あるマシンを利用するために別のマシンが提供するサービスが必要となる場合、それらのマシン間には依存関係があるとみなすことができます。このようなマシンを起動 / 停止する際には依存関係に沿った順序での実行が必要となる場合があります。
SigmaSystemCenterでは、このようなマシンの依存関係を設定することにより、起動 / 停止時の実行順序を制御することができます。依存関係は、依存元 (依存する側) となるマシンが割り当てられたホストと、依存先 (依存される側) となるマシンが割り当てられたホストを指定することにより登録します。依存関係による実行順序の制御では、起動・停止・再起動・VM退避の各操作における有効 / 無効などの設定を行うことができます。共通の設定を持つ依存関係とその設定内容は、依存関係設定として管理されます。
依存関係の設定によるマシンの起動/停止順序の動作イメージは、「1.8.3. 電源制御のシーケンス」の「(1)複数マシン間の実行順序」を参照してください。
以下について説明します。
Webコンソールでは、依存関係の設定は[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし、設定メニューの[依存関係]をクリックして表示される「依存関係」画面で行うことができます。「依存関係」画面については「コンフィグレーションガイド」の「5.12. ホストの依存関係を設定する」を参照してください。
また、簡易的な起動順序の設定として、[運用]ビューの左ツリーの[運用]をクリックし[起動順序]タブで設定することができます。[起動順序]タブについては「コンフィグレーションガイド」の「5.13. ホストの起動順序を設定する」を参照してください。
sscコマンドでは、ssc dependencyコマンドで設定を行うことが可能です。詳細は「コマンドリファレンス」を参照してください。
依存関係による順序制御が有効となる操作とその実行順序は、以下のとおりです。
起動 (起動操作における順序制御が有効の場合)
依存先のマシンを起動
依存元のマシンを起動
シャットダウン (停止操作における順序制御が有効の場合)
依存元のマシンをシャットダウン
依存先のマシンをシャットダウン
再起動 (再起動操作における順序制御が有効の場合)
依存元のマシンをシャットダウン
依存先のマシンをシャットダウン
依存先のマシンを起動
依存元のマシンを起動
サスペンド (停止操作における順序制御が有効の場合)
依存元の仮想マシンをサスペンド
依存先の仮想マシンをサスペンド
VM退避 (仮想マシンサーバ障害時、VM退避操作における順序制御が有効の場合)
依存先の仮想マシンを起動
依存元の仮想マシンを起動
VM移動 (自動起動指定時、起動操作における順序制御が有効の場合)
依存先の仮想マシンを移動 (起動)
依存元の仮想マシンを移動 (起動)
以下については、依存関係が設定されたマシンは、操作の対象外となります。
負荷分散 / 予備VMサーバ起動
他のマシンに依存する仮想マシンサーバは起動されません。
(起動操作における順序制御が有効の場合)
省電力
他のマシンに依存されている仮想マシンサーバは停止されません。
(停止操作における順序制御が有効の場合)
VMサーバ停止 (予兆)
他のマシンに依存されている仮想マシンサーバは停止されません。
(停止操作における順序制御が有効の場合)
以下については、依存関係による実行順序の制御を行うことはできません。
(依存関係の設定は無視されます。)
保守操作による電源制御
電源ON
電源OFF
リセット
パワーサイクル
ACPIシャットダウン
運用グループ操作
運用グループへの割り当て
運用グループからの割り当て解除
新規リソース割り当て (仮想マシン作成)
仮想マシン削除
スケールアウト
スケールイン
置換・診断
マシン置換
マシン置換 (直ちに強制OFF)
マシン診断・強制OFF
依存関係には、起動・停止・再起動・VM退避の各操作において、以下の設定を行うことができます。
有効 / 無効: 操作時に依存関係による順序制御を行うかどうかを指定します。
連動設定: 操作時に依存関係を構成する一部のマシンのみが指定された場合に、依存先、または依存元マシンを自動的に操作対象に含めるかどうかを指定します。連動設定が有効の場合、以下のように操作対象が追加されます。
起動: 指定されたマシンのすべての依存先のマシン (末端まで) が起動対象に追加されます。ただし、VM移動 (自動起動指定時) では操作対象の追加は行われません。
停止: 指定されたマシンのすべての依存元のマシン (末端まで) が停止対象に追加されます。
再起動: 指定されたマシンのすべての依存元のマシン (末端まで、起動状態のマシンのみ) が再起動対象に追加されます。また、指定されたマシン、および追加されたマシンのすべての依存先のマシン (末端まで) が起動対象に追加されます。
VM退避: 対象仮想マシンのすべての依存先のマシン (末端まで) が起動対象に追加されます。VM退避に対する連動設定は、後述の弱い依存関係の設定によって自動的に決定されます。(弱い依存関係が有効の場合は連動設定は無効、弱い依存関係が無効の場合は連動設定は有効となります。)
弱い依存関係: 操作時に依存先、または依存元のマシンが期待する状態でない場合にも対象マシンの操作を実行するかどうかを指定します。依存関係を厳密に遵守する必要がなく、操作時の実行順序を指定したいだけの場合には、弱い依存関係を有効にします。弱い依存関係が有効の場合、以下の動作となります。(弱い依存関係が無効の場合、以下に示すケースでは対象マシンの操作は実行されずに異常終了となります。)
起動: 依存先のマシンの起動に失敗した場合にも対象マシンの起動を実行します。連動操作が無効で依存先のマシンが操作対象に含まれない場合は、依存先のマシンが起動状態でない場合 (OS状態がオン以外の場合) にも対象マシンの起動を実行します。
停止: 依存元のマシンの停止に失敗した場合にも対象マシンの停止を実行します。連動操作が無効で依存元のマシンが操作対象に含まれない場合は、依存元のマシンが停止状態でない場合 (電源状態がオンの場合) にも対象マシンの停止を実行します。
再起動: 依存先のマシンの起動に失敗した場合にも対象マシンの起動を実行します。また、依存元のマシンの停止に失敗した場合にも対象マシンの停止を実行します。連動操作が無効で依存先・依存元のマシンが操作対象に含まれない場合は、依存先のマシンが起動状態でない場合 (OS状態がオン以外の場合) 、および依存元のマシンが停止状態でない場合 (電源状態がオンの場合) にも、対象マシンの再起動を実行します。
VM退避: 依存先の仮想マシンの退避に失敗した場合、および依存先のマシンが起動状態でない場合 (OS状態がオン以外の場合) にも、対象仮想マシンの退避を実行します。