Contextインタフェース |
環境情報をサーバ側に伝えるための擬似オブジェクトインタフェースです。
4.4.1.5. CORBA::Contextクラス |
CORBA::Contextは環境情報をサーバ側に伝えるためのクラスです。最初にコンテキストのインスタンスを得るには、CORBA::ORB::get_default_context関数を呼び出してデフォルトコンテキストを取得します。コンテキストに子コンテキストを作ることで、コンテキストに階層を持たせることができます。コンテキストを階層化することで、標準の環境設定とオプションの(または一時的な)環境設定とを分離することができます。ひとつのコンテキストには複数の環境設定値(プロパティ値)を設定することができます。これらのプロパティ値はCORBA::NVListのインスタンスとして保持されています。
context_name | コンテキスト名を取得する |
parent | 親コンテキストを取得する |
create_child | 子コンテキストを作成する |
set_one_value | プロパティ値を1つ設定する |
set_values | 複数のプロパティ値を設定する |
delete_values | 複数のプロパティ値を削除する |
get_values | 複数のプロパティ値を取得する |
_duplicate | コンテキストの論理的コピーを作る |
_nil | nilコンテキストを取得する |
CORBA::Context::context_name - コンテキスト名を取得する
#include <orb.h> const char* CORBA::Context::context_name( CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() ) const;
CORBA::Context::context_nameはコンテキストの名前を返します。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
コンテキストの名前を返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
戻り値を削除してはいけません。
CORBA::Context::parent - 親コンテキストを取得する
#include <orb.h> CORBA::Context_ptr CORBA::Context::parent( CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() ) const;
CORBA::Context::parentは親コンテキストを返します。コンテキストには親子関係があり、parentを呼び出すと該当するコンテキストの親コンテキストが返ります。
デフォルトコンテキストに対して呼び出すとnilオブジェクトが返ります。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
親コンテキストを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::Context::create_child - 子コンテキストを作成する
#include <orb.h> CORBA::Status CORBA::Context::create_child( const char* ctx_name, CORBA::Context_ptr& child_ctx, CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::create_childは名前がctx_nameの子コンテキストを作成し、作成した子コンテキストをout引数child_ctxに返します。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
作成できた場合はCORBA::Status_Successを返します。それ以外はCORBA::Status_Failedを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::Context::set_one_value - プロパティ値を1つ設定する
#include <orb.h> CORBA::Status CORBA::Context::set_one_value( const char* prop_name, const CORBA::Any& value, CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::set_one_valueは名前がprop_nameで値がvalueのプロパティ値をコンテキストに設定します。valueはCORBA::Any型ですが、このCORBA::Any型に設定できる値は文字列だけです。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
設定できた場合はCORBA::Status_Successを返します。それ以外はCORBA::Status_Failedを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::Context::delete_values,
CORBA::ORB::get_default_context,
CORBA::Context::set_values - 複数のプロパティ値を設定する
#include <orb.h> CORBA::Status CORBA::Context::set_values( CORBA::NVList_ptr values, CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::set_valuesはプロパティの名前と値のペアを1つ以上コンテキストに登録します。
valuesはCORBA::NVList型で表現されるプロパティのリストです。valuesにプロパティを設定するときは、CORBA::NVList::add_value関数を使います。そのとき、第1引数にはプロパティ名、第2引数にはプロパティ値、第3引数には0を指定します。プロパティ値はCORBA::Any型で指定しますが、その内容は文字列でなければなりません。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
設定できた場合はCORBA::Status_Successを返します。それ以外はCORBA::Status_Failedを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::Context::set_one_value,
CORBA::Context::delete_values,
CORBA::ORB::get_default_context,
CORBA::Context::delete_values - 複数のプロパティ値を削除する
#include <orb.h> CORBA::Status CORBA::Context::delete_values( const char* prop_name, CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::delete_valuesはprop_nameと一致する名前のプロパティ値を削除します。prop_nameの最後に限りワイルドカード("*")を使うことができます。そのときは文字列の先頭からワイルドカードの前までが一致するすべてのプロパティ値が削除されます。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
削除できた場合はCORBA::Status_Successを返します。それ以外はCORBA::Status_Failedを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::Context::set_one_value,
CORBA::ORB::get_default_context,
CORBA::Context::get_values - 複数のプロパティ値を取得する
#include <orb.h> CORBA::Status CORBA::Context::get_values( const char* start_scope, CORBA::Flags op_flags, const char* prop_name, CORBA::NVList_ptr& values, CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::get_valuesは検索の結果一致したプロパティ値のリストをvaluesに返します。
start_scopeには検索を開始するスコープ名を指定します。
op_flagsには検索する方法を指定します。op_flagsにはCORBA::CTX_RESTRICT_SCOPEを指定したときは、検索を開始したコンテキストだけを検索します。それ以外を指定したときは検索を開始したコンテキストからデフォルトコンテキストまで親コンテキスト方向に検索します。
prop_nameには検索するプロパティ名を指定します。プロパティ名の文字列の最後に限りワイルドカード("*")を使うことができます。そのときは文字列の先頭からワイルドカードの前までが一致するすべてのプロパティ値を返します。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
プロパティ値が返された場合はCORBA::Status_Successを返し、valuesにプロパティ値のリストを返します。それ以外はCORBA::Status_Failedを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::Context::set_one_value,
CORBA::Context::delete_values,
CORBA::ORB::get_default_context,
CORBA::Context::_duplicate - コンテキストの論理的コピーを作る
#include <orb.h> CORBA::Context_ptr CORBA::Context::_duplicate( CORBA::Context_ptr p, CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::_duplicateは引数pの論理的コピーを作ります。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
引数pの論理的コピーを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。
CORBA::ORB::get_default_context,
CORBA::Context::_nil - nil Contextを取得する
#include <orb.h> CORBA::Context_ptr CORBA::Context::_nil( CORBA::Environment& env = Ob_default_environment() );
CORBA::Context::_nilはnilコンテキストを返します。
envは、関数を呼び出した後、例外の有無を調べるために指定します(オプション)。
nilコンテキストを返します。
CORBAシステム例外がthrowされます。