができます。仮想マシンサーバの起動完了後、その仮想マシンサーバ上に自動起動が有効な仮想マシンが存在する場合、それらの仮想マシンの起動が自動的に実行されます。これらの仮想マシンに依存関係の設定または優先度が設定されている場合は、その設定に従って起動順序が制御されます。自動起動を有効にするかどうかは仮想マシンのホスト設定(運用グループ内)の[VMサーバの起動に連動して自動的に起動する]のチェックボックスで指定します(既定値:無効)。
配下の仮想マシンを前回シャットダウン時と同じ状態に自動操作
仮想マシンサーバのシャットダウン時に自動的にシャットダウンされた仮想マシンを、仮想マシンサーバの起動時に自動的に起動するように設定することができます。この設定が有効な場合、仮想マシンサーバの起動完了後に、自動シャットダウンされた仮想マシンが自動的に起動されます。これらの仮想マシンに依存関係の設定または優先度が設定されている場合は、その設定に従って起動順序が制御されます。この設定を有効にするかどうかは仮想マシンサーバのグループプロパティ設定(運用グループ)の[VMサーバシャットダウン時に自動停止されたVMを起動する]のチェックボックスで指定します(既定値:無効)。
仮想マネージャのマシン起動
仮想マネージャのマシン起動を実行すると仮想マネージャ配下にあるすべてのデータセンタのマシン起動が行われます。
下記の順でマシンの起動が行われます。
vCenter Serverの管理サーバVMがあるデータセンタ下のマシン
他のデータセンタ下のマシン
シャットダウン
依存関係による順序制御
依存関係の設定により、停止順序を制御することができます。また、依存関係の連動設定により、依存元のマシンを自動的に停止するように設定することができます。
依存関係による起動順序の設定として、[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし[起動順序]タブで簡易的に設定することができます。[起動順序]タブについては「SigmaSystemCenter コンフィグレーションガイド」の「5.13. ホストの起動順序を設定する」を参照してください。
また、より詳細に設定を行う場合は[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし、設定メニューの[依存関係]をクリックして表示される「依存関係」画面で行うことができます。「1.8.4. 依存関係による起動/停止順序の制御について」 を参照してください。
仮想マシンの自動シャットダウン
仮想マシンサーバのシャットダウン時には、その仮想マシンサーバ上で動作する仮想マシンが自動的にシャットダウンされます。このとき、仮想マシンのシャットダウン後に、仮想マシンサーバがシャットダウンされます。
VMwareの環境の場合、仮想マシンサーバ上の仮想マシンに管理サーバVMもある場合、仮想マシンは下記の順でシャットダウンが行われます。他の環境ではエラーになります。
SigmaSystemCenterまたはvCenter Serverの管理サーバVM以外の仮想マシン
vCenter Serverの管理サーバVM
SigmaSystemCenterの管理サーバVM
VMware環境でのデータセンタのマシンシャットダウン
データセンタのマシンシャットダウンを実行すると仮想マシン、仮想マシンサーバの順でシャットダウンが行われます。
vSANクラスタ内に管理サーバVMがある環境
下記の順でマシンのシャットダウンが行われます。
SigmaSystemCenterまたはvCenter Serverの管理サーバVM以外の仮想マシン
vCenter Serverの管理サーバVM
SigmaSystemCenterの管理サーバVM
SigmaSystemCenterの管理サーバVMが動作している仮想マシンサーバ
SigmaSystemCenterの管理サーバVMが動作していない仮想マシンサーバ
上記以外の環境
下記の順でマシンのシャットダウンが行われます。
SigmaSystemCenterまたはvCenter Serverの管理サーバVM以外の仮想マシン
vCenter Serverの管理サーバVM
SigmaSystemCenterの管理サーバVMが動作していない仮想マシンサーバ
SigmaSystemCenterの管理サーバVM
SigmaSystemCenterの管理サーバVMが動作している仮想マシンサーバ
VMware環境での仮想マネージャのマシンシャットダウン
仮想マネージャのマシンシャットダウンを実行すると仮想マネージャ配下にあるすべてのデータセンタのマシンシャットダウンが行われます。
このとき下記の順でデータセンタのマシンシャットダウンが行われます。
SigmaSystemCenterまたはvCenter Serverの管理サーバVMが所属していないデータセンタ
SigmaSystemCenterの管理サーバVMが所属するデータセンタ
上記以外のデータセンタ
再起動
依存関係による順序制御
依存関係の設定により、再起動順序を制御することができます。また、依存関係の連動設定により、依存先のマシンを自動的に起動、依存元のマシンを自動的に再起動するように設定することができます。
依存関係による起動順序の設定として、[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし[起動順序]タブで簡易的に設定することができます。[起動順序]タブについては「SigmaSystemCenter コンフィグレーションガイド」の「5.13. ホストの起動順序を設定する」を参照してください。
また、より詳細に設定を行う場合は[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし、設定メニューの[依存関係]をクリックして表示される「依存関係」画面で行うことができます。「1.8.4. 依存関係による起動/停止順序の制御について」 を参照してください。
仮想化基盤のクラスタ全体の起動/シャットダウン処理では、クラスタ全体としての制御や待ち合わせが行われる関係上、仮想マシンサーバの個別の起動/シャットダウン処理とは異なるものになっており、仮想マシンサーバ間での優先度/依存関係による順序制御に対応しておりません。
依存関係が設定されたマシンの起動操作では、優先度の設定は無視されます。
優先度による起動順序の制御は、同時に実行開始可能なマシン間でのみ有効となります。以下の場合のように、実行開始可能となったタイミングが異なるマシン間の起動順序は優先度どおりにはなりません。
他の処理を実行中のマシンは、優先度の設定にかかわらず、他の処理が完了してから実行開始されます。
仮想マシンサーバに連動して仮想マシンを自動的に起動する場合、異なる仮想マシンサーバ上に存在する仮想マシン間の起動順序は優先度どおりにはなりません。
EQ/NE制約が設定されている仮想マシン間の起動順序は、優先度で制御することはできません。EQ/NE制約が設定されている仮想マシン群を起動する場合、それらの優先度はすべて同一であるものとして動作します。このとき、仮想マシン群の優先度は、各仮想マシンに設定された優先度のうち最も高いもの(最も値の小さなもの)が使用されます。
物理マシンと仮想マシンの間の起動順序は、優先度で制御することはできません。
シャットダウン・再起動では、マシンの優先度によって実行順序を制御することはできません。
SigmaSystemCenterにおける起動・シャットダウン・再起動の各電源制御操作の処理の流れについて説明します。各電源制御操作の処理時間を見積もりたい場合は、本項と次項以降の説明を参考にしてください。本項の説明に記載されているタイムアウト時間や待ち時間などの設定値のレジストリキーや既定値の説明については、「1.8.7. タイムアウト・待ち時間の設定」を参照してください。なお、以下の各電源制御操作の内部処理時間および待ち時間の合計がPowerControlTimeoutの値を超えた場合、内部処理で使用されるタイムアウト時間や待ち時間の設定に関わらず、タイムアウトエラーで異常終了します。
起動
対象マシンが既にOS起動しているかどうかを調べます。
対象マシンのOSが既に起動している場合、対象マシンのOSステータス情報、電源状態情報をOnに更新し、処理を完了します。
対象マシンの起動処理を実行します。
「1.8.2. 電源制御操作一覧」の表の優先度順に、処理が成功するまで繰り返し行います。ただし、タイムアウトでエラーになった場合は、次の優先度の処理は実行されずエラーで終了します。
タイムアウト時間は、"StartupTimeout"、"PowerOnTimeout" の値を使用します。対象マシンの種類や状況によって使用する値が異なります。値がない対象マシンの種類については、このステップではタイムアウトエラーになりません。
処理が成功した場合、対象マシンのOSの起動が確認できるまで待機します。
OSの起動にかかる時間が一定時間を超える場合は、タイムアウトエラーで終了します。OSが起動するまでのタイムアウト時間は、"Startup_PollingTimeoutXXXX" の値を使用します。対象マシンの種類によって使用する値が異なります。仮想マシンについては、ステップ2で起動状態を確認できているため、このステップでは待機せずに次のステップに移ります。
一定時間待機します。
対象マシンのOS起動が確認できている場合は、"Startup_WaitTimeAfterOSOnXXXX" で設定された時間だけ待機します。対象マシンの種類によって使用する値が異なります。
対象マシンのOSステータス情報、電源状態情報をOnに更新し、処理を完了します。
シャットダウン
対象マシンが既に停止しているかどうかを調べます。
対象マシンが既に停止している場合、対象マシンのOSステータス情報、電源状態情報をOffに更新し、処理を完了します。
対象マシンのシャットダウン処理を実行します。
「1.8.2. 電源制御操作一覧」の表の優先度順に、処理が成功するまで繰り返し行います。ただし、タイムアウトでエラーになった場合は、次の優先度の処理は実行されずエラーで終了します。
タイムアウト時間は、"ShutdownTimeout"、"PowerOffTimeout" の値を使用します。対象マシンの種類や状況によって使用する値が異なります。値がない対象マシンの種類については、このステップではタイムアウトエラーになりません。
対象マシンがSigmaSystemCenterの管理サーバVMの場合は実際にシャットダウンは行われず、仮想マシンサーバと仮想マシンの電源制御が連動するように仮想化基盤の機能を有効にします。
処理が成功した場合、電源Offを確認できる場合は対象マシンが電源Off状態になるまで待機します。
電源Off状態になるまでにかかる時間が一定時間を超える場合は、タイムアウトエラーで終了します。電源Off状態までのタイムアウト時間は、"Shutdown_PollingTimeoutXXXX" の値を使用します。
対象マシンの種類によって使用する値が異なります。仮想マシンについてはステップ2で電源Off状態を確認できているため、待機しません。
対象マシンがSigmaSystemCenterの管理サーバが動作している仮想マシンサーバの場合は電源Off状態は確認せずシャットダウンを開始した時点で処理を完了します。
電源Off状態を確認できない場合は、一定時間待機します。
待機する時間は、"Shutdown_WaitTimeAfterOSOffXXXX" の値を使用します。
電源Off状態を確認できている場合は、待機しません。
対象マシンのOSステータス情報、電源状態情報をOffに更新し、処理を完了します。
再起動
対象マシンの再起動処理を実行します。
VMware/Hyper-V/KVMの仮想マシンの以外のマシンについて、以下の順に、実行可能な制御を一通り試します。
VMware/Hyper-Vの仮想マシンについては、以下の(2)のみの制御を行います。
KVMの仮想マシンについては、以下の(1)のみの制御を行います。
下記の各制御は、各電源制御製品を使用して実行されます。電源制御製品間の優先度については、「1.8.2. 電源制御操作一覧」の表のとおりです。
(1)再起動
(2)シャットダウンと起動 (電源On) の組み合わせ
タイムアウトでエラーになった場合は、対象マシンの種類によって以下のとおり動作が異なります。
対象マシンが仮想マシンである場合は、次の優先度の処理は実行されずにリセット (または強制OFFと電源Onの組み合わせ) が実行されます。リセット後は、通常の起動処理と同様にOS起動の確認、一定時間待機を行い、終了します。
対象マシンが仮想マシン以外である場合は、次の優先度の処理は実行されずエラーで終了します。
タイムアウト時間は、"RebootTimeout"、"ResetTimeout"、"StartupTimeout"、"PowerOnTimeout"、"ShutdownTimeout"、"PowerOffTimeout" の値を使用します。対象マシンの種類や状況によって使用する値が異なります。値がない対象マシンの種類については、このステップではタイムアウトエラーになりません。
1.のステップで「2. シャットダウンと起動 (電源On) の組み合わせ」を実行した場合は、対象マシンがOS起動するまで待機します。
OSの起動にかかる時間が一定時間を超える場合は、タイムアウトエラーで終了します。タイムアウト時間は、"Startup_PollingTimeoutXXXX" の値を使用します。
対象マシンの種類によって使用する値が異なります。仮想マシンについてはステップ1で起動状態を確認できているため、待機しません。
一定時間待機します。
待機する時間は、"Startup_WaitTimeAfterOSOnXXXX" の値を参照します。対象マシンの種類によって使用する値が異なります。
対象マシンのOSステータス情報、電源状態情報をOnに更新し、処理を完了します。