20. マイグレーション

20.1. 注意事項

20.1.1. マイグレーション全般

20.1.1.1. 各種パスワード情報は移行対象外

パスワード情報を取り扱うことはセキュリティ上の問題があるため、マイグレーション機能では移行できません。移行完了したのち、パスワードの再設定を行ってください。

なお、移行先のドメインのパスワードは既定のadminadminとして移行します。その他のパスワードはダミーの値("password") に変換して移行します。

ただし、以下に指定されたSSLのパスワード情報はそのまま採取されます。 問題がある場合は、これらのパスワード情報を変更した後に採取を行ってください。

20.1.1.2. 管理ドメインの情報を採取しない場合に移行されないユーザドメイン設定

管理ドメインから設定情報を採取しない場合、管理ドメインの設定に加えて、ユーザドメインに関する以下の設定が移行できません。

20.1.1.3. WebOTX Batch Serverのバッチドメインは移行対象外

WebOTX Batch Serverで提供している特殊なドメイン(バッチドメイン)は、マイグレーション機能のサポート対象ではありません。設定情報の採取時に、採取対象から除外してください。

20.1.1.4. IRM 設定されているパラメータシートは動作対象外

マイグレーション機能ではIRM (Information Rights Management) を設定したMicrosoft Excel 形式のファイルをサポートしていません。パラメータシート (Microsoft Excel 形式) にはIRMを設定しないでください。

20.1.1.5. 移行が中止されたドメインの再移行における失敗

移行が途中で中止されたドメインは、設定情報の反映機能を再実行すると一度削除されて再作成されます。その際に削除または再作成に失敗することがあります。削除または再作成に失敗した場合は、失敗したドメインを手動で削除してから設定情報の反映機能を再実行してください。

20.1.1.6. 設定情報採取に管理者権限が必要

設定情報の採取機能ではファイルの作成・削除を含むファイル操作を行うため、管理者権限のあるユーザで実行する必要があります。Windowsの場合はAdministrator権限を持っているユーザ、Linux/HP-UXの場合はrootグループに所属しているユーザで実行してください。

20.1.1.7. WebOTX Application Server Expressの緒元制限

移行先環境が WebOTX Application Server Express の場合、WebOTX V9.1以降には同時処理数が100までという緒元制限が存在します。移行後の環境において同時処理数が100を超える場合、同時処理数を100以下に設定してください。諸元制限についての詳細は[インストールガイド(Windows)]または[インストールガイド(Linux)]または[インストールガイド(HP-UX)]を参照してください。

[同時処理数の設定箇所]
リファレンス > 設定 > Webコンテナ > Webコンテナ設定項目一覧 > MOで設定可能な項目一覧 > max-thread-pool-size

20.1.2. 配備

20.1.2.1. アプリケーション名の規約に違反するアプリケーション

WebOTX V9ではアプリケーション名の規約を厳密にチェックするようになりました。そのため、アプリケーション名の規約に違反するアプリケーションは、旧バージョンで配備できていたとしても移行することはできません。

アプリケーション名の規約については [ 配備 > アプリケーション配備 > 配備・再配備・置換 > アプリケーション名の規約 ] を参照してください。

移行元の環境でアプリケーション名の規約に違反するアプリケーションを配備している場合は、移行元の設定情報を採取する前に、以下のいずれかを実施して対処してください。

20.1.2.2. 配備時の警告ログ

移行先の環境がStandard、またはEnterpriseの場合に配備時に下記の警告ログが出力されることがあります。

Exception invoking method in runtime bean start
Target exception message: プロセスグループ{プロセスグループ名}が停止していないため、起動処理を行いませんでした。

上記メッセージが出力された場合でもマイグレーション、及び配備操作は問題なく完了します。

20.1.2.3. 移行対象外の配備時のオプション

以下の配備オプションに指定した値は移行されません。これらのオプションの値を移行したい場合は、移行完了後にアプリケーションを一度配備解除し、必要なオプションを指定して再配備してください。

20.1.3. JDBCデータソース/Transactionサービス

20.1.3.1. JDBCデータソースの移行後の接続確認について

移行後、次のマニュアルを参照し必要に応じた準備作業を実施の上、正しい接続先が指定されていることを確認し、必ず接続テストを実施してください。

・[ リファレンス > 設定 > JDBCデータソース > クラスパス設定]

・[ インストールガイド ] の該当する製品のインストールガイド(PDF)における [ 環境構築後の作業 > データベースを使用するための準備作業 (Java)]

・[ 注意制限事項 > JDBCデータソース ]

なお、移行先のWebOTXにてインポート前にJDBCドライバをクラスパス設定していない場合は、インポート時に次の例外が発生します。上述の「クラスパス設定」を行うことにより解消してください。

java.sql.SQLException: [NEC][WOJDBC] class not found : ...

20.1.3.2. dsadmコマンドのプロパティファイルについて

dsadmコマンドのプロパティファイルの移行対象は次のファイルのみです。独自に作成されたプロパティファイルについては、マイグレーション実施前に、予め次のファイルに設定しておくか、もしくは手動にて移行を行ってください。

${AS_INSTALL}/config/jdbc/dsadm.properties

20.1.4. WebOTX Webサーバ

20.1.4.1. WebOTX Webサーバ 1.3 からの移行

WebOTX Webサーバ 1.3 からの移行はサポートしていません。移行元のWebサーバのバージョンが1.3の場合、移行先は、内蔵Webサーバとなります。移行先の環境において、Webサーバ 2.xを利用する場合は、環境情報の移行先への反映後に、下に記載する手順を参考に、手動にて移行を行ってください。

なお、移行先へ環境情報を反映する際、次のようなエラーメッセージが複数回出力されますが、環境情報の反映処理に影響はありません。

ERROR    ADMIN    - OTX28020100: 対象のMBeanが存在しなかったため、server.WebServerの設定に失敗しました。

WebOTX Webサーバ 1.3 から移行する場合の手順の概要は次の通りです。

  1. 移行元バージョンの既定の設定ファイルと、対象ドメインの設定ファイルを比較し、差分を抽出します。
    なお、比較対象となる既定の設定ファイルは、${INSTALL_ROOT}/lib/install/templates/WebServer 配下に存在します。

  2. 抽出した差分を、移行先の設定ファイルに反映します。その際、次の点に注意してください。

20.1.4.2. WebOTX Webサーバ 2.x からの移行

Webサーバ 2.xからの移行の場合、移行対象外のディレクティブについては、手動で移行する必要があります。その際、次のバージョンのディレクティブについては、非互換がありますので、注意が必要です。

20.1.4.3. パラメータシートの差分情報

移行元のバージョンによっては、変更していない定義が差分としてパラメータシートに出力される場合があります。基本的には、変更していない部分の移行先への反映は不要です。

20.1.4.4. 移行されない情報

次のものは、移行しません。必要に応じて、手動で移行してください。

20.1.5. Object Broker JavaTM/C++

20.1.5.1. パスワード情報について

パスワードは移行対象外です。
移行元で指定されていたパスワードは、ダミーの値("password")に変換して移行します。
必要に応じて、移行先で正しいパスワードを設定してください。

20.1.5.2. 反映中のエラーログについて

移行先環境での反映中に、Object Brokerのログ(${INSTANCE_ROOT}/logs/ObjectBroker/ObLog.log)にエラー(CORBA::NO_RESPONSE,1144)が記録される場合があります。
反映過程での一時的な事象であり、移行は問題なく完了します。

20.1.5.3. 移行されない情報

次のファイルは、移行されません。必要に応じて、移行先で設定してください。

20.1.6. マイグレーションアシスタント

20.1.6.1. Javaコードの非互換チェック対象

Javaコード向けの非互換チェック規則は、そのチェック対象はソースフォルダ内のJavaファイルです。JSPファイル内のJavaコードや*.classファイルはチェックされません。

また、リフレクションでインスタンスやメソッドを呼び出す場合もチェックされません。

20.1.6.2. Java SEのupdateによる非互換チェック

Java SE向けの非互換チェックでは、update での差分のチェック項目があります。但し、チェック項目の有効性制御はメジャーバージョンによる制御をしているため、指摘結果は実際に利用するupdateによっては問題ない場合があります。

例えば、Java SE 6向けのチェック項目“Runtime クラスの exec メソッドでの振る舞いの変更を確認してください”は、対象プロジェクトの Javaのビルド・パスJRE システム・ライブラリー でJava SE 6を指定する場合に Runtime.exec() メソッドの利用が検出されますが、本件はJava SE 6 update 51 以降での変更のため、Java SE 6 update 45 以下を利用した場合は問題ありません。

20.1.6.3. CORBA/共有アプリケーションの移行ファイルの拡張子について

CORBA/共有アプリケーションを移行したい場合、アーカイブ用ファイルの拡張子は小文字を利用してください。 つまり、モジュールファイル、ifファイル、プロパティファイルの拡張子は小文字を利用してください。

20.1.6.4. 設定情報反映の進捗率メッセージについて

設定情報の配備を行った際の進行情報ダイアログで、表示されるメッセージがダイアログの大きさに収まりきらない場合、設定情報反映の進捗率メッセージが省略される場合があります。

20.1.6.5. 設定情報圧縮ファイルのインポートウィザードについて

設定情報圧縮ファイルのインポートウィザードで、一旦、ウィザードの初期画面(「移行元設定情報のインポート」)に戻った場合、移行先画面で設定したすべての設定値は既定値に戻ります。

20.1.6.6. パラメータシートビューの表示文字について

パラメータシートビューのメッセージ欄ならびにそのツールチップで表示できるメッセージの文字数は256文字までとなります。 メッセージが切れた場合、パラメータシートファイル(ParameterSheet.xlsx)の内容を直接確認してください。

20.1.6.7. Developer上でのパラメータシートの編集について

Developer上でのパラメータシートファイル(ParameterSheet.xlsx)の直接の編集は行わないでください。パラメータシート を再作成した際、編集された内容が設定ファイルの値で上書きされます。

20.1.7. TPモニタ

20.1.7.1. CORBA プロセスグループの移行について

移行先で利用できるプロセスグループの設定値「WebOTX AS バージョン」「モジュールの種類」の範囲で、プロセスグループをマイグレーションする事が出来ます。その設定値が範囲外の場合はマイグレーションに失敗します。移行先で利用できるプロセスグループの範囲は次を参照下さい。

[ 構築・運用 > ドメインの構築 > TPシステム > 操作・状態確認(プロセスグループ) > 作成・削除 ]

20.1.7.2. olfリスナの移行について

olfリスナはマイグレーション対象外です。移行先で利用する場合は、マイグレーション後に設定して下さい。

20.1.7.3. プロセスグループが存在しない移行について

移行先サーバに設定情報を反映する際、${INSTANCE_ROOT}/logs/agent.logに以下の警告が出力されます。プロセスグループが存在しなければ不要な更新であり、動作に問題はありません。

WARN     ADMIN    - OTX01140030: setAttribute failed : Attribute 'applicationGroupAutoStartInterval' was not able to be set. 

20.1.8. TPモニタマネージャ

20.1.8.1. アプリケーショングループの起動間隔の更新失敗について

移行先サーバに設定情報を反映する際、移行元の環境がStandard、またはEnterpriseでプロセスグループが存在しない場合、${INSTANCE_ROOT}/logs/agent.logに以下の警告が出力されます。プロセスグループが存在しなければ不要な更新であり、動作に問題はありません。

20.1.9. EJBコンテナ

20.1.9.1. インポート途中に出力される警告ログについて

移行先サーバに設定情報を反映する際、コネクタモジュール構成情報を移行する場合に ${INSTANCE_ROOT}/logs/agent.log およびプロセスグループのログに以下の警告が出力されます。インポート処理完了時までにコネクタモジュールが遅延ロードされるため、動作に問題はありません。

WARN    RAR9600: unable to deploy resource : <リソース>. Following exception occurred : <例外>
20.1.9.2. データベース接続を伴うアプリケーションの移行について

EJB仕様にある、MessageDrivenBean、TimerBean、CMP、BMP、およびJPA仕様にあるJPAアプリケーションは、アプリケーション配備時にDBアクセスを行う場合があります。そのため、これらのアプリケーションをDBへの接続環境が整っていない環境へ移行すると配備に失敗します。
これらのアプリケーションが移行元環境に配備されている場合は、移行対象から外し、環境移行後にDB環境を整えた後、手動で配備してください。

20.1.10. 運用管理

20.1.10.1. V9.20.xx.xx の環境を移行する場合

移行元の環境が、V9.20.xx.xx である場合、otxadmin コマンドの get の結果がエンコードされる不具合が原因で、設定情報を正しく移行することができません。移行元環境に V9.22.01 標準修正モジュールを適用した後に、移行を行ってください。

20.2. 制限事項

20.2.1. Webコンテナ

20.2.1.1. ドメイン名を変更して環境を移行する場合

移行作業でドメイン名を変更して移行する場合、移行先環境でWebOTX Webサーバとの連携設定が行われません。ドメイン名を変更して移行する場合、移行先環境で 初期設定ツールを用いて手動でWebサーバ連携設定を行ってください。