本章では、WebOTX にて提供している運用ツール及びサポートツールについて設定方法、使用方法を解説します。
adminutilツールは、WebOTX Application Serverの運用設定をサポートする、コマンドベースのツールです。本ツールの対象バージョンは8.3以降となります。
実行の際は、環境変数にJAVA_HOMEの設定が必要となります。使用可能なJavaはJDK1.5以上です。
adminutilツールはCDの場合ディスクの1枚目に格納されています。格納名は以下の通りです。
{メディアディレクトリ}\OTXTOOLS\webotx_tools.zip
{メディアディレクトリ}/OTXTOOLS/OTXTOOLS-1.00.00.00.tar
{メディアディレクトリ}/OTXTOOLS/OTXTOOLS.tar
{メディアディレクトリ}/OTXTOOLS/OTXTOOLS.tar
セットアップの手順は以下のとおりです。
メディアから、上記のアーカイブファイルを任意のディレクトリにコピーします。
絶対パスに、2バイト文字が入るディレクトリにはコピーしないでください。
コピーしたアーカイブファイルを展開します。
[4.1.3. 使用方法]を参考にして使用してください。
WebOTX Application Serverの管理対象であるドメインの設定情報の抽出(エクスポート)を行う機能です。
オプションを用いて、ドメインに接続し、設定された情報を取得します。
使用手順は以下のとおりです。なお、アーカイブファイルの展開した際に作成される webotx_tools ディレクトリを ${TOOLS_ROOT}と記載します。 Unix環境の場合は、\ を / に読み換えてください。
${TOOLS_ROOT}\adminutil\bin
> set JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
> cd ${TOOLS_ROOT}\adminutil
> bin\export.bat --user admin --password password --host localhost --port 6212 --outputfile sample domain1
domain1 のすべての設定を出力します。
設定の出力が完了しました。出力ファイルは{展開先ディレクトリ}\webotx_tools\adminutil\reports\sample.csvです。
実行例(Unix)
$ export JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
$ cd ${TOOLS_ROOT}/adminutil
$ bin/export.sh --user admin --password password --host localhost --port 6212 --outputfile sample domain1
domain1 のすべての設定を出力します。
設定の出力が完了しました。出力ファイルは{展開先ディレクトリ}/webotx_tools/adminutil/reports/sample.csvです。
| コマンド引数 | 説明 | 既定値 |
|---|---|---|
| --user | ドメインの管理ユーザ名です。 | admin |
| --password | ドメインの管理ユーザのパスワードです。 | password |
| --host | ドメインが起動しているマシン名です。 | localhost |
| --port | ドメインのポート番号です。 | 6212 |
| --protocol | ドメインとの接続プロトコルを選択します。 指定できるプロトコルは、rmi、jmxmpです。 |
rmi |
| --secure | trueを指定すると、ドメインとの通信にSSL/TLSを利用します。既定値はfalseです。 | false |
| --help | コマンドで使用できるオプションを表示します。 | false |
| --outputfile | CSV形式にて出力するファイル名です。
以下に記述した文字はoutputfile及びディレクトリ名に指定することが出来ません。 \, /, :, *, ?, ", <, >, |, #, % |
{ドメイン名}_{日時}.csv |
| --version | 本ツールのバージョン番号を表示します。 | false |
| --type | 出力する設定の種類を以下より選択する。
|
all |
| --visibility | 採取できる情報のレベルを指定します。設定できるレベルは1-3です。 レベルが高いほど多くの情報を採取します。 |
1 |
| --encrypt | trueの場合、パスワード情報を暗号化して出力します。 falseの場合、パスワード情報を平文で出力します。 |
true |
| オペランド | 説明 |
|---|---|
| domain_name | export対象のドメイン名を指定します。 |
出力場所は outputfile オプションで指定された場所です。既定では ${TOOLS_ROOT}\adminutil\reports ディレクトリ配下となります。 出力される情報は以下となります。
| 名称 | 説明 |
|---|---|
| ノード名 | 属性が所属する階層を表します。 |
| 属性名 | 属性の名前です。 |
| 設定値 | 属性の値です。 |
| import | import機能の対象とするかを 0 (対象外)か 1 (対象)で指定します。既定値は 1 です。 |
| 識別子 | 本ツールで使用する識別子です。「UT**」またはCLINameが出力されます。 |
"domain1/アプリケーションサーバ/Java EEサーバ" ...ノード名 "Server Vendor","(c) NEC Corporation","1","UT185007" ...属性名, 設定値, import, 識別子
import機能とは、export機能を利用して出力した設定情報を、対象のドメインに設定を反映(インポート)する機能です。
export機能で出力した設定情報をjarファイルに変換し、jarファイルを実行することで、対象のドメインに設定を反映します。設定反映時にはオプションを用いて、インポート対象のドメインに接続する必要があります。
使用手順は以下のとおりです。なお、アーカイブファイルの展開した際に作成される webotx_tools ディレクトリを ${TOOLS_ROOT}と記載します。 Unix環境の場合は、\ を / に読み換えてください。
${TOOLS_ROOT}\adminutil\bin
> set JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
> cd ${TOOLS_ROOT}\adminutil
> bin\import.bat --outputfile outputfile --type all impot_file.csv
impot_file.csv のすべての設定をインポートする jar を作成します。
インポート用の Jarファイルの出力が完了しました。出力ファイルは{TOOLS_ROOT}\adminutil\artifacts\outputfile.jarです。
実行例(Unix)
$ export JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
$ cd ${TOOLS_ROOT}/adminutil
$ bin/import.sh --outputfile outputfile --type all impot_filename
impot_file.csv のすべての設定をインポートする jar を作成します。
インポート用の jarファイルの出力が完了しました。出力ファイルは{TOOLS_ROOT}/adminutil/artifacts/outputfile.jarです。
| コマンド引数 | 説明 | 既定値 |
|---|---|---|
| --help | コマンドで使用できるオプションを表示します。 | false |
| --outputfile | jar形式にて出力するファイル名です。
以下に記述した文字はoutputfile及びディレクトリ名に指定することが出来ません。 \, /, :, *, ?, ", <, >, |, #, % |
{オペランドファイル名}.jar |
| --version | 本ツールのバージョン番号を表示します。 | false |
| --type | jarファイルに含める設定の種類を選択します。指定できる種類は以下の値です。
|
all |
| --importpass | trueの場合、インポート対象にパスワードを含めます。 falseの場合、インポート対象にパスワードを含めません。 |
false |
| --decrypt | importpass オプションが true の場合に有効になります。
trueの場合、暗号化されたパスワード情報を復号化し、jar ファイルに含めます。 falseの場合、パスワード情報をそのまま jar ファイルに含めます。 |
true |
| オペランド | 説明 |
|---|---|
| file_name | export機能を使用して出力した設定情報ファイル(CSV形式) |
出力場所は outputfile オプションで指定された場所です。既定では ${TOOLS_ROOT}\adminutil\artifacts ディレクトリ配下となります。
上記で作成したjarファイルは、運用管理コマンド(otxadmin)を使用します。このため、運用管理コマンドが実行環境にインストールされていることを確認してください。また、Unixの場合、jarファイルを実行するユーザはWebOTXの管理ユーザと同様である必要があります。
> set JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
> cd {jarファイルが配置されているディレクトリ}
> java -jar {jarファイル名} --user admin --password password --adminuser admin --adminpassword password --type all domain_name
対象のドメインに対して、設定のインポートを開始します。この操作には数分かかることがあります。
JVMオプション設定のため、ドメインを再起動します。
domain_nameドメインを停止します。
domain_nameドメインを起動します。
Type:<domain> の設定が完了しました。
Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を停止します。
Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を起動します。
Type:<tpsystem1> の設定が完了しました。
Type:<applications> の設定が完了しました。
Type:<resources> の設定が完了しました。
Type:<server> の設定が完了しました。
Type:<tpsystem2> の設定が完了しました。
インポートは完了しました。全ての設定を反映させるために、ドメインを再起動する必要があります。
実行例(Unix)
$ export JAVA_HOME={JDKインストールディレクトリ}
$ cd {jarファイルが配置されているディレクトリ}
$ java -jar {jarファイル名} --user admin --password password --adminuser admin --adminpassword password --type all domain_name
対象のドメインに対して、設定のインポートを開始します。この操作には数分かかることがあります。
JVMオプション設定のため、ドメインを再起動します。
domain_nameドメインを停止します。
domain_nameドメインを起動します。
Type:<domain> の設定が完了しました。
Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を停止します。
Type:<tpsystem> の設定のためサービス<tpsystem>を起動します。
Type:<tpsystem1> の設定が完了しました。
Type:<applications> の設定が完了しました。
Type:<resources> の設定が完了しました。
Type:<server> の設定が完了しました。
Type:<tpsystem2> の設定が完了しました。
インポートは完了しました。全ての設定を反映させるために、ドメインを再起動する必要があります。
| オプション | 説明 | 既定値 |
|---|---|---|
| --user | ドメインの管理ユーザ名です。 | admin |
| --password | ドメインの管理ユーザのパスワードです。 | password |
| --host | ドメインが起動しているマシン名です。 | localhost |
| --port | ドメインのポート番号です。 | 6212 |
| --protocol | ドメインとの接続プロトコルを選択します。 指定できるプロトコルは、rmi、jmxmpです。 |
rmi |
| --secure | trueを指定すると、ドメインとの通信にSSL/TLSを利用します。既定値はfalseです。 rmiプロトコルでSSL/TLSを使用した場合、jarファイル実行時に-Djavax.net.ssl.trustStoreにて、証明書ファイルを指定する必要があります。 |
false |
| --type | 出力する設定の種類を以下より選択します。
|
all |
| --create | インポート対象のドメインに設定対象のMBeanが存在しない場合、そのMBeanの作成を行うためのオプションです。 trueを指定した場合、MBeanの作成、及びアプリケーションの配備を行います。 falseを指定した場合、MBeanの作成とそのMBeanに対する設定処理を実行しません。 |
false |
| --repository | 配備するアプリケーションが配置されているディレクトリです。 | jar実行時のカレントディレクトリ |
| --adminuser | 管理ドメイン(WebOTXAdmin)の管理ユーザ名です。 | admin |
| --adminpassword | 管理ドメイン(WebOTXAdmin)の管理ユーザのパスワードです。 | password |
| --adminport | 管理ドメイン(WebOTXAdmin)のポート番号です。 | 6202 |
| --adminprotocol | 管理ドメイン(WebOTXAdmin)との接続プロトコルを選択します。 指定できるプロトコルは、rmi、jmxmpです。 |
rmi |
| --adminsecure | trueを指定すると、管理ドメイン(WebOTXAdmin)との通信にSSL/TLSを利用します。既定値はfalseです。。 rmiプロトコルでSSL/TLSを使用した場合、jarファイル実行時に-Djavax.net.ssl.trustStoreにて、証明書ファイルを指定する必要があります。 |
false |
| --help | コマンドで使用できるオプションを表示します。 | false |
| オペランド | 説明 |
|---|---|
| domain_name | import対象のドメイン名を指定します。 |
コマンドの実行に失敗した場合、${TOOLS_ROOT}\adminutil\logs配下にエラーログが出力されますので、内容を確認して対処してください。
以下に、コマンド実行に失敗する主なケースと、その対処方法を記載します。該当していないかを確認してください。
export/import機能が実行できない
環境変数に JAVA_HOME が正しく設定されているかを確認してください。
Windows環境の場合は、以下のようなエラーメッセージが出力されます。
指定されたパスが見つかりません。
ドメインへの接続ができない
user、password、host、port、protocol、secure オプションの値が正しいかを確認してください。
また、情報取得対象のドメインが起動していることを確認してください。
ファイルの上書きができない
outputfileオプションに既に存在するファイル名を指定した場合、実行に失敗します。別の出力ファイル名を指定するか、既に存在しているファイルを削除してください、
2バイト文字のディレクトリで実行することが出来ない
ディレクトリのパスに2バイト文字が含まれる場合実行に失敗し、以下のメッセージが出力されます。ディレクトリパスに2バイト文字を含まない場所に、adminutilツールを配置してください。
エラー: 'unknown protocol: d' 致命的エラー: 'スタイルシートをコンパイルできませんでした' コマンド実行時にエラーが発生しました。ログファイルを確認してください
ファイルの破損
なんらかの原因により、ファイルが破損した場合は、再度ディスクから adminutil ツールをコピーしてください。
コマンドの実行でストール
情報取得対象のドメインに、大量のアプリケーション及びリソースが登録されていた場合、typeオプションにall、または applications を指定するとコマンドの実行に時間がかかることがあります。
実行中のコマンドを停止したい場合、Ctrl+Cにてコマンドの実行を停止することが可能です
adminutil ツールには以下の注意事項があります。
import機能
server.web-container.plugin-configの属性設定に失敗しました。これは、WebOTX Webサーバ向けの設定を、WebOTX Webサーバを利用していない環境にインポートしようとしたために出力されています。「Webサーバ連携設定」の以下の設定をインポート対象外として、再度インポートを実施してください。
server.WebServerの属性設定に失敗しました。これは、SSLを有効にした場合のみ、設定が可能である設定をインポートしようとしたために出力されています。「WebServer」の以下の設定をインポート対象外として、再度インポートを実施してください。
adminutil ツールには以下の制限事項があります。
export機能
import機能
(注1) Fileレルムを作成しようとするとエラーになります。インポート対象外としてください。
以下の設定をインポートすると、ドメインの webotx_agent.log に警告ログが出力されます。adminutilツール側にエラーが出なければ、問題はありませんので、警告ログは無視してください。
設定
警告メッセージ
Failed to parse array : -1
配備記述子変換ツールは、V5以前のWebOTX上で動作するアプリケーションを、V6以降のWebOTX上で動作させたい場合に使用します。
V5以前のWebOTX上で動作するアプリケーションは、ベンダ固有配備記述子の変更により V6以降のWebOTX上では動作しません。V6、V7 では、配備ツールを利用することにより、 V5以前のアプリケーションをV6以降のWebOTXに配備することができます。 V8以降は、配備ツールを提供していないため、配備記述子変換ツールを用いてベンダ固有配備記述子を変換してください。
このツールは、 V5以前のWebOTX上で動作する、 .ear パッケージのうち、 .jar、または .war あるいはその両方を含むアプリケーションを対象とします。
${AS_INSTALL}/bin> ddupdate.bat -d <outDirectoryPath> archiveFilePath1 [archiveFilePath2 archiveFilePath3...]
${AS_INSTALL}/bin> ./ddupdate -d <outDirectoryPath> archiveFilePath1 [archiveFilePath2 archiveFilePath3...]
| コマンド引数 | 説明 |
|---|---|
| -d <outDirectoryPath> | 変換されたファイル(.ear)を出力するディレクトリを相対パス、あるいは絶対パスで指定します。 |
| archiveFilePath | 変換対象のファイル(.ear)を相対パス、あるいは絶対パスで指定します。複数存在する場合は列挙してください。 |
下記のコマンドを実行すると、変換された SampleApp1.ear と SampleApp2.ear が webotx_applications 配下に作成されます。
${AS_INSTALL}/bin> ddupdate.bat -d C:/webotx_applications C:/sample/SampleApp1.ear C:/sample/SampleApp2.ear
${AS_INSTALL}/bin> ./ddupdate -d /webotx_applications /tmp/SampleApp1.ear /tmp/SampleApp2.ear
staticclassgenは、EJB 3.0のビジネスインタフェースから、Homeインタフェース、Remoteインタフェースおよび、Wrapperクラスを生成するツールです。 これらインタフェースおよびクラスは既定ではEJBクライアントからのビジネスインタフェース名での初回lookup時に動的に生成されます。 アプリケーションクライアントや、単体EJBクライアントからの初回のlookupが遅いときは、これらクラスを生成していることが原因の可能性があります。 これが問題になる場合、staticclassgenを用いて静的にこれらクラスを生成し、EJBクライアントのクラスパスに追加してください。
${AS_INSTALL}/bin> staticclassgen.bat [-jar <jarFileName>] [-classpath <classpaths>] [-d <dest>] businessInterface1 [businessInterface2...]
${AS_INSTALL}/bin> staticclassgen [-jar <jarFileName>] [-classpath <classpaths>] [-d <dest>] businessInterface1 [businessInterface2...]
| コマンド引数 | 説明 |
|---|---|
| -jar | 生成されたクラスをパッケージングするJarファイルの名前を指定します。省略時はパッケージングされず、classファイルが出力されます。 |
| -classpath | クラスパスを指定します。少なくともビジネスインタフェースはクラスパスに含まれている必要があります。ビジネスインタフェースが他のライブラリを参照している場合、それも必要です。 |
| -d | Jarファイルあるいはclassファイルの出力先ディレクトリを指定します。無指定の場合はカレントディレクトリに出力されます。 |
| businessInterface | ビジネスインタフェースを完全修飾クラス名で指定します。複数列挙することにより、同時に複数のビジネスインタフェースを対象にできます。 |
Hello.jar内のsample.Helloというビジネスインタフェースに対応するHomeとRemoteインタフェースとWrapperクラスを生成し、/tmp/Hello-additional.jarというファイルにパッケージングする場合の例です。
${AS_INSTALL}/bin> staticclassgen.bat -d tmp -classpath Hello.jar -jar Hello-additional.jar sample.Hello
${AS_INSTALL}/bin> ./staticclassgen -d tmp -classpath Hello.jar -jar Hello-additional.jar sample.Hello