メンテナンスモードは、保守作業を行う管理対象マシンに対して設定するモードです。
以下の目的で利用します。
「(1)SigmaSystemCenterの自動機能の実行抑制」
保守作業中の管理対象マシンに対して、SigmaSystemCenterの自動機能の処理が意図せず動作しないように防止することができます。メンテナンスモードが設定されている管理対象マシンは、基本的にSigmaSystemCenterの自動機能の対象外となります。
操作の対象となる管理対象マシンを明示的に指定して実行する手動操作については、メンテナンスモードが設定されている管理対象マシンに対しても、基本的に実行可能です。
たとえば、管理対象マシンにメンテナンスモードが設定されていると、管理対象マシンについて何らかの障害のイベントが検出された場合でも、管理対象マシンに対して復旧処理は実行されません。ただし、シャットダウンや起動といった管理対象マシンを明示的に指定して行う手動操作は、実行可能です。
業務への影響が出ないように、運用中の管理対象マシンの一部の設定は、通常時は変更不可となっています。これらのガードがかかっている設定を変更するときに、メンテナンスモードを設定します。
メンテナンスモードの設定は、以下の方法で行うことができます。
Webコンソール
[運用]/[リソース]ビュー上で、設定対象のマシンを選択し[メンテナンス]を実行します。メンテナンスモードの[On]/[Off]の指定を、選択することができます。
VMwareの仮想マシンサーバ(VMware ESXi)に対して、シャットダウン操作を行うときに、メンテナンスモードの設定や関連の操作を行うことができます。(後述参照)
sscコマンド
ssc set-machine-status maintコマンドを、設定対象のマシンを指定して実行します。設定解除する場合は、ssc set-machine-status -maintコマンドを実行します。ssc set-machine-status -maintコマンドの-maintの部分を-maintvmに置き換えて、vCenter Serverのメンテナンスモードの指定を行うことも可能です。
VMwareの仮想マシンサーバ(VMware ESXi)に対するシャットダウン操作(ssc power-control machineコマンド)において、メンテナンスモードの設定や関連の操作を行うことができます。(後述参照)
VMware ESXiの場合
対象のマシンがVMware ESXiの場合は、vCenter Serverを使用してメンテナンスモードの設定を行った場合も、SigmaSystemCenterでメンテナンスモードを設定したときと同様に、SigmaSystemCenterの自動機能の実行抑制が動作します。設定変更不可のガード解除目的には、利用できません。
VMware ESXiのvCenter Serverのメンテナンスモードは、SigmaSystemCenterから設定することも可能です。
vSAN環境上のVMware ESXiに対しては、メンテナンスモードの設定時に、vSANデータの退避モードの指定も可能です。以下の設定値があります。「Administering VMware Virtual SAN」を参照して、設定してください。
EnsureAccessibility .. アクセシビリティを確保する。
EvacuateAllData .. 全データ移行を行う。
NoAction .. データの移行を行わない。
VMware ESXiに対してシャットダウン操作を行うときに、メンテナンスモードの設定を行うことができます。メンテナンスモードの設定以外に、以下の指定も可能です。
起動時にメンテナンスモードの解除を行うかどうかの指定
vSANデータの退避モードの指定(vSAN環境のみ)
対象のVMware ESXi上で動作する仮想マシンに対する操作(シャットダウン、VM退避)の指定
コンテナノードの場合
対象のマシンがOpenshiftで、管理されているコンテナノードに対して[メンテナンス]を実行すると、Podのスケジューリング設定を指定することができます。以下の設定値があります。
変更しない .. スケジューリング設定を変更しません。
停止する .. Podのスケジューリングを停止します。
停止して、Podを退去する .. Podのスケジューリングを停止し、コンテナノード上のPodを別のコンテナノードに退去します。
開始する .. Podのスケジューリングを再開します。
[OSを手動でインストールする]を指定して新規リソース割り当てを実行した場合
本操作を実行した場合、OSがインストールされていない状態で仮想マシンが作成されます。構築が完了していない状態のため、メンテナンスモードが設定された状態で操作が完了します。
メンテナンスモードの設定有無は、以下のとおり、サマリステータスとメンテナンスステータスで確認することができます。
サマリステータス
メンテナンスモードが設定されていると、「メンテナンス中」となります。
ただし、「異常終了」、「故障」など異常を知らせるステータスも有効な場合は、これらのステータスの表示のみとなり、「メンテナンス中」の表示はされません。「メンテナンス中」であることを示すアイコンのみが表示されます。
マシンがVMware ESXiの場合、VMware側でメンテナンスモードが設定されていると、SigmaSystemCenterのメンテナンスステータスがOffの場合も「メンテナンス中」となります。
VMwareのメンテナンスモードが設定されている場合、「仮想化基盤でメンテナンスモードが設定されています。」のメッセージが、Webコンソールの当該マシンのサマリステータスの下に表示されます。
メンテナンスステータス
Webコンソールでの[メンテナンス]の操作で[On]の指定、ssc set-machine-status maintコマンドでメンテナンスモードが設定されると、Onになります。メンテナンスモードの設定が解除されると、Offになります。
SigmaSystemCenterのメンテナンスモードが設定されているかどうかを確認するには、メンテナンスステータスの情報を確認してください。メンテナンスステータスには、VMwareのメンテナンスモードの情報は反映されません。
次に、メンテナンスモード設定時の動作の詳細について説明します。
メンテナンスモードが設定された管理対象マシンを処理の対象外とする機能は、以下の表のとおりです。
対象のマシンがVMware ESXiの場合は、VMwareのメンテナンスモードが設定されているときも、メンテナンスモードが設定された状態として動作します。
機能 | 説明 |
---|---|
ポリシー制御 | 管理対象マシンの障害のイベント検出時、メンテナンスモードが設定されていると、管理対象マシンに対してポリシーアクション(復旧処理)は実行されません。 |
VM最適配置(負荷分散、省電力、VM退避) | VM最適配置の各機能において、移動先候補となる仮想マシンサーバ、および移動対象となる仮想マシンは、メンテナンスモードが設定されていないマシンです。 VM退避機能では、退避が必要な仮想マシンの中にメンテナンスモードが設定されている仮想マシンがある場合、移動が行われなかったことを通知するために、VM退避のジョブは警告で終了します。 省電力機能において、電源OFFの対象となる仮想マシンサーバは、メンテナンスモードが設定されてないマシンです。 詳細は、「4.7.4. VM最適配置の条件」を参照してください。
|
VM作成 | 仮想マシンの作成先仮想マシンサーバは、メンテナンスモードが設定されてないマシンです。 詳細は、「4.7.6. 作成先仮想マシンサーバとデータストアの選択基準」の「1. 作成先候補となる仮想マシンサーバ」を参照してください。 |
VM起動 | メンテナンスモードが設定されている仮想マシンサーバ上で、仮想マシンを起動することはできません。 VM最適起動が有効な場合、仮想マシンの起動先は、メンテナンスモードが設定されていない仮想マシンサーバから選択されます。 詳細は、「4.7.7. VM最適起動」を参照してください |
以下の操作
| 左記の操作では、処理対象のマシンの自動選択が行われます。このとき、メンテナンスステータスが設定されているマシンが対象外となります。 詳細は、「1.7. マシンの構成変更時の処理」を参照してください。 |
メンテナンスモードの設定によりガード解除を行わないと設定変更が不可の項目は、以下のとおりです。
ガード解除については、SigmaSystemCenter上の操作でメンテナンスモードを設定する必要があります。VMware側のメンテナンスモードを有効にしても、ガード解除は行われないので注意してください。
ホスト設定
[全般]タブ
[ネットワーク]タブ
[ストレージ]タブ
マシンプロパティ設定
[ネットワーク]タブ
[ストレージ]タブ
[ソフトウェア]タブ
なお、設定変更のガードは、稼動中のマシンに対して行われます。マシンリソースがホストに割り当てられていない場合は、ガードは行われません。