SANブート環境で、N+1リカバリとして障害発生マシンのディスクボリュームを予備マシンにつなぎ替えるSANブート置換を使用する場合の利用例を説明します。
SANブート置換の特長については、「3.3.1. 物理環境の障害復旧機能」を参照してください。
以下について説明します。
管理対象のSANブートを使用したシステムを構築します。
次の図のとおり、ディスクボリュームの作成や接続、OS・アプリケーションのインストールといった作業を実施します。
SANブート環境の構築方法の詳細やSigmaSystemCenter以外の設定について、「SAN ブート導入ガイド」や各製品マニュアルを参照してください。
なお、下記の図では説明を簡単にするためSigmaSystemCenterを使用しない説明をしていますが、SigmaSystemCenterのディスクボリュームの作成/接続やイメージ展開の機能を利用して、環境を構築することも可能です。
後述の図のイメージで、SigmaSystemCenterに前述の「(1)SANブート環境を構築する」で構築したSANブート環境の情報の登録やSANブート置換に必要な設定を行います。
対象リソースの登録
[リソース]ビュー上に管理対象となる以下のリソースを登録します。
ディスクアレイ
登録方法はストレージの種類によって異なります。「6.2. ストレージ管理を行うためのシステム構成」の該当する環境の節の説明を参照し、作業を実施してください。
ディスクボリューム
ディスクアレイを登録すると作成済みのディスクボリュームの情報はSigmaSystemCenterに取り込まれますが、[ディスクボリューム登録]の操作で制御対象として明示的に登録を行っておく必要があります。
管理対象マシン
DeploymentManagerを利用して登録を行います。登録方法は、「1.2.2. [リソース]ビューへの登録 - 物理マシン(ブートコンフィグ(vIO) 運用でない場合)」を参照してください。
BMC(OOB設定)
BMC経由で管理対象マシンの電源制御を行うために、管理対象マシンの[マシンプロパティ設定]の[アカウント情報]タブにて、[アカウントタイプ]をOOBを指定してBMCのIPアドレス、アクセスするためのユーザ、プロトコル(Redfish/IPMI)などを登録します。
HBA
管理対象マシンの設定として[マシンプロパティ設定]の[ストレージ]タブで登録します。「6.2. ストレージ管理を行うためのシステム構成」の該当する環境の節の説明を参照し、作業を実施してください。
ディスクボリュームの接続の設定(ホスト設定)
稼動マシンに接続するディスクボリュームの情報を稼動マシンのホスト定義に設定します。詳細は、「6.4.1. SigmaSystemCenterのディスクボリュームの接続制御の概要」や「6.4.2. ディスクボリュームの接続制御を行うための設定について」を参照してください。
また、「6.4.5. SANブートでの利用」の説明も参照してください。
なお、N+1リカバリの機能を利用するためには、上記以外にポリシーや監視の設定も必要です。本節では、ハードウェア監視や死活監視の監視機能が有効になっていて、標準ポリシー(N+1)を元に作成されたポリシーの設定が行われている前提で説明します。ポリシーや監視の機能については、「2. ポリシー制御と監視機能について」を参照してください。
次の図のように、「(2)リソースの登録やホストの設定を行う」で登録したリソースや設定を使用して、N+1リカバリが機能する状態に移行します。
稼動マシンの操作
[マスタマシン登録]の操作で、ホスト定義に稼動マシンのマシンリソースを割り当てます。
このとき、ESMPRO/ServerManagerへの登録が行われて、稼動マシンの監視が開始します。
稼動マシンの電源がOFF状態の場合は起動が行われます。また、ディスクボリュームの接続が行われていない場合は接続の処理も行われます。
予備マシンの操作
障害発生時に予備マシンが切り替え先となるように、[プールに追加]の操作でグループプールに予備マシンを追加しておく必要があります。
障害が発生し、SigmaSystemCenterが死活監視やハードウェア監視で稼動対象マシンの障害を検出すると、マシン置換のポリシーアクションが自動実行され、予備マシンへの切り替えが行われます。
このとき、稼動マシンに対しては、シャットダウンや強制OFF、ディスクボリュームとの接続の切断が行われ、予備マシンに対しては、ディスクボリュームとの接続や起動の処理が行われます。
監視機能やポリシーによる自動的な切り替えでなく、手動で切り替えの操作を行う場合は、以下のいずれかの操作で行うことができます。
障害が発生したホストを選択してマシン置換の操作を実行します。置換先のマシンに予備マシンを指定します。
sscコマンドで実行する場合、ssc replace machineコマンドで実行可能です。
障害が発生したホストを選択して割り当て解除の操作を実行し、割り当て解除完了後、再度ホストを選択してリソース割り当ての操作を実行します。このとき、割り当てるマシンとして予備マシンを指定します。
sscコマンドで実行する場合、割り当て解除の操作はssc release machineコマンド、リソース割り当ての操作はssc assign machineコマンドで実行可能です。