1.2. ドメインの作成・削除

WebOTXのドメインを作成および削除する方法について説明します。 作成・削除時はWebOTXサービスが起動している必要があります。

Windows ではドメインの作成・削除は特権昇格したコマンドプロンプトから実行する必要があります。 詳しくは[ ドメインの運用操作の前に ] を参照してください。

1.2.1. ドメインの作成

1.2.1.1. ドメインの作成 (コマンド)

otxadmin create-domainコマンドで生成します。その際、新規ドメインの設定を記述した<ドメイン名>.propertiesファイルが必要になります。

新規にsampleドメインを作成する場合の手順を以下に示します。

  1. UNIXの場合、WebOTX運用ユーザでログインします。
  2. WebOTXインストールディレクトリ(${AS_INSTALL})に移動します。
  3. WebOTXインストールディレクトリに新規ドメイン用の<ドメイン名>.propertiesファイルを準備します。 sample用のsample.propertiesはWebOTXインストールディレクトリにすでに配置されています。 sample以外のドメインを新規作成する際はsample.propertiesファイルをコピーし、<ドメイン名>.propertiesにリネームしてください。
    Caution
    ドメイン名として利用可能な文字は英数字、及び、ハイフン(-)、ピリオド(.)、アンダースコア(_)で、32文字以内を指定する必要があります。また、予約語としてadmin, cluster, proxy, batch という名前は使用することができません。
  4. <ドメイン名>.propertiesファイルの設定をエディタで編集してください。 [ ドメインの作成・削除 > ドメインの作成 > propertiesファイル ] を参考に編集してください。
    Caution
    設定の際、使用するポート番号や識別名の設定が既存のドメインの設定と重複した場合、 同時にドメイン起動ができなくなるので注意してください。
    既定で作成されるdomain1ドメインの定義ファイル(domain1.properties)とsampleドメインの定義ファイル(sample.properties)の設定は排他的になっています。変更を行わなければ既定値で共存が可能です。
  5. ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合 [ ドメインの作成・削除 > ドメインの作成 > ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合の設定 ] を参考に設定を変更してください。
  6. otxadminコマンドを実行しドメインを作成します。このとき管理ドメインに接続する必要があります。 管理ドメインの起動方法は[ドメインの起動・停止 > 管理ドメインの起動/停止 ] を確認してください。

    otxadmin > login --user <管理ドメインのユーザ名> ---password <管理ドメインのパスワード> --port <管理ドメインのポート番号>
    otxadmin > create-domain --file="C:\WebOTX\sample.properties" sample
    ドメインの作成を開始します。この処理に数分以上かかる場合がありますが、処理が完了するまでしばらくそのままお待ちください。
    コマンド create-domain は正常に実行されました。
    		

    なお、管理ドメインの既定値は以下の通りです。

    パラメータ 既定値
    管理ドメインのユーザ admin
    管理ドメインのパスワード adminadmin
    管理ドメインのポート 6202

    ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合、create-domainコマンドを実行時 --domaindir オプションを指定します。

    otxadmin > login --user <管理ドメインのユーザ名> ---password <管理ドメインのパスワード> --port <管理ドメインのポート番号>
    otxadmin > create-domain --file=<ドメイン名>.properties --domaindir=<作成先ディレクトリ名> sample
    ドメインの作成を開始します。この処理に数分以上かかる場合がありますが、処理が完了するまでしばらくそのままお待ちください。
    コマンド create-domain は正常に実行されました。
    		
  7. ドメイン作成が完了した後、以下のコマンドで新規作成したドメインを起動します。
    otxadmin > login --user <管理ドメインのユーザ名> ---password <管理ドメインのパスワード> --port <管理ドメインのポート番号>
    otxadmin > start-domain --remote <ドメイン名>
    		
  8. 以上で作成は完了です。作成後、[ ドメインの作成・削除 > ドメインの作成 > ドメイン作成後の注意点 ] を確認してください。
1.2.1.2. ドメインの作成(統合運用管理ツール)

統合運用管理ツールでドメインを作成する場合、既に起動している管理ドメインに接続する必要があります。統合運用管理ツールの起動等の操作は[ 統合運用管理ツール(WebOTX Administrator) ] を確認してください

  1. ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合[ ドメインの作成・削除 > ドメインの作成 > ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合の設定 ] を参考に設定を変更してください。
  2. 統合運用管理ツールを起動し、管理ドメインに接続します。
  3. WebOTX管理ドメインを選択し、右クリックから [管理対象ドメインの作成] を選択します。


  4. 表示されるウィンドウのうち、必要なパラメータを入力し実行します。


  5. ドメイン作成時に、より詳細なパラメータを入力する場合、[システム]メニューから [システム設定] を選択し、パラメータの表示レベルを [詳細レベルの情報を表示] に変更します。



  6. ドメイン作成が完了した後、[管理対象ドメインの起動] から作成したドメインを起動します。


  7. 以上で作成は完了です。作成後、[ ドメインの作成・削除 > ドメインの作成 > ドメイン作成後の注意点 ] を確認してください。
1.2.1.3. チューング機能を利用したドメインの作成
コマンド

ドメインの作成時に指定する<ドメイン名>.propertiesファイルの設定をエディタで編集してください。

なお、設定可能な項目は、コメントアウトされています。チューニング機能を利用する場合は [ ドメインの作成・削除 > ドメインの作成 > propertiesファイル ] を参考に編集してください。

                                 :
                                 :
## Tuning ###
# If you want to use the tuning feature, set following parameters. 
# tuning-attributes.enabled=false
# tuning-attributes.webApplication=true
# tuning-attributes.ejbApplication=false
# tuning-attributes.corbaApplication=false
# tuning-attributes.clients=
# tuning-attributes.servers=1
# tuning-attributes.connectionsPerClient=1
# tuning-attributes.connectTime=
# tuning-attributes.transactionsPerSecond=
# tuning-attributes.requestsPerTransaction=1
# tuning-attributes.requestProcessingTime=0
# tuning-attributes.highLoadPolicy=1
統合運用管理ツール

ドメイン作成時に表示されるウィンドウの[チューニング]タブを選択し、必要なパラメータを入力してください


1.2.1.4. ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合の設定

ドメインディレクトリの作成先を${AS_INSTALL}/domains 以外にする場合、${AS_INSTALL}/domains/admin/configのserver.policyファイルをエディタで編集します。「Basicset of required permissions granted to all remainingcode」ブロックの「java.io.FilePermission」の定義に「execute」を追記します。

これは管理ドメインから${AS_INSTALL}/domains以外に配置されたファイルを実行するためです。

//
// Copyright (C) 1998 ・・・
//
        ・
        ・
        ・

// Basic set of required permissions granted to all remaining code
grant {
permission java.lang.RuntimePermission "loadLibrary.*";
permission java.lang.RuntimePermission "queuePrintJob";
permission java.net.SocketPermission "*", "connect";
permission java.io.FilePermission "<<ALL FILES>>", "read,write,execute";

        ・
        ・
        ・

編集が終わったらファイルを保存し、設定を反映させるためにWebOTXサービスを再起動します。サービスの起動・停止方法については [ サービスの起動停止 ] を参照してください。

1.2.1.5. ドメイン作成後の注意点
対象: Linuxを利用している場合

サーバOSとしてLinuxを利用している場合、次の設定がされている環境ではRMI通信によるリモート接続が行えないため、 運用管理ツールからドメインに接続できないという問題が発生します。

上記の条件に当てはまる場合、作成したドメインに対して次の手順でJavaシステムプロパティを設定してください。

  1. 作成したドメインにログインします。
    otxadmin> login --user <ユーザ名> --password <ユーザパスワード> --port <ポート番号>
    
  2. Javaシステムプロパティを設定します。
    otxadmin> create-jvm-options -Djava.rmi.server.hostname=<ホスト名>
    
  3. ドメインを再起動します。

対象: 複数のネットワークカードを利用している場合

WebOTXが動作するサーバが複数のネットワークカードを利用している場合、運用管理ツールからドメインへの接続が失敗することがあります。該当する環境を利用している場合、作成したドメインに対して次の手順でJavaシステムプロパティを設定してください。

  1. 作成したドメインにログインします。
    otxadmin> login --user <ユーザ名> --password <ユーザパスワード> --port <ポート番号>
  2. Javaシステムプロパティを設定します。
    otxadmin> create-jvm-options -Djava.rmi.server.hostname=<ホスト名、または、IPアドレス>
  3. ドメインを再起動します。

Memo
1.2.1.6. propertiesファイル

<ドメイン名>.propertiesファイルで設定する各プロパティについて説明します。

実際に<ドメイン名>.propertiesに記述されるのはプレフィックスを含めた完全プロパティ名です。

たとえばドメイン設定項目のhostnameの完全プロパティ名はdomain.hostnameになります。

<ドメイン名>.propertiesファイルで設定するプロパティ一覧
プロパティ名 説明 domain1の既定値
ドメイン設定項目(プレフィックス: domain.)
hostname ホスト名
※ホスト名に使える文字は、0-9の数字、A-zのアルファベット、"." "-" "_"(アンダースコア)になります。
localhost
name ドメイン名
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
※次に示す単語はWebOTXの予約語のため、ドメイン名に用いることはできません。
admin、cluster、proxy
domain1
admin.user 管理ドメインに対して定義されている管理ユーザ admin
admin.password 管理ユーザのパスワード
※8文字以上に設定してください。
adminadmin
admin.port 運用管理エージェントが利用するJRMPのポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
6212
admin.jmxmp.port 運用管理エージェントが利用するJMXMPのポート番号
※下位互換用
必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
6712
http.port HTTPサーバインスタンスが利用する HTTPの ポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
80
https.port SSLで保護されたHTTPポートの番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
443
http.admin.port Webコンテナが利用する管理コンソール用HTTPポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
5858
http.adminrest.port 運用管理RESTが利用する管理コンソール用HTTPポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
20101
http.ajp.port mod_jk2を使用したHTTPサーバ-Webコンテナ連携ポートの番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
8099
jms.port JMS管理サーバが利用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
9700
java.debugger.port Javaデバッグで利用するポート番号。Javaデバッグを有効化した場合に利用します。
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。debug-optionsを指定した場合、そちらの内容が優先されます
9010
ipv6-enable IPv6優先
※ドメインのJavaシステムプロパティjava.net.preferIPv6Addressesの値に影響します
false
embedded-iiop-service.port 組み込みIIOPサービスが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
7780
サーバライフサイクルモジュール設定(プレフィックス: server.internal-lifecycle-module.)
DBControllerService.enabled データベースコントローラサービス起動フラグ true
CORBAService.enabled CORBAサービス起動フラグ true
TransactionService.enabled Transactionサービス起動フラグ true
JavaEEUtilityLifecycle.enabled JavaEEUtilityLifecycle起動フラグ true
JMSProvider.enabled JMSサービス起動フラグ true
WebContainerService.enabled Webコンテナサービス起動フラグ true
WebServerService.enabled Webサーバ(Apacheベース)サービス起動フラグ true
TPMonitorManagerService.
enabled
TPモニタ・マネージャサービス起動フラグ
Expressの場合は無視されます。
true
Javaデバッグオプション設定(プレフィックス: server.java-config.)
debug-options Javaデバッグオプション -Xdebug -Xrunjdwp:transport=dt_socket,
server=y,suspend=n,address=4004
debug-enabled デバッグモードフラグ false
CORBA サービス設定(プレフィックス: server.corba-service.*)
oadj.Port oadjが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
9826
namesv.NameServicePort 名前サーバが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
2809
namesv.
NameServiceRoundRobin
名前サーバのラウンドロビン拡張機能 true
oad.OadPort 接続先のoadが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
9825
Webサーバ連携用設定
domain.webserver.type Webサーバの種別を入力します。値を省略し、かつWebOTX Webサーバがインストールされている場合においては、WebOTX Webサーバが指定されます。 指定可能な値は次の通りです。
  • WebServer24

    WebOTX Webサーバ 2.4を使用します。選択する場合、WebOTX Webサーバがインストールされている必要があります。

  • Internal

    JavaEE基盤に含まれる、内蔵Webサーバを使用します。

  • Apache24

    Apache HTTP Server 2.4を使用します。選択する場合、事前にApache HTTP Server 2.4の実行環境を用意している必要があります。

  • IIS

    Microsoft Internet Information Services (IIS)を使用します。事前にIISのインストールが完了している必要があります。

なし
domain.webserver.path Webサーバのインストールパスを指定します。指定したパスには以下のファイルが存在する必要があります。Webサーバの種別において、Apache24を指定した場合に必要です。

${Webサーバのインストールパス}/conf/httpd.conf

なし
web-plugin.topology 作成するドメインのWebサーバとアプリケーションサーバの構成(トポロジー)を指定します。省略した場合、co-locatedが選択されます。
  • co-located

    共存 : 作成するドメイン内にWebサーバとアプリケーションサーバを共存させる場合。

  • separate-web

    分離(Webサーバ): Webサーバとアプリケーションサーバを分離した構成(別マシン)で、作成するドメインにWebサーバを配置する場合。

  • separate-as

    分離(アプリケーションサーバ): Webサーバとアプリケーションサーバを分離した構成(別マシン)で、作成するドメインにアプリケーションサーバを配置する場合。

なし
web-plugin.dest.host アプリケーションサーバのホスト名またはIPアドレスを指定します。 web-plugin.topologyにco-locatedを指定した場合は、入力不要です。 なし
web-plugin.dest.ajp.port web-plugin.topologyにseparate-webを指定した場合に使用するプロパティです。接続先AJPリスナのポート番号(エージェントプロセス)を入力する必要があります。 8099
web-plugin.dest.tp-ajp.port web-plugin.topologyにseparate-webを指定した場合に使用するプロパティです。接続先AJPリスナのポート番号(TPシステム)を入力する必要があります。 20102
web-plugin.iis.site.display-name domain.webserver.typeにIISを指定した場合に必須となるプロパティです。使用するIISのサイト名を指定します。 なし
TPモニタマネージャサービス設定(プレフィックス: tpsystem.)
IIOPListener.
listenerPortNumber
WebOTX IIOPリスナが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
5151
OLFTPListener.
listenerPortNumber
WebOTX OLFリスナが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
5251
AJPListener.
listenerPortNumber
WebOTX AJPリスナが使用するポート番号
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
20102
Transactionサービス設定(プレフィックス: server.transactionservice.*)
rcs-cpp-port C++版のRCSが使用するポート番号(Expressでは使用されません)。
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
5965
JMSサービス設定(プレフィックス: domain.jms.*)
port JMSサーバが利用するポート番号。
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
9700
user.port JMSサーバのコネクションサービス用ポート番号。
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
9701
admin.port JMSサーバの管理コネクションサービス用ポート番号。
※必ずドメイン間で重複しないよう一意に設定してください。
9702
チューニング機能設定

下記の表では<ドメイン名>.propertiesに記載するプロパティのうち、チューニング機能向けに提供しているプロパティについて記載します。

チューニング機能向けプロパティ一覧
プロパティ名 説明 domain1の既定値
tuning-attributes.enabled 自動チューニングを実行する
trueが設定された場合、ドメイン作成後、自動的に設定のチューニングを実行します。
false
tuning-attributes.webApplication Webアプリケーションを使用する
作成したドメイン上でWebアプリケーションを動作させる場合、trueを設定してください。
false
tuning-attributes.ejbApplication EJBアプリケーションを使用する
作成したドメイン上でEJBアプリケーションを動作させる場合、trueを設定してください。
false
tuning-attributes.clients クライアント数
クライアントの数を指定します。
なし
tuning-attributes.servers 縮退時のサーバ台数
縮退時のサーバの台数を指定します。
1
tuning-attributes.connectionsPerClient 端末ごとの接続数
1つのクライアント端末から、Webサーバに同時に接続する数を指定します。ブラウザによって値が変わります。例えば、IEの場合IE7以下なら2、IE8以上は6になります
1
tuning-attributes.connectTime 接続時間
1トランザクションの開始から完了までにかかる時間 。 (単位 : 秒)
なし
tuning-attributes.transactionsPerSecond 1クライアントの1秒当たりのトランザクション数(Tr/秒)
1クライアントで1秒間に発生するトランザクションの数。トランザクションが発生する間隔(秒)から算出できる。 (単位 : Tr/秒)
なし
tuning-attributes.requestsPerTransaction 1トランザクションあたりのリクエスト数
1トランザクション(1回の操作)あたりに発生するリクエストの数を指定します。1画面中に複数の画像やCSSなどが含まれている場合、それらの数を追加した値となります。
1
tuning-attributes.requestProcessingTime 1リクエストの平均処理時間 0
tuning-attributes.highLoadPolicy 高負荷時の方針
0