4. その他機能

本章では、WebOTX にて提供している運用ツール及びサポートツールについて設定方法、使用方法を解説します。

4.1. adminutilツール

4.1.1. はじめに

adminutilツールは、WebOTX Application Serverの運用設定をサポートする、コマンドベースのツールです。本ツールの対象バージョンは8.3以降となります。
実行の際は、環境変数にJAVA_HOMEの設定が必要となります。使用可能なJavaはJDK1.5以上です。

4.1.2. セットアップ

adminutilツールはCDの場合ディスクの1枚目に格納されています。格納名は以下の通りです。

セットアップの手順は以下のとおりです。

  1. メディアから、上記のアーカイブファイルを任意のディレクトリにコピーします。
    絶対パスに、2バイト文字が入るディレクトリにはコピーしないでください。

  2. コピーしたアーカイブファイルを展開します。

  3. [4.1.3. 使用方法]を参考にして使用してください。

Caution
"デスクトップ"など、展開先ディレクトリに2バイト文字が含まれる場合、本ツールを実行することは出来ません

4.1.3. 使用方法

4.1.3.1. export 機能

WebOTX Application Serverの管理対象であるドメインの設定情報の抽出(エクスポート)を行う機能です。
オプションを用いて、ドメインに接続し、設定された情報を取得します。

使用手順は以下のとおりです。なお、アーカイブファイルの展開した際に作成される webotx_tools ディレクトリを ${TOOLS_ROOT}と記載します。 Unix環境の場合は、\ を / に読み換えてください。

  1. 以下の場所に移動します

    ${TOOLS_ROOT}\adminutil\bin

  2. 以下のスクリプトを実行します。

    使用できるオプションについては、下記に記載してある「表4.1.3.1-1」を、オペランドについては「表4.1.3.1-2」を参照してください。

    実行例(Windows)
    > set JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
    > cd ${TOOLS_ROOT}\adminutil
    > bin\export.bat --user admin --password password --host localhost --port 6212 --outputfile sample domain1
    domain1 のすべての設定を出力します。
    設定の出力が完了しました。出力ファイルは{展開先ディレクトリ}\webotx_tools\adminutil\reports\sample.csvです。
    実行例(Unix)
    $ export JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
    $ cd ${TOOLS_ROOT}/adminutil
    $ bin/export.sh --user admin --password password --host localhost --port 6212 --outputfile sample domain1
    domain1 のすべての設定を出力します。
    設定の出力が完了しました。出力ファイルは{展開先ディレクトリ}/webotx_tools/adminutil/reports/sample.csvです。
    表4.1.3.1-1
    コマンド引数 説明 既定値
    --user ドメインの管理ユーザ名です。 admin
    --password ドメインの管理ユーザのパスワードです。 password
    --host ドメインが起動しているマシン名です。 localhost
    --port ドメインのポート番号です。 6212
    --protocol ドメインとの接続プロトコルを選択します。
    指定できるプロトコルは、rmi、jmxmpです。
    rmi
    --secure trueを指定すると、ドメインとの通信にSSL/TLSを利用します。既定値はfalseです。 false
    --help コマンドで使用できるオプションを表示します。 false
    --outputfile CSV形式にて出力するファイル名です。 以下に記述した文字はoutputfile及びディレクトリ名に指定することが出来ません。
    \, /, :, *, ?, ", <, >, |, #, %
    {ドメイン名}_{日時}.csv
    --version 本ツールのバージョン番号を表示します。 false
    --type 出力する設定の種類を以下より選択する。
    • 全体(all)
    • ドメイン(domain)
    • TPシステム(tpsystem)
    • アプリケーション(applications)
    • リソース(resources)
    • アプリケーションサーバ(server)
    all
    --visibility 採取できる情報のレベルを指定します。設定できるレベルは1-3です。
    レベルが高いほど多くの情報を採取します。
    1
    --encrypt trueの場合、パスワード情報を暗号化して出力します。
    falseの場合、パスワード情報を平文で出力します。
    true
    表4.1.3.1-2
    オペランド 説明
    domain_name export対象のドメイン名を指定します。

  3. 指定したオプションに従って、ドメインの設定情報がCSVファイルに出力されます。

    出力場所は outputfile オプションで指定された場所です。既定では ${TOOLS_ROOT}\adminutil\reports ディレクトリ配下となります。 出力される情報は以下となります。

    表4.1.3.1-3
    名称 説明
    ノード名 属性が所属する階層を表します。
    属性名 属性の名前です。
    設定値 属性の値です。
    import import機能の対象とするかを 0 (対象外)か 1 (対象)で指定します。既定値は 1 です。
    識別子 本ツールで使用する識別子です。「UT**」またはCLINameが出力されます。
    "domain1/アプリケーションサーバ/Java EEサーバ"   ...ノード名
    "Server Vendor","(c) NEC Corporation","1","UT185007"  ...属性名, 設定値, import, 識別子
    		

4.1.3.2. import 機能

import機能とは、export機能を利用して出力した設定情報を、対象のドメインに設定を反映(インポート)する機能です。
export機能で出力した設定情報をjarファイルに変換し、jarファイルを実行することで、対象のドメインに設定を反映します。設定反映時にはオプションを用いて、インポート対象のドメインに接続する必要があります。

jarファイルの作成

使用手順は以下のとおりです。なお、アーカイブファイルの展開した際に作成される webotx_tools ディレクトリを ${TOOLS_ROOT}と記載します。 Unix環境の場合は、\ を / に読み換えてください。

  1. 以下の場所に移動します

    ${TOOLS_ROOT}\adminutil\bin

  2. 以下のスクリプトを実行してください。

    使用できるオプションについては、下記に記載してある「表4.1.3.2-1」を、オペランドについては「表4.1.3.2-2」を参照してください。

    実行例(Windows)
    > set JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
    > cd ${TOOLS_ROOT}\adminutil
    > bin\import.bat --outputfile outputfile --type all impot_file.csv
    impot_file.csv のすべての設定をインポートする jar を作成します。
    インポート用の Jarファイルの出力が完了しました。出力ファイルは{TOOLS_ROOT}\adminutil\artifacts\outputfile.jarです。
    実行例(Unix)
    $ export JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
    $ cd ${TOOLS_ROOT}/adminutil
    $ bin/import.sh --outputfile outputfile --type all impot_filename
    impot_file.csv のすべての設定をインポートする jar を作成します。
    インポート用の jarファイルの出力が完了しました。出力ファイルは{TOOLS_ROOT}/adminutil/artifacts/outputfile.jarです。
    表4.1.3.2-1
    コマンド引数 説明 既定値
    --help コマンドで使用できるオプションを表示します。 false
    --outputfile jar形式にて出力するファイル名です。 以下に記述した文字はoutputfile及びディレクトリ名に指定することが出来ません。
    \, /, :, *, ?, ", <, >, |, #, %
    {オペランドファイル名}.jar
    --version 本ツールのバージョン番号を表示します。 false
    --type jarファイルに含める設定の種類を選択します。指定できる種類は以下の値です。
    • 全体(all)
    • ドメイン(domain)
    • TPシステム(tpsystem)
    • アプリケーション(applications)
    • リソース(resources)
    • アプリケーションサーバ(server)
    all
    --importpass trueの場合、インポート対象にパスワードを含めます。
    falseの場合、インポート対象にパスワードを含めません。
    false
    --decrypt importpass オプションが true の場合に有効になります。 trueの場合、暗号化されたパスワード情報を復号化し、jar ファイルに含めます。
    falseの場合、パスワード情報をそのまま jar ファイルに含めます。
    true
    表4.1.3.2-2
    オペランド 説明
    file_name export機能を使用して出力した設定情報ファイル(CSV形式)

  3. 指定したオプションに従って、CSVファイルの情報を元に、インポート用のjarファイルが作成されます。なお、import 列の値が「1」となっている設定情報のみが対象となります。
  4. 出力場所は outputfile オプションで指定された場所です。既定では ${TOOLS_ROOT}\adminutil\artifacts ディレクトリ配下となります。

jarファイルの実行

上記で作成したjarファイルは、運用管理コマンド(otxadmin)を使用します。このため、運用管理コマンドが実行環境にインストールされていることを確認してください。また、Unixの場合、jarファイルを実行するユーザはWebOTXの管理ユーザと同様である必要があります。

  1. jarファイルが配置されているディレクトリに移動し、以下のようにjarファイルを実行します。使用できるオプションについては、下記に記載してある「表4.1.3.2-3」を、オペランドについては「表4.1.3.2-4」を参照してください。


  2. 実行例(Windows)
    > set JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
    > cd {jarファイルが配置されているディレクトリ}
    > java -jar {jarファイル名} --user admin --password password --adminuser admin --adminpassword password --type all domain_name
    
    対象のドメインに対して、設定のインポートを開始します。この操作には数分かかることがあります。
    JVMオプション設定のため、ドメインを再起動します。
    domain_nameドメインを停止します。
    domain_nameドメインを起動します。
    Type:<domain> の設定が完了しました。
    Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を停止します。
    Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を起動します。
    Type:<tpsystem1> の設定が完了しました。
    Type:<applications> の設定が完了しました。
    Type:<resources> の設定が完了しました。
    Type:<server> の設定が完了しました。
    Type:<tpsystem2> の設定が完了しました。
    インポートは完了しました。全ての設定を反映させるために、ドメインを再起動する必要があります。
    実行例(Unix)
    $ export JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
    $ cd {jarファイルが配置されているディレクトリ}
    $ java -jar {jarファイル名} --user admin --password password --adminuser admin --adminpassword password --type all domain_name
    
    対象のドメインに対して、設定のインポートを開始します。この操作には数分かかることがあります。
    JVMオプション設定のため、ドメインを再起動します。
    domain_nameドメインを停止します。
    domain_nameドメインを起動します。
    Type:<domain> の設定が完了しました。
    Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を停止します。
    Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を起動します。
    Type:<tpsystem1> の設定が完了しました。
    Type:<applications> の設定が完了しました。
    Type:<resources> の設定が完了しました。
    Type:<server> の設定が完了しました。
    Type:<tpsystem2> の設定が完了しました。
    インポートは完了しました。全ての設定を反映させるために、ドメインを再起動する必要があります。
表4.1.3.2-3
オプション 説明 既定値
--user ドメインの管理ユーザ名です。 admin
--password ドメインの管理ユーザのパスワードです。 password
--host ドメインが起動しているマシン名です。 localhost
--port ドメインのポート番号です。 6212
--protocol ドメインとの接続プロトコルを選択します。
指定できるプロトコルは、rmi、jmxmpです。
rmi
--secure trueを指定すると、ドメインとの通信にSSL/TLSを利用します。既定値はfalseです。
rmiプロトコルでSSL/TLSを使用した場合、jarファイル実行時に-Djavax.net.ssl.trustStoreにて、証明書ファイルを指定する必要があります。
false
--type 出力する設定の種類を以下より選択します。
  • 全体(all)
  • ドメイン(domain)
  • TPシステム(tpsystem)
  • アプリケーション(applications)
  • リソース(resources)
  • アプリケーションサーバ(server)
all
--create インポート対象のドメインに設定対象のMBeanが存在しない場合、そのMBeanの作成を行うためのオプションです。
trueを指定した場合、MBeanの作成、及びアプリケーションの配備を行います。
falseを指定した場合、MBeanの作成とそのMBeanに対する設定処理を実行しません。
false
--repository 配備するアプリケーションが配置されているディレクトリです。 jar実行時のカレントディレクトリ
--adminuser 管理ドメイン(WebOTXAdmin)の管理ユーザ名です。 admin
--adminpassword 管理ドメイン(WebOTXAdmin)の管理ユーザのパスワードです。 password
--adminport 管理ドメイン(WebOTXAdmin)のポート番号です。 6202
--adminprotocol 管理ドメイン(WebOTXAdmin)との接続プロトコルを選択します。
指定できるプロトコルは、rmi、jmxmpです。
rmi
--adminsecure trueを指定すると、管理ドメイン(WebOTXAdmin)との通信にSSL/TLSを利用します。既定値はfalseです。。
rmiプロトコルでSSL/TLSを使用した場合、jarファイル実行時に-Djavax.net.ssl.trustStoreにて、証明書ファイルを指定する必要があります。
false
--help コマンドで使用できるオプションを表示します。 false
表4.1.3.2-4
オペランド 説明
domain_name import対象のドメイン名を指定します。

4.1.4. コマンド実行に失敗した場合の対処方法

コマンドの実行に失敗した場合、${TOOLS_ROOT}\adminutil\logs配下にエラーログが出力されますので、内容を確認して対処してください。

以下に、コマンド実行に失敗する主なケースと、その対処方法を記載します。該当していないかを確認してください。

export/import機能が実行できない

環境変数に JAVA_HOME が正しく設定されているかを確認してください。
Windows環境の場合は、以下のようなエラーメッセージが出力されます。

指定されたパスが見つかりません。
	

ドメインへの接続ができない

user、password、host、port、protocol、secure オプションの値が正しいかを確認してください。
また、情報取得対象のドメインが起動していることを確認してください。

ファイルの上書きができない

outputfileオプションに既に存在するファイル名を指定した場合、実行に失敗します。別の出力ファイル名を指定するか、既に存在しているファイルを削除してください、

2バイト文字のディレクトリで実行することが出来ない

ディレクトリのパスに2バイト文字が含まれる場合実行に失敗し、以下のメッセージが出力されます。ディレクトリパスに2バイト文字を含まない場所に、adminutilツールを配置してください。

エラー:  'unknown protocol: d'
致命的エラー:  'スタイルシートをコンパイルできませんでした'
コマンド実行時にエラーが発生しました。ログファイルを確認してください
	

ファイルの破損

なんらかの原因により、ファイルが破損した場合は、再度ディスクから adminutil ツールをコピーしてください。

コマンドの実行でストール

情報取得対象のドメインに、大量のアプリケーション及びリソースが登録されていた場合、typeオプションにall、または applications を指定するとコマンドの実行に時間がかかることがあります。
実行中のコマンドを停止したい場合、Ctrl+Cにてコマンドの実行を停止することが可能です

4.1.5. 注意事項

adminutil ツールには以下の注意事項があります。

import機能

4.1.6. 制限事項

adminutil ツールには以下の制限事項があります。

export機能

import機能

4.2. 配備記述子変換ツール

配備記述子変換ツールは、V5以前のWebOTX上で動作するアプリケーションを、V6以降のWebOTX上で動作させたい場合に使用します。

V5以前のWebOTX上で動作するアプリケーションは、ベンダ固有配備記述子の変更により V6以降のWebOTX上では動作しません。V6、V7 では、配備ツールを利用することにより、 V5以前のアプリケーションをV6以降のWebOTXに配備することができます。 V8以降は、配備ツールを提供していないため、配備記述子変換ツールを用いてベンダ固有配備記述子を変換してください。

このツールは、 V5以前のWebOTX上で動作する、 .ear パッケージのうち、 .jar、または .war あるいはその両方を含むアプリケーションを対象とします。

4.2.1. 使用方法

表4.2.1-1
コマンド引数 説明
-d <outDirectoryPath> 変換されたファイル(.ear)を出力するディレクトリを相対パス、あるいは絶対パスで指定します。
archiveFilePath 変換対象のファイル(.ear)を相対パス、あるいは絶対パスで指定します。複数存在する場合は列挙してください。

4.2.1.1. 使用例

下記のコマンドを実行すると、変換された SampleApp1.ear と SampleApp2.ear が webotx_applications 配下に作成されます。

4.3. staticclassgen

staticclassgenは、EJB 3.0のビジネスインタフェースから、Homeインタフェース、Remoteインタフェースおよび、Wrapperクラスを生成するツールです。 これらインタフェースおよびクラスは既定ではEJBクライアントからのビジネスインタフェース名での初回lookup時に動的に生成されます。 アプリケーションクライアントや、単体EJBクライアントからの初回のlookupが遅いときは、これらクラスを生成していることが原因の可能性があります。 これが問題になる場合、staticclassgenを用いて静的にこれらクラスを生成し、EJBクライアントのクラスパスに追加してください。

4.3.1. 使用方法

表4.3.1-1
コマンド引数 説明
-jar 生成されたクラスをパッケージングするJarファイルの名前を指定します。省略時はパッケージングされず、classファイルが出力されます。
-classpath クラスパスを指定します。少なくともビジネスインタフェースはクラスパスに含まれている必要があります。ビジネスインタフェースが他のライブラリを参照している場合、それも必要です。
-d Jarファイルあるいはclassファイルの出力先ディレクトリを指定します。無指定の場合はカレントディレクトリに出力されます。
businessInterface ビジネスインタフェースを完全修飾クラス名で指定します。複数列挙することにより、同時に複数のビジネスインタフェースを対象にできます。

4.3.1.1. 使用例

Hello.jar内のsample.Helloというビジネスインタフェースに対応するHomeとRemoteインタフェースとWrapperクラスを生成し、/tmp/Hello-additional.jarというファイルにパッケージングする場合の例です。