ESMPRO/AutomaticRunningControllerのUPS監視との連携を行う場合に必要な設定作業について、説明します。
UPS監視連携の機能概要については、「2.8.5. UPSの監視の連携について」を参照してください。
連携の環境を構築するためには、以下の条件があります。
ESMPRO/AutomaticRunningController: Ver5.31以上
オプションパッケージ製品のESMPRO/AC Enterpriseも必要です。
対象UPS: ESMPRO/AutomaticRunningControllerの対応UPS
その他: N+1リカバリ機能を使用する環境では利用できません。
※ESMPRO/AutomaticRunningControllerはN+1リカバリ機能に対応していないため、N+1リカバリ機能を利用する場合は本連携機能を利用できません。
本連携はVMware環境でのみ利用可能です。他の環境の場合は、ESMPRO/AutomaticRunningController側の本連携用の設定を有効にしないでください。ESMPRO/AutomaticRunningControllerが正常に動作しない可能性があります。
本節の説明では、対象の環境が、VMware(vCenter Server管理)環境、および、VMware vCenter Server Appliance(VCSA)を使用する場合について説明します。
連携機能を使用するために必要な設定作業は次のとおりです。
また、VMware vSAN環境の場合は、「(4)vSAN環境における構成や関連付けの注意事項について」を参照してください。
SigmaSystemCenterにUPSに接続するマシンの登録を行います。
管理対象マシンの登録の方法は、登録するマシンの種類や環境により異なりますが、VMware(vCenter Server管理)環境の場合は、次のとおりです。
VMware環境の構築
VMware ESXiのインストール、VCSA(vCenter Server Appliance)のデプロイ、vSphere Clientを使用して、VMware ESXiの登録や仮想マシンの構築を行います。
詳細は、VMwareのマニュアルを参照してください。
サブシステム「VMware vCenter Server」の登録、および、対象マシンの登録
サブシステム「VMware vCenter Server」の登録は、[マシンを運用グループへ自動登録する]のチェックをオンにして行います。[運用]ビューへの自動登録が有効な状態でサブシステムの登録を行うと、VCSA上に登録されているマシンが[運用]ビューまで自動的に登録されます。
対象マシンの登録完了後、OOB管理の設定など手動で必要な設定や運用のカスタマイズの設定を行います。
[運用]ビューへの自動登録については、「1.2.20. [運用]ビューへの管理対象マシンの自動登録機能について」を参照してください。
なお、[運用]ビューへの自動登録やVCSAの利用は必須ではありません。VMware(vCenter Server管理)環境における構築関連のその他の利用方法については、「4.1.3. VMware(vCenter Server管理)環境の構築例」や「4.2.2. 仮想マシン構築方法の概要」や他のガイドを参照してください。
ESMPRO/AutomaticRunningController、および、オプション製品のESMPRO/AC Enterpriseの環境の構築を行います。
SigmaSystemCenterとの連携関連の説明は、「ESMPRO/AC Enterprise セットアップカード」の「3.3 WebSAM SigmaSystemCenter連携機能の設定」を参照してください。
上記マニュアルは、以下のESMPRO/AutomaticRunningControllerの製品サイトのダウンロードページからダウンロードできます。
「https://jpn.nec.com/esmpro_ac/index.html」
本連携機能を利用するためには、ESMPRO/AutomaticRunningController GUIの「オプション」ダイアログの[連携機能2]タブにて、[SSCと連携する]と[SSC で ESXi サーバ(vSAN)の停止順序を制御する]のチェックを有効にする必要があります。
SigmaSystemCenter上で、UPSの登録、UPS用のポリシーの作成、UPSとマシンの関連の設定を行います。
UPS用ポリシーの作成
標準ポリシー(UPS)をテンプレートとして指定して、ポリシーを作成します。
UPSの登録
ssc create objectコマンドでUPSのカスタムオブジェクトを作成します。
XMLファイルは以下のファイルを指定します。
(SystemProvisioningインストール先)\opt\customobject\SampleCustomObject_UPS.xml
UPS用ポリシーのUPSへの割り当て
ssc update object -policyコマンドで、手順1で作成したポリシーを手順2で登録したUPSに割り当てます。
UPSとマシンとの関連の設定
UPSに障害が発生したときに影響を受けるマシンについて、ssc add-relate objectコマンドでUPSとマシンを関連付けます。
vSAN環境の場合は、vSANクラスタとUPS間の関係を考慮して設定する必要があります。「(4)vSAN環境における構成や関連付けの注意事項について」を参照してください。
vSAN環境で本連携機能を利用する場合、一般的には、次の図のようにvSANクラスタ内のすべての仮想マシンサーバとUPSが接続される構成にします。
ssc add-relate objectコマンドによる関連の設定は、実際の接続の関係に合わせてUPSとすべての仮想マシンサーバを関連付けます。
後述では、このような標準的な構成以外の場合に必要な考慮について、説明します。
<一部の仮想マシンサーバのみがUPSに接続している場合>
vSANクラスタ内の一部の仮想マシンサーバがUPSに接続していない構成の場合は、関連の設定に注意が必要です。
次の図の左側の構成のように、関連の設定が実際の接続と同じようになっていた場合、UPS停止時にポリシーによりシャットダウンが行われると、関連付けられている一部の仮想マシンサーバのみがシャットダウンされます。このとき、vSANクラスタ内でノード障害が発生したときと同じ状況になるため、vSANクラスタに異常が発生します。
そのため、UPS停止の影響を受けるすべてのマシンに対して、関連付けを行う必要があります。次の図の右側の構成のように、実際の接続有無に関わらず、すべての仮想マシンサーバにUPSとの関連の設定を行ってください。
<vSANクラスタに複数のUPSが接続している場合>
1つのvSANクラスタで使用するUPSが複数台ある場合も、次の図の左側の構成のように関連の設定をUPSと仮想マシンサーバの実際の接続の関係に合わせて、設定を行うと前述のノード障害の問題が発生する可能性があります。
次の図の右側の構成のように、各UPSからすべての仮想マシンサーバに関連付けされているように設定してください。
<UPSに複数のvSANクラスタが接続している場合>
次の図の左側の構成のように、1つのUPSに対して、複数のvSANクラスタが接続する構成は利用できません。ポリシーにより全台停止を行うときに停止対象に複数クラスタがある場合、VMwareのシャットダウン処理が正常に行われないためです。
次の図の右側の構成のように、vSANクラスタごとにUPSが接続する構成にしてください。